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二部1章 ラビニット

激戦、死の森 4

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不思議な光景を見ている。
人が、折り重なる様になっているからだ。大地は赤い血が川の様に流れており、臓物が散乱している。

「あっ。リッカート、リッカート。」

「な、何ですか。」

「じょ、状況の確認・・・・」

「わ、分かりませんが、死者多数・・・・」

二人は、次の言葉を出せない。
両足と片腕への被爆で、出血が止まらないのだ。
やがて、意識を奪い致死量を超えての死だ。







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攻撃の意思を持った者の排除を確認。
生存者の確認を開始。67名を確認。
主人に報告を開始。
残り18秒で全滅。







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「ん?眼鏡にメール?」

懐かしい絵文字が、右目の片隅に表示されていた。
篤郎は、脳でそのアイコンを注視していると、メールの様に文が現れた。

「えーと、北出入口にて軍隊らしき者と交戦し撃破。人命の救助可能時間18秒・・・・て!無理やん!」

篤郎の眼鏡には、添付付きメールが表示される。
その題名を見て、篤郎は膝をついた。

「戦闘動画・・・」

開けると、3秒で一万の兵士の殺戮が流れた。

「あー、そうか、そうよね。」

過剰な戦力ではあるが、守る為の装備であるには違いはない。
その威力が、この世界でも強力だった事は良いことではある。
問題は、見ても気持ちが悪い事だ。

「生存者の問題が急務だな。」

篤郎は、戻りながら考えた。
終わった事に問題は無い、それよりも今後である。
ゴーレムの生産が必要なこと。
偵察衛星の作成。戦闘要因の確保。

軍から追われている人間を確保した時点で、衝突は避けれない。
その為の武器が、オーバーキルだった事は問題でも無い。

問題としてるのは、情報の確保が必要だと言う事だ。

その為の、捕虜回収システムのゴーレムを作る事に繋がる。やはり龍の魔石の回収が必要なのだろうか?
アーカイブとは別の機能を持たせた、インターフェースが必要だからな。
そして、やるなら奴隷紋章で縛る事を第一に考えないといけない。

俺の思考をコピーした物を、題材にするのだから。

並列化は思考が速いと完璧なのだが、いざと言う時には役に立たない。
しかし、それを専用にしたインターフェースがあれば、対処が素早く安全となる。

その為には、絶対条件が必要になる。

1に俺の命。

2に奴隷達の命。

3に作る物の命となる。

安全な事だが、問題がある。

1と2の対象者が居なくなれば、インターフェースの支配化となる。それは、安全では無くて死を意味する。
ま、難しい事は良いだろう。

「奴隷達には無理させたく無いから、ゴーレムを作るか。」

そう決めた瞬間にメールが開く。
『生存者が死亡しました。全滅です。』

「そら、無理やん。ゴーレム作るらんとあかんわ。」

篤郎は、せっかくの情報源が死んだ事に悲しみを見せた。
死者にでは無い、情報源にだ。
そして、悪乗りをしてしまうのだ。





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「スデゥーデン伯爵からの報告です!」

兵から執事に渡り、リバクゼル王に渡される。
そこには、『死の森に遺跡を発見』との短い文だった。

「死の森に遺跡だと?」

リバクゼル王は、その事に悩んだが盗賊の砦だと確信した。

「第二陣を急がせろ。龍の宝が目の前だぞ!」

勘違いでは無いが、それよりも恐ろしい事になるのだ。

「スデゥーデンに直ぐに討伐したか確認させよ!」

「はっ!」

宝の一つで、国が滅んだ歴史に学ばない物の見本だろう。
常識やその生活は、壊れる物だ。
発明や知識と云うのは、壊された後に構築される。

よって、絶対は存在しない。

そして、その常識を壊す者は『悪魔』と呼ばれる。
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