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第11章 モンスター

夜会

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コッンコッンコッン。

「聖女様。聖女様?」

閉じられた扉の向こうでは、カリカリカリカリカリカリとペンで書いている音だけが聞こえた。
しかし此処で引けない。

コッンコッンコッン!

「聖女様!聖女様!」

しかし、カリカリの音が止まらなかった。
扉を殴る様に叩いた。

ドンドンドンドン!

「聖女様!聞こえてますか、聖女様?!」

カリカリの音が止んで、暴れる様な足音がする。
バンッと扉が開くと、

「五月蝿いわね!今は執筆中よ!」

「夜会が有ると言いましたよね?」

エメリアの怒り顔が、みるみると青くなる。

「あっ、あー!」

「急ぎます!」

「はいー!」

そこからは急だが、熱い風呂に入れられて身体を磨かれる。
それも最低限の扱いであった。

「あづづづづ!」

「痛い!痛い!痛い!痛い!」

「ひぃぃぃい!」

もちろん、グェーだの吐くーなどの言葉も出ている。
キツイコルセットをして、白いドレスを着て、化粧をされるのだ。
ただ、化粧とは名ばかりのゴテゴテしたものを塗られた。

何かをしたくても、コルセットが全ての行動を阻害してくれた。

「く、苦しい。」

「我慢して下さい。」

「し、死ぬよ。」

ニフラクは、スッとエメリアの首筋にナイフを突き付けた。

「死ぬよ?分かったら口答えしない。」

と言われ、エメリアも黙った。
痛みや苦しみよりも、恐怖が勝った証拠だ。

「もう少しです。」

エメリアほ、夜会を嫌いになりそうになっていた。







ーーーーーーーーー







「トラビス伯爵ご入場。」

最後に入場したのは、名ばかりの貴族である。
最後に入るのは、貴族社会にとっては失礼に値する。早くても良くない。
早いとは、地位が低い者が高い者を待ち受ける役目となる。
また、遅いと、招待されたが貴方に礼をしないとなり無礼になる。

四大貴族は、ちょうど真ん中に現れたのだ。


そして、ホストである王だが、此れも遅くなってはならない。
ちょうどを見計らい、場に入場しなくてはならない。

そして、最後の人を見て、

「良くぞ集まってくれた。聖女が少し遅れておるので酒を振る舞うので、気兼ね無く待ってほしい。」

パンパンと手を鳴らす。
そこには、リザリテの手が入ったメイド達が、手にボトルを抱いて入って来た。
そして、それを杯についで渡した。

ちょうどその頃にも、別のメイド達が王からの振る舞い酒を杯に入れて渡していた。

そして、乾杯と唱和して飲み干したのだ。
それを見た王の顔は、笑顔であった。
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