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第10章 アルテウル

アルテウルの評決

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ミネルシルバは、息抜きの為に下界に降りた事を後悔していた。

その訳は、何時もの様にルナの所にお菓子をもらおうと、気軽に出たつもりでいたのだ。

そこには、アイもレディも居たのだが、篤郎まで居るとは思っていなかったのだ。

遊びに行ったら、怖い先生が居たの○太の様な感じになったのは、初めてでは無い。

「何しにきた?」

「いえ、その。」

「今日は、ケーキですか?ミネルシルバ。」

「えーと。」

「今日は、果物のミルフィーユですよ。」

「日本酒のアイスもあります。」

怖いのが先か、甘い物が先かと言われたら、後者を選ぶのが人情になる。
それは、大神であろうと味覚を知ったのだから食べたいと思うのだ。

ルナの所に行くのは、新たな甘味を味わえるからだ。知らない食べ物を味わえる喜びに勝るモノは無い。

「ほー、神が人の食べ物を貰いに来るのかい?」

篤郎の言葉が変わる時、ミネルシルバは背中に旋律が走る。
それは、あの時のあの人と同じだった。

「いえー。」

「駄目な神になったねー。」

「いえ。(NOーー!)」

篤郎の威圧感は、ミネルシルバにはひしひしと伝わった。
下手な事を言った、らどうなるのかを理解していた。だから、部下に指令を出して行動させた。

決して、自己を守る為の行動だとしても、神なら許されるからだ。本来、神だけ許されているのが、“予言“である。

この“予言“は、占いとかのたぐいでは無い。
世界や天変地異や惑星の破壊等は不可能だが、個人の“お前の未来はー“だと成立してしまう。1神は、一人に何度も行えない事と、何を占っても良いのだ。

そして、篤郎に対してミネルシルバはしてしまったのだ。(後に全員がしてしまった。)だから、今の力関係を作ってしまった。

「あんた、アルテウルの処遇は?」

「イエス、サー!まだ取り調べ中であります!」

「取り調べ?他に罪状でもあるのかい?」

「有りました、イエス、サー!」

「で、あの子達はどうなる?」

「イエス、サー!元の所在と時間軸の確認と各方面に対しての裏取りをしてる所です!」

「ふー。アルテウルはやる気が無いのか。」

「その通りであります、サー!」

「では、アルテウルを呼びな。」

「ゴクッ。」

遅々と進まない結果に、篤郎は切れた。威圧感では無く、殺意を目に宿して、ミネルシルバに命令してきたのだ。
ミネルシルバは唾を飲み込み、

「イエス、サー。」

と、かろうじて返答と敬礼をした。
時間にして何秒だが、ミネルシルバには何時間にも感じたのだ。神なのに。

「連れて来ました。」

新たな神、正義を司るジャスティと勇気を司るカウラが、アルテウルを囚人の様に抱き抱えて現れた。

ミネルシルバの姿は、オリンポスの神の姿なのに、ジャスティとカウラの姿はイタリアの憲兵服の姿で、ジャスティは敬礼をしたのだ。

「アルテウル、久しぶりだな。」

「お前は、あの豚!」

「あ?」

刹那に、殺気が部屋に駆け巡った。
ミネルシルバ、ジャスティ、カウラは元から力を込めていたので、何とか耐える事が出来たが、アルテウルはそんな準備をせず、まともに体に受けて気を失った。

「気を失いました。」

「ちっ。これで、ミネルシルバを封じて大陸中を手中にした神なのかね。」

篤郎はアルテウルの頭に手を置くと、

「『奴隷紋章』×3」

篤郎は神に奴隷紋章を掛けたのだが、掛かるか分からない為に三回同じモノをしてみた。

人なら、頭が破裂してしまうが、神だから耐えれたのか不明だが、アルテウルは光が頭に入るのを見る。

突如、アルテウルは頭を震わせて、目鼻口耳から黒いモノが流れ消えた。

「なっ!」

「今のは・・・・まさか。」

「人の紋章が・・・・」

神達は驚いて呆けた。

「良しと、これで使えるだろう。使えよ?」

篤郎は何時も通りだった。

事の重大さを理解出来ていない。理解してるのは、ルナ達だけなのだから。
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