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10.慣れとは?

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 そして来る土曜。今日は悠真くんとデートするのだ!
 人生初デートである。いや、ほんとこの歳になってようやく初デートですよ!もう無理かと思ってた…諦めかけてた…ってそんな事はどうでも良いんですけどね。

 この日のために「初デート 服装」てググってどんな服がいいのか調べたもんね。ただ、時間がなくて買いに行けないから家にあるものでどうにかするしか無いんだけどね。しょうがないの、毎日悠真くんが会社まで迎えにきてくれてたから買いに行けなかったの。
 グーグル先生にお伺いを立てた結果、花柄のワンピースに決めたのである。篤あたりは私がこれを着たら「お前が花柄?あーお前の頭ん中お花畑だもんな」とか言ってきそうである。が、なかなかこの服可愛いんだよね。確か菫の買い物に付き合わされた時「お揃いで買おうよ!」って言われてその可愛い笑顔にnoとは言えず買ったんだよね。ありがとう菫。買った後にどうせ着ないのに…ってちょっと後悔したんだけど、結果オーライだよね!

 お化粧もいつもより入念にしてっと…うん。オッケー!



 待ち合わせ場所の駅前に着くと、そこにいた。イケメンがいた。
 んんん!!!そりゃ最近はずっとかっこいい悠真くんを見てきたよ?でもさ、デートで待ち合わせ場所に佇むイケメンって破壊力半端じゃ無いんだよ。明や篤みたいな顔面偏差値高男を間近で見てきた私が言うんだから間違いない!
 悠真くんのかっこよさに1人悶える変態になっていると

「あ!舞さん!」

 私に気がついた悠真くんが駆け寄ってきた。

「こんにちは悠真くん!今日はよろしくね!」
「はい。こちらこそよろしくお願いします!舞さんが楽しんでくれるといいな」

 そう頰をかきながら言う悠真くんの可愛さプライスレス…



 そして始まったデートは、めちゃくちゃ楽しかった。パンダがいる動物園に行き、パンダを見た。赤ちゃんパンダが可愛いのなんのってね…長い列に並んだ甲斐があったよ。
 その後も猿山を見たり、爬虫類館に行ったりと動物園を堪能した。「あそこのペンギン親子かな?」とか「あの小猿達食べ物取り合ってるね」などなどの些細な会話の1つ1つがとても楽しい。
 というか悠真くんのコミュ力が高すぎるんだと思うんだ。
 そして、当たり前のようだが悠真くんのかっこよさで周囲の視線を集めまくった。わかる。確かにこんな性格も良くて素晴らしく顔がいい人がいたら見ちゃうよね。めっちゃわかるよ。
 そしてそんな素敵な人の隣にいるちんちくりんな私も当然見られるわけですよ。うん。ごめんねちんちくりんで!きっとイケメンの隣には美人がいると思って期待した方々、申し訳ない!どうも、平凡顔です!
 が、幼馴染達のお陰でこういう視線を向けられることには慣れているので今更萎縮したりとかはしないな。そこら辺のメンタルは鍛えられたよ…




  楽しい時間はあっという間に終わってしまって気がつけば夕方になっていた。
 小洒落たイタリアンレストランで絶品パスタに舌鼓をうったあと悠真くんが家まで送ってくれた。

「今日はとっても楽しかったよ!家まで送ってくれてありがとう!」
「いいえ。舞さんが楽しんでくれたならよかった。あの…また俺とデートしてくれませんか?」

 そんな!次のお誘いですって!?そんなの

「勿論だよ!ぜひまたお願いします」

 いいに決まってるでしょ~!ここでnoといえる人がいるならお会いしてみたい。言えない。

「良かった~断られならどうしようかと思ってドキドキした~」

 ホッとしたようにそういう悠真くん。

「いやいや、悠真くん学校でもモテモテなんじゃないの?
 それに毎日迎えに来てもらってるけど大丈夫なの?忙しいんじゃない?無理しなくてもいいんだよ」

 幼馴染達も大学でもモテにモテまくってたからね…きっと悠真くんも大変なんじゃないだろうか。それなのに毎日会社まで来てくれているけれど、流石に申し訳ない。

「学校?あ、なるほど…大丈夫だよ。今ちょうど暇な時期なんだ。だからこれからも迎えに行きたいんだけど、だめ?」

 一瞬キョトンとしたあと今度は「だめ?」と捨てられた子犬みたいな表情でこちらを見てくる。なんて破壊力なの!?

「だめじゃない!だめじゃないよ!悠真くんが無理してないならいいの」
「ありがとう。舞さんにもっと俺のこと知ってもらいたいからしてる事なんだ。それに女性が夜道を1人で歩くのは危険だよ。だからこれからも迎えに行かせてね?」
「…はい」

 無理。これ以上悠真くんのスマイルを見ていたら蒸発してしまう!

「それじゃあまたね」

 そう言って帰って行く悠真くんの背中に小さく「じゃあね」と呟いてから家に駆け込んだ。


 イケメンなんて見慣れてるの思ってたのに、悠真くんの顔を見てるとなんだかそわそわして落ち着かなくなってしまう~~
 ソファになだれ込むとクッションを抱いて30分間ひたすら無心でもふもふしていたのであった。
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