その日は雨が降っていた。

味海

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雨は降る、雪は積もる

第二話「嵐の前の静けさ」

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 帰り道、帰宅部の僕は同じ帰宅部である香木原修か ぎ は ら おさむと一緒に歩いていた。雲の調子はあまり良くはない、今にも雨が降りそうだ。

「まぁ仕方ないよ、タクはそういう性格だしね、でもさ?あれはやり過ぎよ」

「知ったような口を聞くなよ、修はただ見てただけじゃないか」

「確かにそうだけどさ、あの子泣いてたんだよ?」

 思わず眉間にシワを寄せる。そりゃそうだ、確かに自分は悪いことをしたという自覚はある、がまさかそこまでやっていたとは思わなかった。

「確かに、今考えてみると無責任な発言をしたかな、客観的に見てもあまり良くなかったな……」

「でしょ?タクはそういうところあるからね、後悔はいくらでもできるけど一度言ってしまった言葉を取り消すことは絶対出来ないんだから、気をつけなよ?」

 修、彼はいつも僕が間違えてしまったときに助けてくれる、幼馴染だ、僕はあまり物事を考えずに発言してしまう節がある、しかしそれは自分ではわからない、そんなときに彼はいつも僕に教えてくれるのだ。彼は先生に向いているであろう。少なくとも、あの無能な先生よりかはマシだだと思う。

「明日、謝りに行くか……」

「それがいいと思うよ」

 彼はそう言って微笑んだ、その顔はどことなく大人びているように感じた。まるで自分と年齢が離れているようだ。本当に同年代なのか?

「まぁでも結局はタクのやりたいようにやるのが一番だけどね」

 彼はいつもと同じ別れ道につくと僕に軽く手を振り、それを振り返すと同時にお互い別々の道を歩き始める。

 彼と別れてからしばらくして、あと少しで家につくというそんなときにポツリとひと粒の雨が僕の方を濡らした。次第にその雨はポツポツと道路を黒で埋めていく、灰色が黒色へ、青空は曇天へ、思い、は……

「匠くん」

 あの声が聞こえた。今日と同じように雨が降っていたあの日に会った声が。思わず後ろを振り返ってみるがそこには人っ子一人すらいない。そりゃそうである、そもそもここはあまり人が通らない。それにまた同じ人、しかも他人にに会うこと自体あまり現実的ではない。

「思いは、変わらない」

 また彼女の声が聞こえた、今度は耳元でハッキリと。とっさにあたりを見回すがやはり周りには人がいない。ついには幻聴が聞こえるようになったのか、と思い苦笑するが、今度は正面からさっきよりもよりハッキリと聞こえた。

「……あ」

 あくまで別の人ではあるが、よく聞いてみると少し似ているような気がする。

「……先程はどうも」

 そこにいたのは白雪だった。彼女は日傘のような真黒い傘を指し、スクールバッグを持っていた。そして僕をまるで腫れ物のように凝視している。僕は悟った、僕は殺されると。長いまつげのしたから放たれる鋭すぎてもはや刃物と化した眼光は容赦なく刺さる。少なくとも陽キャでも陰キャでもない僕にはだいぶ効く。

「…………では」

「さっきはごめん」

 彼女の驚いた顔が僕の目に映る。当たり前である。いざこざがあった人間がいきなり謝ってきたのだ、しかもそのいざこざがあったちょうどその日に。正直、自分でもなんでこの瞬間に謝ったのか、分からない。ただ本当に咄嗟だった。今まで後悔ばかりしてきたから何だろう、できるときはとりあえずやっておく、それが染み付いているのだ。もちろん、時場合があるのは理解しているつもりなのだが、どうもね。
 彼女はなんとも言えない顔をしていた、関係を築かないように悪態をついたのに悪態をつかせたことに対して僕は謝っているのだから。

「……そうですか、では」

彼女はまた凛とした真顔に戻ると今度はそそくさと歩いていく。一応許された、らしい。おそらく態度は今までとなんら変わりはないだろう。そう思うと僕はまた口に出していた。今度は教室で言ったようなおどおどした感じではなく、ドンと構えて。

「それでも、僕は貴方と友達になりたい、もちろん難しいのは理解しているけど貴方個人に興味があるんだ、転校生だからとか、外見がとかではなく、貴方の内面を僕は、教えてほしい貴方がどういう道をたどってきたのか」

 正直また、やってしまったと思った。まだ会って数時間、一日も経っていない他人から自分でも気持ち悪いの言葉しかでてこない。彼女とは友達にはなれない、そう思った。が彼女は反応を示さなかった。
 彼女は僕のことなど何も聞いていなかったかのように離れていく、その後姿はあの時出会った妖精のようなあの人の姿そのものだった。あまりに
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