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第11章 モンスター

ハロー異世界

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その日は家に帰ってから、小屋に向かっていた。

エメリアにとっての聖域であり、聖典の収まった小屋に向かうのは教会に行く、敬虔な信者と同じである。
が、他人はそんな風に見てくれない。親や兄弟でも、理解は不可能みたいである。
エメリアの聖域は、兄弟からは不条理の城になっていた。

「エミーのやつ、此処を通るからな!」

「声を出すなよ、ザップ!」

「ご、ごめん。」

「静かにしろよ。」

エメリアの兄弟で、兄のハロルド、弟のノアとジョージは草影に潜んでいた。
イギリスでの漫画は浸透はしていない。理由は高額の割には、趣味嗜好が別れている。

真面目で敬虔なクリスチャンにとって、漫画は不浄な物でしか無い。
そして、悪魔な本も見つけたのだ。
男と男の本。
世に言う『BL』本だ。

どの国でも同性愛に理解は無い。
良く、同性愛を認めろのパレイドのニュースがあるが、賛成してる人はほとんどいない。
自分は自分なので、関心も無いのが実情だ。

なのに、『BL』本を愛する女性は増えているとか。

何故、男の同性愛話を好む女子が増えるのかは分からないが、現実と二次元は違うとかも理解は出来ない。

理解出来ないのに、父親の小屋を奪うエメリアを許せる事が出来ない。
そこで、罰を与える事にしたのだ。
『落とし穴』と言う罰を。

「来たのか?」

「まだだよ。」

「落ちるかな?」

海外の落とし穴は辛辣である。
穴を掘って終わりではない、そこに水や落ち葉土を入れて混ぜる。
ふかふかにして怪我をさせないのでは無い。
ただ落ちてもダメなので、汚す。
罰を受ける者は汚されないといけないのだ。

「お、エミーが来たぞ。」

「しー。」

「しー。」

3人は、期待して見ていた。
小屋に向かうエミーの姿は、腐女子がコミケに向かうのと同等の残念な姿なのだ。

エメリアは、成績も良いし運動も良いのだが、この姿に兄弟は引いた。

もし、エメリアがその趣味を隠す事を心掛けていたら、こんな事は起こらなかった。
エメリアは、新刊を胸に抱いて走っていた。
脇目も見ずに、走ってるので、地面の異変にも気付けなかった。

「ふふふふ、進撃の新刊!新刊!」

逸る気持ちのままで、落とし穴に足を入れていた。
此処までの幸せが、泡となる。
あっの声も出す前に、目の前が暗くなったのだ。

「落ちた!」

「やったー!落ちた!落ちた!」

そう言って、駆け寄ったのだが、

「あれ?」

「居ない?」

「そんなに深く掘ってなかったよな?」

落とし穴の後に、エメリアの姿はなかった。







ーーーーーーーー







「キャー、あ?ギャー!」



目の前が暗くなってから、直ぐに青白い場所に落ちた。
エメリアにとって、森から建物の中にいるのだから慌てるし混乱もする。

「痛い。何処よ!此処は何処よ!」

の後に、

「もしかして、異世界?そうよ!異世界だわ!」

と嬉しそうに言い出して、周りを見た。
恭しくしてる王らしき人は居ないし、人は誰も居ない。

「建物だよね?て、私の新刊が無い!嘘・・・・」

事態よりも本に落胆するエメリア。
自分の中で、区切りをつけるまでに時間は掛かった。
何故なら、待ちに待った本だからだ。それを諦めるのに、時間は掛かる。

「くっ!先ずは異世界よね。てか、何処よ此処は!」

青白いのが消えると、奥の方で光が見えたのにその方向に歩いた。

「ステータス、ステータスオープン、リソース。出ない?右か左か?」

右腕を上げて下げたり、左も試してみたが出て来ない。

「違うの?魔法とかも分からないし・・・・・」

光の先に出たのは、貧相な町だった。
待望していたのだが、愕然としてしまった。

「ベビーモードかよ、異世界。」
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