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第10章 アルテウル
魔国と繋ぐよ 6
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キューレの城は、急な建て増しをしたのだろう。
堅固と言うよりも、岩に閉じ込めた城になっていた。日が入りにくい都と言えば、良いだろう。
万が一でも魔国に勝てたとしても、キューレの未来は見えない。
悲惨で悲劇しか漂っていない。
王都の門番は居ない。いや、サボっているのだろう。
入った瞬間に、色町が右側に広がっている。
たった3ヶ月で、キューレ国は疲弊してるのが分かる。
魔国の恐怖に人の恐怖が重なり、食糧の補給を絶たれても人類を守れと言われているからだろう。
「キューレ国の末路か・・・・」
「外には出ないで下さい、アツロウ様。」
馬車の中から外を見るのは、ダクネトだけだったが、最後の雰囲気は漂っていた。
もはや、救援物資が来ても、魔国と戦争も防衛も出来る状態ではない。
兵に戦う意志があれば別だが、自暴自棄になった烏合の衆では話にもならない。
(主様、城の門に来ました。)
(わかった。)
ゼンタは目眩ましの魔法を解いて、馬車を門の前に停めた。
突然に現れた馬車に驚く衛兵だが、
「ど、何方の馬車か?」
と聞いてきた。どんな悲惨な現場でも、やる気だけは残っている人はいる。彼もその一人なのだろう。
「ダクネト国の王の馬車である!交渉に来た事をキューレ王にお伝え願いたい!」
「うっ?い、へっ?」
「書状を確認願う。」
「はっ!確認いたします!」
御者が全てを行う。
一国を侮る行為なのだが、衛兵は取り次いだのだ。人を欺く事だが、戦争と腐敗と驚きと言う悪循環が揃えば、平民でも王に謁見が叶う。それを応用したゼンタである。
普通なら、御者は切り捨てなのだが、切り捨てられても対応索があった。強行突破をしようとしてたのだから。
詐欺行為だろうが、衛兵の命と城は守られた。
そして、城から兵達が現れて左右に整列した。
と言っても城から門までに配置は無理だった。兵の数が不足しているからだろうか?
「馬車を入れても良いか?」
「は、はい。良いと思います。」
衛兵は項垂れてしまった。心が折れてしまったと言えば良いのか。
ゼンタは衛兵を無視して、馬車を城の入口に着けた。
「主様、到着しました。」
馬車の扉を開いて、先にレオンが飛び出てダクネトが降りた。そして、篤郎が降りた。
嫌だったが、ダクネトの王の衣装を身に纏い、馬車から降り立った。
「な、ダクネト。」
「はい、陛下。」
「この衣装が嫌なんだけど。」
「辛抱してください。これがダクネト国の王の衣装なのですから。」
篤郎が着た衣装とは、首の周りにハリセンみたいなものがあり、赤白の縦ストライプの上着に黄色のマントを背負い、バレリーナの下半身が王の衣装らしい。
顔を白くして眉毛を太くでかくして口紅をつければ、コントの衣装でしかない。悪乗りした、忘年会の姿でしかない。
「・・・・帰る。」
「それはなりませんぞ、主様!」
「ダクネト国の正統な衣装なのです、陛下!」
「嫌だ!これが正統ななんてあるか!」
「あります、陛下!」
「に、似合ってますって、主様!」
「嫌だー!」
服装には拘らない篤郎でも、大勢で格式ある場所に出ていく服装と言われても嫌になる。
まるでドリフの姿でそんな場所にでたいか?と悲観に暮れた。
一方、本当は着ていたダクネトは嬉しそうに篤郎を慰めていた。彼にしても長年着ていたが、本当に嫌だったのだ。
こんな道化服を礼服にした先祖を恨んだりもした。もはや過去の事。
「陛下。これが王なのですよ?」
「要らんわ!」
「要らないと言われましても、法で定められた事なので。」
「イヤー!」
「主、キューレの兵も見てます。急いで下さい。」
ゼンタの真っ当な言葉に、篤郎も口を紡ぐ(頬は含ませている。)と、顔を上げた。
