上 下
338 / 505
第11章 モンスター

おめでただってよ

しおりを挟む
四人と久しぶりに会う。
少し逞しくなった、荒木と田渕はまだ良いのだが、恋人になった厚木と竹下に頭を抱えてしまった。

「お久しぶりです!篤郎さん、ルナさん。」

真面目で偏屈だったんだ荒木は、爽やかな男に変貌していた。

「話は知ってましたが、やりますね!」

この軽薄さは相変わらずだが、守る男になったんだね。
そして、

「済みません、こんな体で。」

「私も。もうすぐなんです!」

厚木と竹下の変化がある。
お腹が大きいのだ。

「こ、子供かー。作ってしまったのかー。」

「「「「はい!」」」」

「此処は働くのも住むのも良いですから。」

「困るモノが無いのが安心です。」

「子供を育てる環境も施設も豊富ですもんね!」

「本当に。」

多分だが、アルテウル神国に居たら、こんな事はなってなかった。
それは、日々殺伐とした生活を続けて、魔王を倒すまでは恋愛や行為は有っても避妊はしっかりしてるのが普通だ。
重荷になって、冒険等はあり得ないからが答えだろう。それは、分かる。
しかし、魔王は居ないし、世界の変革と言うか元の生活よりも良い生活を過ごせるのだから、問題なんかは無い。
家も車も土地も、アメリカ郊外レベルがある。
働き口は沢山有るし、休みも十分に有る。
こんな生活を作ったのは篤郎だが、いくらなんでも乗っかり過ぎだよ。

「うわー。どうするよ!」

「どうするとは?」

「んー、お前達に聞きたいのだが、元の世界に帰れるのなら帰りたい?」

「あー。」

「帰りたい?」

「うーん、親には会いたいけど、此処に戻れるなら考えるよ。」

「私も。この年で家を持っているなんて考えられないよね。」

「それに、あの世界よりも魅力ありますよ、この世界と言うより魔国に。」

「マジか・・・・」

何か、してはならない事をしたようだ。
ま、仕方がないよね。

「ちょっと、待ってて。」

「はい。」

篤郎は頭を抱えて、ミネルシルバに聞くことにした。

(ミネルシルバ?)

(見てましたよ篤郎様。)

(こんな結果だけど、報告して戻れる?)

(1日でしたら、アマテラスと調整したら何とか。)

(子供が生まれてからになるから。)

(分かりました。)

一様だが、段取りは出来た。

「さて、本題だが。」

「もう良いのですか、篤郎さん?」

「なんだろう?」

「お前達を、元の世界に帰せる様になった。」

「「「「あー。」」」」

び、微妙な返事だ。

「先に確認だが、どちらの世界を望む?」

「「「「此処です。」」」」

「そうか・・・・」

即答かよ!えっ?元の世界に未練とかないのか?

「こっちで、開業も家も嫁も子供も居ますし。」

「医療も元の世界より進んでるしね。」

「何でも出来るのが、良いよな。」

「友達も出来たもんね。」

満喫してる。俺の国でリア充してるよ。
俺を除いて、素敵な未来を見てるんだ。

「・・・・そ、それでだな。」

「はい。」

「このままでは、未練があるだろう?」

「ああ、多少は?」

「親と兄弟には。」

「そこで、1日だけ元の世界に戻す。もちろん、判断は、各自に任せるよ。」

「1日だけの帰還ですか。」

「何をしよう。」

「それと!」

「「他に何か?」」

「子供が産まれてからだから。良い子を産むんだよ。」

「「「「はい!」」」」

和気あいあい何だろうが、俺以外は順風満帆なん?物語の主人公なのに?

本題よりも、悩む篤郎だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

私を裏切った相手とは関わるつもりはありません

みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。 未来を変えるために行動をする 1度裏切った相手とは関わらないように過ごす

【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜

よどら文鳥
恋愛
 フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。  フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。  だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。  侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。  金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。  父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。  だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。  いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。  さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。  お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。

処理中です...