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第11章 モンスター

消え行く

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「装置の具合は?」

「理論上は問題無いのですが、謎の部分が有りました。」

「そこは神に聞いた方が早い、アルテウルかミネルシルバを呼び出せ!」

「はい!」

「エメリアの方は?」

「最終まで、七分です。」

「個体に関しても正常です。」

篤郎は、大掛かりな機械の前で燃えていた。
リングを通り、別の惑星などに出るドラマや映画が実現するのなら、させたい!

科学者や数学者の答えでは無くて、男のロマンの方が勝ってしまっているのだ。

そう、失敗して当たり前精神で事を進めてる方が問題では有るのだが、篤郎の嬉しそうな顔の前で断れない。
ルナ達が、最善なフォローをしていた。

「謎の部分を聞き出せたら、一度エメリアに来てもらえ!」

「は、はい!」

「そうか、そうか!こんな方法が有効だとは!」

世界の建造物、いや、過去の建造物の多くが別れてるが、全ての答えまでは出ないが必要なパーツだと思うのだ。

紋章や書かれた文字や掘られて残った文字。関係無い絵や紋章さえも時間と密接に関わっているのだ。

「良いねー!これは本当に凄い!」

そこで、時が止まった。
いや、停められたのだろうか。

「危ない所だったよ。まさか封印した石を持って来てるとわ。」

突然の光が、篤郎の心に語りかけた。

「誰だ?」

動かない身体なのに、心の声がやけにはっきりと聞こえる。

「篤郎君の結果を読みましたが、過去最高ですね。」

「何がだ?」

「別の世界も救ってくれないか。」

「はっ?嫌です。」

「いやー、曾孫の失敗を挽回してくれた手腕を買って、ワシの世界も頼んだ。」

「はっ!嫌だというてるだろうが!」

「ワシのと言うより末の子の星なんだが。」

「いやいや、話を聞いてる?」

「困った事に壊れそうなんだよ。」

「聞いてんのか、このクソジジイ!」

「誰がクソジジイじゃあ!」

「何だ、聞こえてるがな。」

「たく、神に等しい力なぞ持ちよって。それは捨ててもらうからな。」

篤郎の身体から、何かが抜けて行った。

「てか、何で俺よ?」

「ま、言いたいだろうが、この装置は没収じゃ。」

「あっ?」

「とりあえず、エメリアは元の世界に戻そう。記憶は削除しておくがな。」

「ああっ?」

「この装置も消すぞ。他も書き換えるぞ。」

「このクソジジイ!」

「お前も送るぞ。」

「おらー!」

動かない身体なのに、篤郎の右拳が光を殴った。

「ぶふぉぉ?!」

殴られた光りも、消えた。
そして、

「あら、何をしてたのかしら?」

「誰を呼びに行けば?」

「私は?」

三姉妹が茫然としていたのだが、

「マスターのお世話をしなくては!」

「ミルクを準備をします!」

「私は着替えを!」

彼女達の頭の中のマスターは、篤郎からレオンになっていたのだ。

いや、この世界に篤郎の軌跡が消えていたのだ。
もちろん、ミネルシルバもアルテウルさえも篤郎の名を思い出せない。

理不尽な事が起きた事を誰も知らない。





第一部 完
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