「行くぞ。」
篤郎は顔を真っ赤にしながら、城に堂々と入って行った。
堅固と言うよりも、岩に閉じ込めた城になっていた。日が入りにくい都と言えば、良いだろう。
万が一でも魔国に勝てたとしても、キューレの未来は見えない。
悲惨で悲劇しか漂っていない。
王都の門番は居ない。いや、サボっているのだろう。
入った瞬間に、色町が右側に広がっている。
たった3ヶ月で、キューレ国は疲弊してるのが分かる。
魔国の恐怖に人の恐怖が重なり、食糧の補給を絶たれても人類を守れと言われているからだろう。
「キューレ国の末路か・・・・」
「外には出ないで下さい、アツロウ様。」
馬車の中から外を見るのは、ダクネトだけだったが、最後の雰囲気は漂っていた。
もはや、救援物資が来ても、魔国と戦争も防衛も出来る状態ではない。
兵に戦う意志があれば別だが、自暴自棄になった烏合の衆では話にもならない。
(主様、城の門に来ました。)
(わかった。)
ゼンタは目眩ましの魔法を解いて、馬車を門の前に停めた。
突然に現れた馬車に驚く衛兵だが、
「ど、何方の馬車か?」
と聞いてきた。どんな悲惨な現場でも、やる気だけは残っている人はいる。彼もその一人なのだろう。
「ダクネト国の王の馬車である!交渉に来た事をキューレ王にお伝え願いたい!」
「うっ?い、へっ?」
「書状を確認願う。」
「はっ!確認いたします!」
御者が全てを行う。
一国を侮る行為なのだが、衛兵は取り次いだのだ。人を欺く事だが、戦争と腐敗と驚きと言う悪循環が揃えば、平民でも王に謁見が叶う。それを応用したゼンタである。
普通なら、御者は切り捨てなのだが、切り捨てられても対応索があった。強行突破をしようとしてたのだから。
詐欺行為だろうが、衛兵の命と城は守られた。
そして、城から兵達が現れて左右に整列した。
と言っても城から門までに配置は無理だった。兵の数が不足しているからだろうか?
「馬車を入れても良いか?」
「は、はい。良いと思います。」
衛兵は項垂れてしまった。心が折れてしまったと言えば良いのか。
ゼンタは衛兵を無視して、馬車を城の入口に着けた。
「主様、到着しました。」
馬車の扉を開いて、先にレオンが飛び出てダクネトが降りた。そして、篤郎が降りた。
嫌だったが、ダクネトの王の衣装を身に纏い、馬車から降り立った。
「な、ダクネト。」
「はい、陛下。」
「この衣装が嫌なんだけど。」
「辛抱してください。これがダクネト国の王の衣装なのですから。」
篤郎が着た衣装とは、首の周りにハリセンみたいなものがあり、赤白の縦ストライプの上着に黄色のマントを背負い、バレリーナの下半身が王の衣装らしい。
顔を白くして眉毛を太くでかくして口紅をつければ、コントの衣装でしかない。悪乗りした、忘年会の姿でしかない。
「・・・・帰る。」
「それはなりませんぞ、主様!」
「ダクネト国の正統な衣装なのです、陛下!」
「嫌だ!これが正統ななんてあるか!」
「あります、陛下!」
「に、似合ってますって、主様!」
「嫌だー!」
服装には拘らない篤郎でも、大勢で格式ある場所に出ていく服装と言われても嫌になる。
まるでドリフの姿でそんな場所にでたいか?と悲観に暮れた。
一方、本当は着ていたダクネトは嬉しそうに篤郎を慰めていた。彼にしても長年着ていたが、本当に嫌だったのだ。
こんな道化服を礼服にした先祖を恨んだりもした。もはや過去の事。
「陛下。これが王なのですよ?」
「要らんわ!」
「要らないと言われましても、法で定められた事なので。」
「イヤー!」
「主、キューレの兵も見てます。急いで下さい。」
ゼンタの真っ当な言葉に、篤郎も口を紡ぐ(頬は含ませている。)と、顔を上げた。
「行くぞ。」
篤郎は顔を真っ赤にしながら、城に堂々と入って行った。
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