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二部1章 ラビニット

風呂よ再び

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晩飯の時に、金龍が叫んだ。

「ああ!はい!ありまあぁぁぁす!」

力一杯叫ぶ為に、コップから水が溢れた。

「おい、溢れたぞ?」

「済みません!済みません!済みません!」

土下座をする金龍。

てか、龍と言う生き物はポンコツが多いのだろうか。長生きしてるからポンコツなのか、そもそもポンコツの生き物なのかは知らない。

神に関わるから、龍が寄って来るのかも知れない。うん。そっちが、しっくりと来るな。

「で、大きな魔石が有るんだな?」

「はい!龍王の墓に魔石があります!」

「・・・・それは、貰っても?」

「はい!貰って下さい!」

「明日に取りに行くか。」

「はい!」

色々と考えたくなるが、貰える物は貰う方が良い。この世界で産まれたら、とかの考えは今は考えられない。
生きる為に、必要な情報を集める為に必要な物を集める。その為には、墓を暴くのも厭わない。
何せ、爺(神)が関わっているのだ。
それだけで、優しさ入らない。

「んじゃ、風呂に入って寝るか。」

そう言って立つと、皆が立ったのだ。
子供達だけでは無い、大人達も立つのだ。

「えっ?何で君たちも入ろうとしてる?」

その言葉を聞いた子供達は泣きそうな顔になっていた。

「何故に泣く!てか!金龍も服を脱ぐな!」

金龍は既に、いそいそと脱いでいたのだ。
子供なら入っても気にはならないが、大人と入るのは駄目だ。
男なら、恥ずかしくも羞恥心もないが、女とは無理である。

「女とは入れんぞ!」

『え~!』

との子供達の声が出る。

「いや、君たちに言った訳ではないぞ。大人の女とはだぞ!」

『え~!』

大人達(金龍)の抗議の声が出ていた。

「当たり前だ!それに!子供達が主導で、お姉さん達に風呂の使い方を教えてくれないか?」

大人の女性と入りたいが、それは相思相愛で有るべきだ!の篤郎にとっては譲れない。
前の世界では出来なかったが・・・・

「私は人ではありませんが!」

「オメーは、女の姿をしてるだろが!」

突然言ってきた、金龍の頭を拳骨で叩く。
前のめりとなって、子供達が笑う。
あかん、此れは漫才じゃ無い!

「それなら!」

「龍の姿はもっとあかんわ!」

篤郎の左からのアッパーが、金龍に入り宙を舞った。
此れに、大爆笑する奴隷達。

ボケや無いねん、天然やねん!と言う言葉を、篤郎は飲み込むのだった。
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