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11.過ぎ行く時間は一瞬で

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 ぐっは~!午前もなかなかに忙しかった~
 少し遅めにお昼休憩に入る。自前のお弁当をデスクで1人つつきながら物思いに耽る。
 ちなみに別にボッチじゃないから!社食に行くのはちょっとな~って思っただけだからね!


 悠真くんと動物園初デートをしてから早4日ほど経った。
 正直に言おう。悠真くんのこと好きになりかけている、気がする。断言できないのは、私が今まで恋愛感情で誰かを好きになったことがないからだ。いや、この人いいな~と思った人はいたことあるよ?でも恋までには発展しなかったというか、それどころじゃなかったと言いますか…



 学生時代は悲しいことに私の休みのほとんどは奴ら(幼馴染達)に吸い取られてたからね…高校までは昼休みから放課後、休日までギュンギュンに吸い取られてたから…恋愛してる暇もなかったし、男子と仲良くなることもなかった。思い出しただけでも素晴らしい非リア具合だ…泣けてきた。

 かろうじて大学だけは「舞ちゃんとおんなじ大学にする!」と菫が言うからたまったもんじゃないと思って策を講じたの。だって菫が来るってことはあのバカ2人も付いて来るって事だよ?耐えられない!
 菫にはもちろん、学校の先生や両親にも秘密で本命を受験したんだよ。たっちゃんにだけは教えといたんだけどね。 あ、たっちゃんは私の弟で竜也って言うんだよ~たっちゃんにはみんなを欺くお手伝いをしてもらったの。受験料も貯めていたお小遣いから出したよ。こう見えてもお年玉は貯める派だったので、受験料くらいは出せたの。
 無事受かったと知った時は天にも昇る心地だったよ。実際掲示板の前で泣き崩れたしね。ようやく3人から解放される!って思ったからね。むしろ勉強した努力が報われた!って思いよりも強かったからね…
 でも違う大学に行くってバレた時は3人にめちゃくちゃ怒られたな~3人ともストンって表情が抜け落ちてたもん。なまじ顔がいいから、人形のように見えてすごく怖かった。3人のあんな顔、長年一緒にいたけど見た事なかった。その日の夢に出てきたもん…
 ちなみに両親は本命に受かったと告げると、ちょっと驚いた後におめでとう!って祝福してくれたよ。あの2人はいい意味でも悪い意味でも良い人だからね。




 3人には怒られたけど、これで楽しいキャンパスライフを送れる!と思って清々しい気持ちで入学式に挑んだのに、のに…のに!!!数時間後にはそんな気持ちも吹き飛んだんだ。


 入学式も終わり、いざ友達作り!わっくわく~♪と思ってた私の耳には聞き慣れた「おーい!舞ちゃーん!」という菫の声が…振り向けばやはり菫がこちらへ小走りでやってきているではないか!
 もう目の前が真っ暗だよね…しかもよくよく見たら後ろから篤と明も来てるし。なぜ!なぜ!君達がここにいるの!?って頭の中ハテナだらけになった。

 その後は大変だった。友達ゲットしようと必死になっていた周りの人たちの注目が菫達に注がれ、そして私もその中心になってしまって…どうにかこうにかお引き取り願おうと思って説得を試みたんだけど、まあ無理でしたね。大体ここで説得できるようなら今まで苦労してないもんね。


 その日は仕方ないからお友達作りするのは諦めて3人引きずって帰ったよ…初日でいらぬ注目を浴び、そして友達1人も出来ず完全に出遅れた。なんたる失態!いや、でもこれ私のせいじゃないよね?


 
 次の日大学に行ったら女子からは「昨日すごくかっこいい人と話してたよね!?あの人達って何学部?」とか「もしかして彼氏なの?」などなど質問攻撃。男子からは「あの可愛い子って君の知り合い?紹介してもらえないかな?」「あの可愛い子の連絡先教えてくれない」と菫についてあれやこれやと聞かれた。
 彼等がうちの大学の生徒じゃないことだけを伝えるとダッシュっで逃げ出したよ…いくら困った幼馴染とはいえ、個人情報はそうやすやすと教えられないからね!
 しっかし、疲れた~!万年文化部の私にはダッシュはきつい。息切れが…

 
 でも良いこともあったんだよね~なんと!逃げ出したものの、気がついたら迷子になって困っていた私に声をかけてくれた女神・橋田 花音はしだ かのんと出会ったの!
「どうしたの?もしかして道に迷ったの?」ってね!本当に神々しかった。後光が差して見えた。まず、女神の何ふさわしきとてつもない美人。すらっとした女性にしては高い身長。そして艶めく黒髪…今では彼女は私の大好きな親友なんだけどね!
 大学時代、お前ら暇なのか!ってくらいしょっちゅううちの大学に菫達がきて大変だったけど、花音のお陰でその後の大学生活が楽しく送ることができたと言っても過言ではない。


 いや~花音元気にしてるかな?最後に電話したのいつだっけ??
 花音は大学卒業後、アメリカの院に進学したんだよね~2年間向こうに行ってたからその間ほとんど会えなかったのだけど、この度めでたく修士号を取得して帰国することになったのです!
 早く会いたい。そして奴らの愚痴とか悠真くんの事とか話したい!
 花音!ようやく恋愛相談できるよ!学生時代から「いつでも恋愛相談してね!」って言ってくれていたけれど、今まで残念ながら相談する事が無かったからね…



 懐かしい、と言うより苦労が絶えなかった学生時代と遠い異国の地で奮闘する友に想いを馳せたランチタイム。気がつくとお昼休憩の時間も残りわずかになっていた。もちろんお弁当も綺麗に無くなっていた。
 考え事しながらも、もくもくと口にご飯を運べるって特技では??

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