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二部1章 ラビニット

ファインプレー

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人生は神の指の様に動かされている。
や、因果応報が運命であるとなっているが、実は、全ては堕怠の産物である。

神の定めた大罪の一つであり、先伸ばししか考えない事が惨事になる典型的な事である。

人の人生であろうと、この堕怠の結果からは逃げれないとされている。

堕怠からは逃げれないは、逃げる事になる。

何も考えない、何もしないが因果の果を妥協した事である。

贖う事が、果を変える為の唯一の希望になる。

それは、痛みや辛さを伴う事になる。

だから、それを目にしない人が多い。

神であろうと、その因果からは逃げる事は無い。


サリハレリは困った状況に居た。

「サリハレリ、監査の為の報告が少ないのですが?」

「あの、それが全てですが、アニエスお姉様。」

神は、分泌液が少ないとされている。汗の1滴さえも、聖遺物となる。

それを流すサリハレリ。

何せ、万年も管理をしなかったのだから、報告する様な事がなかったのだ。

「貴女、この星をどのようにするの?」

「えーと、それは此から・・・・」

「はー、今回はお母様の視察もつきます。」

「はぁぁぁ!?」

「貴女の書類が遅いのがいけないのよ。」

「うそぉぉぉぉ!」

妹よりも、母上を怒らせたら何をされるか分からない。
それを回避するのに、どれだけ神経を使うのか。
知っているからこそ、アニエスは書類を見直していた。

「ん?んん!サリハレリ、此処を見てみなさい!」

「はえ?何なのよー。」

天然女神は、逃避から現実に帰ってきた。
そして、書類に目を通した。
そこには『人が龍人を倒した。』の一文があったのだ。

「や、やったー!此れで怒られないわ!やったー!」

「ちょっと、サリハレリ!」

アニエスが止めようとしたのだが、浮かれ天然はスキップして出て行った。

「まー良いのかな?それにしても、二人の人間を異界に転移させるなんて、あの子に出来たのかな?」

書類を片付けながら、一抹の不安を感じずにはいられなかったのだ。

それは、

『ミネルシルバ神の世界か召喚した人間』と刻まれていたのだった。
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