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第11章 モンスター

最後の親子の語らい

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「ばー。久しぶりでちゅねー。」

「キャハッハッハッハッー!」

久しぶりの生身の親子の対面となる。
レオンに会うのは久しぶりなのだが、ルナ達の子育てが項をそうして篤郎の顔を覚えていた。

「ルナお姉ちゃん達のおかげでちゅねー!」

「キャハッハッハッハッー!」

子供の体力は無限だが、電池が切れるのも早い。

「えっ?急に寝た?」

「レオンも、マスターに会えてはしゃいでましたね。」

「そうなんだ。てか、急に寝るのな。」

「赤子ですから。」

「そ、そうなんだ。」

赤子に対しての耐性はない。
過去に何度も抱いた記憶もあるのだが、抱いただけで何もしてはない。おしめやミルクなどの知識は有るのだが、ベビー用品に対しての事はルナ達に任せている。

知識だけでは、赤子に対してどうなのかが解らないのだ。
だが、触れ合う中での父性と言う気持ちは出てきた。

出来るだけ、この子が豊かな感情と大いなる慈愛を持った素敵な大人として育って欲しい。

子を持つ親なら当然だろう。

アイがレオンを抱き上げてベッドへと移す。

レディも参戦(?)して、数日の事を話し出していた。
それだけ、何があったのかは知りたいのだろう。

「それで、マスターはどうするのですか?」

アイが聞いてきたのは、エメリアの処遇である。

「うーん、出来れば帰してあげたいんだけど。」

これは、本当にそう思うのだ。
間違って連れて来られる事があっても、帰す力があるのなら帰したい。無駄と分かっていても、やりたくなる。別名、お人好しなのだ。

「それなら、帰す事が可能かもしれません。」

「そうなんだ。・・・・・えっ!」

「マスターが居ない間に、倉庫整理をしてましたらこんな物が出てきました。」

ルナは、石を篤郎の前に出した。

「こ、これは!」

「思い出せないとかのギャグは要りませんよ、マスター。」

「ぐっ!」

「この石の入手場所はどうでも良いのです。問題は、この石に書かれている文章と石に閉じ込められたデータを開く事に成功しました。そこには、異世界を渡る為の魔方陣と世界のデータ数値の出し方が有りました。」

「と、言うことは?」

「帰す事が出来ると言う事です。」

「マジか・・・・凄いなお前達わ!」

ひとしきり笑ったら、篤郎の顔が真面目になり、

「すまんが、エメリアを帰す為に頼む。」

此が、この男の良い所なのだ。
もちろん、普段から出せば良いのだが、気心が知れた人の前でしか出せない。

彼女の前でも出せないのだから。

『任せて下さい、マスター!』

そして、最後の語らいが終わった。
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