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第11章 モンスター

味方にはご注意を

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目を覚まし、兵士達は上官の指示に従い飯の準備を始めた。

いや、宴の準備だろうか。

エメリアも起こされて、身支度を始めた。

誰もが、厄災を退けて元凶を倒したと思っていた。
だから、誰もが浮かれていたし、宝物の探索する準備にも余念は無い。

宝の山分けだけでも、一財産は出来る。いや、もっと大きいのかも知れない。

浮かれた人は、どんな屈強な者も真面目な奴でも綻んでしまうものだ。

そんな彼等は、勇者を忘れていたのだから。

「父様、何処に行くのですか?」

「ん?味方の陣営かな。出来れば、別の陣営も襲う予定だよ。」

「味方なのに?」

「味方だからだよ。」

「変なの。」

「味方の味方は敵、敵の敵は味方なりって、昔の兵法書にも書いてるからな。特に人は裏切るから。」

「そうなんですか?」

「そうだよ。特に何かをする時は、細心の注意をしていても危ないからね。何かをされても良い様に、先手を打たないとねー。」

「なるほどー。」

本当ならルナ達の仕事だが、別にルナ達が始めた訳ではない。何故なら、ルナ達の性格の元は篤郎なのだ。

日本で読み込んだのは、戦略関係の本だ。戦争はもとより経済、情報に目を奪われるのは当然だった。

そこから、色んな知識を求めるのは自然の摂理である。

知識を元に、自分で試す事もやった。

それが許される家にうまれて、感謝もしてきた。触れ合う事は無かったが。

そんな人生だから、友達と呼べる人は少ない。

そんな篤郎の性格では、元の世界に戻れば何をしだすか。

大事なのは、情報になる。
情報こそが大事なのは、各書にも書かれている。そして、情報を得るためには慈悲はない。一番良いのは代価を払う事だが、リスクは高くなる。

そうなると、改良された奴隷紋章が有益になるのだ。
顔も名前も知らない人に独り言が聞かれたのと、金銭で相手の顔や声を覚えた人から情報を買うのとでは、前者の方が良い。

そのまま為の布石を仕込みに行くのだから、篤郎は規格外である。

例え百キロ先だろうと、本気の篤郎の足では数時間で着いてしまう。人だから減退するのだが、回復魔法で体力も疲労も回復してしまうのどから減退はしない。

まさに、暴走急行の様に走ってしまう。
それも、自分の為に。

「やっぱり、気持ち良いなー!」

「そうですね!」

『ヒ、ヒィィィー!』
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