鴉喰の華 ～日本に転生したのに、異世界に転移させられた！～

第１１章 モンスター

神よりも仕事してます。

「神国の情報が欲しい。」

「大型の虫を使いますか？」

「むう。」

何故に虫にこだわるのだろう？
虫よりは猫や犬とか、鳩の方が良いのに。
鳩も動きは動物的だが、緊急時は飛行機にするとか、犬も緊急時には飛行機にしてしまえば良いと思う。

なのに、大型の虫って。

こういう時は、人間の感性と変わらない。
柔軟に対応して欲しい。

「成る程。トランス･･･」

「わー！そこまで！みなまで言うな！」

「テジト・・・」

「はい！終わり！」

「虫にロケットとかも有りですよね！」

ルナさん、虫が好きなんですね。意外でした。
それでも、何かをしてくれるので楽しみではある。

「タイムシリーズですか。」

「！」

「ゼンダ・・・・」

「止めー！それもダメー！」

危険が危ない！言葉には注意が必要だ。

「ネタ無しなら、何でも有りだ！」

「解りました、マスター。うってつけのモノを出します。」

「・・・・もう、あるのね。」

篤郎の力が抜けた。

「他の人族の国にも、送りたいのですが。」

「分かった。」

「ありがとうございます。」

ルナは頭を下げた。
本当は、篤郎の命令に背いてスパイ虫を放っていた。
アルテウルが施した呪術も解除はしたのだが、まだ魔石が有効に成る程は回復していないのだ。

人の国には、アルテウルの呪術を掛けられていた。
醜いモノが嫌いなアルテウルは、モンスターを寄せ付け無いために土地に呪いを施した。
その為に魔法が使い難い土地になっている。
魔力が少なくなるために、普通の魔法などは使えない。
魔力が多くないと、魔法は不可能になる。普通の魔法使いは、生活魔法を使えるレベルに落ちるのだ。

で、回復魔法はアルテウルの力で、教会に属しているだけで使える。

そんな、不毛な土地になっていた。

ルナ達でさえ、それは大きく作用されたのだが、アルテウルの力を借りてある程度までは使える。

もちろん、論理を超えてしまった篤郎なら簡単な事だが、篤郎は人の国には介入しないようにしていた。
人の国は、篤郎にとっての箱庭なのだ。

篤郎が介入すると、魔国に併合になる。
それでは、人として駄目になる。
考える事を捨てて、一つの考えを従順になるとする。
そうなれば、人の意味を失い部品となる。後は、管理された世界になってしまう。

そこには、人の尊厳は無い。

秩序と平和な世界にすれば、乱暴と戦争を好む人が増える。
混乱と戦争の世界なら、秩序と平和を好む人が増える。

人は、賢く生きる事は出来ない。

『サボる蟻』の原理は、人にもあたる。

だから、箱庭として人の国を放っておいた。
何万年経てば、人の考えが変わるのか。

その篤郎の考えを見越してのルナの行動があった。

単に見張るだけでなく、どう変わるのか、どんな行動をするのか。
それは、篤郎の寿命を超える命題としての指針としていた。

本当は、神が行う事なのに。

「うううっ。お尻が痛いですー。」

「黙っていろ！」

「うー、私が偉いのにー。」