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二部1章 ラビニット

基地での農作業

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「起きろよー。朝だぞー。」

起こされた子供達が顔を洗いに行った先は、脱衣場であった。

『わぁ!』

昨日と違って、洗面台が増えており、トイレも増えていたのだ。
篤郎の感覚で作り変えた脱衣場は、子供達には天国であった。



朝ご飯は、パンと肉と目玉焼きにサラダが置かれており、飲み物は昨日と同じだ。
それを食べさしながら、

「今日から、畑を耕してもらうからな。」

『はい!』

子供達の揃った声にビビる篤郎。
そして、子供達の顔にオチャラケた者は居ない。真剣な顔をしている。

「道具も作ったし、その場所も教えるから。」

『分かりました!』

(うん。やる気はあるな。)

篤郎は感心しながら、ご飯を食べ終えた。
残さず食べるので、お腹の具合も心配だ。
ま、外にもトイレは在るから何とかなるだろう。

因みに、此処には下水処理出来る場所も無いので、トイレに魔法を掛けている。
もはや、魔道具にしている。その魔力供給は篤郎の魔力である。

電気と同じで、配線で魔力を送り使用可能にしている。
水は毎回流したら、即座に溜まる様にされていて、流した先は消去している。
据え置いた場所で使えるので、外出時にも使える優れ物だ。固定は必要だが。

篤郎は、洗い物をストレージに仕舞うと外に出る。子供達も着いて来る。

昨日も見てくれたが、子供達は嬉しそうに降りる。アキーナは初めて見た階段に驚いているが。
降りたら、扉の開け方を説明する。

「此処に手を置いて、扉が開くまで待つ。注意として、忘れ物をしても取りに戻らない事。下手したら死ぬからな。注意しあえよ。」

『はい!』

扉から外に出ると、小さな小屋が見えるのだが、遥か上空に四方に伸びる橋が見えた。

「あ、あれはー?」

「橋だな。」

「は、はぁ。」

子供達は、誰も理解していない。
何があっても、ご主人様だからとも言えない。
なのに、

「これが道具小屋だ。此方の建物はトイレな。水は此処の蛇口を回せば出るから、止める時は反対に回す。解った?」

「は、はぁ。」

最初の頑張る声で無い、戸惑いの声になっていた。

「おい!教えているのによそ見か?」

「ち、違います!」

「だったら、なに?」

「あの、橋とは川に掛かっている橋ですよね?」

「そうだよ。」

「あの橋は、何処に掛かっているのですか?」

子供達は興味津々に聞いていたが、

「壁に向かって伸びているぞ。」

「はい?」

子供達も目が点になる。

「此処から4キロ四方に壁を作った。」

「ヨンキロ?とは、何ですか?」

篤郎は、頭を抱えた。

「此処でも、単位が違うのか・・・・」

「あの?」

「なんだ。」

「ヨンキロとは何ですか?」

「距離の長さだ。」

「キョリ?長さ?」

「ああ。うん。簡単に教えるとだな。」

篤郎が足で線を引くと、眼鏡をしてから正確な距離で50メートルを計り線を引く。

「この線から線の距離が、丁度50メートルある。これが倍になれば100メートルな。これが19本足せば1000メートルとなって1キロとなる。」

「あのー、ご主人様。」

「ん?」

「バイとは何ですか?」

「おう!そこもか。」

教育レベルが底辺だと分かるような言葉だ。

此は、労働力と教育者の確保が必要なようだ。
人形を作る核も必要なんだが、知識人の確保が先になるな。
とりあえず、ビーストかファントムとかなら良いか。ドラゴンはー要らんな。

「うん。今日は畑を作ろうな。お勉強は別の日にやろう。」

「す、済みませんでした、ご主人様。」

「道具の説明もしとくな。」

『はい!』

元に戻ったのか、考える事を諦めたのか、理解はしないでおこう。

「道具の説明をするぞ。」

畑を耕す道具やバケツなどを簡単に説明して、篤郎は昨日と同じ様に離れた。

もちろん、壁の扉の開け方は教えて居ない。

安全であると教えるよりも、危険もあると行動してもらう方が良い。

何か、教育しないとならない事が多いな。

それが使命なのか?
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