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第11章 モンスター

逆転の旅は罠の旅

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嘘は嘘で塗り固めて、最後に破綻して張れる。

大抵は、嘘が崩れて信用を無くしてしまう。
だが、エメリアの嘘は意外にしぶとくなる。
篤郎のせいで。

篤郎の悪い処かもしれないが、調子に乗っている者を担ぐ癖がある。

煽てるだけ煽てて、悲惨な事が待ってます作戦は、過去からの性なのだ。
元々、英雄とかには憧れが無いので、意欲ある者を代理にしてしまうのだ。
それを繰り返し行って来たので、罪悪感も無く簡単に仕立ててしまう。

そして、最後の最後にそれを張らす。

すると、英雄の物語が世に出たのに泣く町が増える。
そして、物語を守る為に町の名誉の為に、英雄が消されていたのだ。

もちろん、誰もが英雄に祭り上げられた結果、人を見下し蔑み横柄になり、暴力的になった事により消される運命となる。

自業自得の結末に成っているのだから、人生は怖いのだ。
一つの失敗が、死に繋がる事を理解出来て無いといけないのだ。



エメリアにムカついた篤郎は、せっせとエメリアには不可能な事を裏でしていた。

一つ目が、敵を倒さないので経験値を貰えない様にした。
これは、表面上はエメリアの『ターンアンデット』で、そこらへんのアンデットを消しているつもりが、篤郎の『エクソシスト』で消しているのだ。
だから、エメリアには経験値は行かない。だからレベルも上がらない。

それでも、エメリアのおかげとなり、エメリアの調子はうなぎ登りだ。
決してギルドカードは見せられんが。

二つ目が、グールに噛まれた者の回復だ。
此れは、『エクソシスト』の光に乗じて『ドロップスオブゴッド』の状態異常から欠損まで回復する魔法も流している。
これは、既にアンデットになっていると効果は無いが、噛まれて1日(約24時間)以内ならば元に戻す事が出来る。

こうなれば、嫌でもエメリアの人気に拍車を掛ける。

ほとんどの人が、勇者篤郎の事を忘れ、聖女エメリアに傾倒していく。
ワンブーヘ王やリザリテも予想してない格好となっていた。

そうして、聖女様一行の旅は続いた。



そうすると、各国は焦る事となった。
馬鹿な新興国に面倒な事を押し付けたのが、民からの信頼を勝ち取った。

そうなると、兵も出さなかった国々の民は不満を持ち出した。

国が守ってくれないと、なっていたのだ。

そして、ワンブーヘ国の聖女は、民を守ってくれるとなる。

民達は、『民を守る国に移住する』事となっていた。

民の流出は、国益にダメージとなり戦争処では無くなる。
ワンブーヘ国の周辺国は更に酷い事が持ち上がっていたのだ。

ワンブーヘ国に降る事を民達が支援しだしたのである。

貴族に歯向かう民達に呼応するのが兵達になった。
貴族に従う者を集めても、10人は集まらない。
どんな屈強な貴族でも、数百の兵には敵わない。

首を切られるくらいなら、ワンブーヘ国に降った方が良いと考えるだろう。

そんな状態で、最悪な結果になりたい国があるのだろうか?

もちろん、有る筈も無くワンブーヘ軍に従う道を選んだ。

遅れて来るのだから、下手に逆らう事も出来ないし、聖女を怒らす事も出来ない。

これが三番目の結果だ。

今はこの事を、エメリアなどは知らない。
結果として、後に知る事になり冷や汗を描く事になる。


篤郎の行為は、褒められた事では無いが、調子に乗った時点での振る舞いでどうするかは人其々となる。

篤郎は、更に調子に乗せてから見捨てる派になる。

人の振る舞いは、他人にどうなるのか。それを考える事も必要になる。

今は、穴を掘っている前段階なのだから。
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