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第10章 アルテウル

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「と、云う事になった。」

「マスターが動くと、私達の思惑から外れてしまうのですね。」

「ううう、すまん。」

「別にいいです!」

ルナは怒っているように拗ねていた。
口を尖らしているが、可愛らしい。

「どうしよう?」

「そうですね、魔国に併合しますか?」

「領土を拡大するって事かー。」

「ダクネトでは、新たな防壁は難しいですね。」

「考えといて。」

「分かりました、マスター。」

ルナは、今後のプランを考えているようだ。

「あっ。」

「ん?」

「ダクネトの地下に不審な物があるみたいですよ、マスター。」

「ふーん。」

ルナは黙ったまま動かないでいたが、篤郎は物思いにふけたままにいた。
やがて、

「なっ、ダンジョン!ルナ、今ダンジョンって言ったか!」

「違いますよ『不審な物がある』と申しました。」

「不審な物?」

「はい。」

「大きな物?」

「解りません。探してみては?」

「探す?じゃあ、ダクネトは?」

「魔国から人材を派遣します。学問を役に立てたい人が、増えましたから。人数は百人で、住民は奴隷にしてください。」

「えっ?」

「飛び地の魔国を増やしてしまったのは、マスターのせいですよ?私はまだ、『四次元部屋』からでしか動けませんから。お願いします、マスター。」

「分かったよ。直ぐにするよ。」

篤郎は『四次元部屋』から元王の部屋に移動した。

そこには、レオンとダクネト夫婦に兵士達が居た。それも、篤郎の名前を叫びながらとくれば、篤郎を探していたとは分かる。

探していた人物が、空間から出てきたらどうなるのか。

最初は、探していましたとかご無事で良かった等と言われ、その内に訳を聞かれて、思い出して驚く。

流れの様に(コント)起こっているのを見て、篤郎はダクネトの気質を関西人的だと感心していた(レオンは腰に引っ付いていた)。
言葉だけがネックになるのだが、間と某本バリの転け方には懐かしくなってしまっていた。

そして、篤郎は奴隷紋章を掛けたのだ。

ダクネト国はアルテウルの比護から解放された。

それなのに、ダクネト国は魔国になったとは言われなかった。







ーーーーーーーーーーー







「ま、不味い。」

アルテウルは、箱庭で小さくなっていた。

ミネルシルバ神の復活に、魔王の台頭。
勇者達の敗北に、英雄の士。造った土塊は、何処に消えたのかも分からない。

今まで『我が余の春』を謳歌していたのに、『最後の末路』と呼ぶ状態になっていたのだ。

「私のせいじゃない。私のせいじゃない。私の・・・・」

誰でも、最初のミスを犯した時には、ミスを他人のせいにしてしまう。

それは、悪い事なのだが、悪く無いと思いたがる。

理屈は分かっていても、ミスを認めたく無い。特にエリートの人が、認め無いのはどの世界でも良くある。

偉いから謝らない。偉いからミスを認め無い。偉いから・・・・

その偉いには、実は根拠も無い、哀れなプライドとなって自分を苦しめる。

たった一言『ごめんなさい』と言う言葉さえ出ないのだ。

『私は悪く無い』とは、罪を逃れたい人の言い訳だ。

いや、アルテウルは神だ。神も言い訳を考える。

神だからと言う言葉で逃げているのだ。

ただ、神でも人でも逃げ切る事は出来ない。

因果応報とは、今世だけでは無い。今世の罪は来世で償わなくてはいけないのだ。

ましてや、神の今世は長い。

一概に言えないが、那由多の数は生き長らえてるのだ。

但し、神の罪は重い。

人の考えているよりも、遥かな時間を有する。

そして、罪を償う為に、生きる時間を止めて罪を償わなくてはならない。
その罪に耐えられ無くて、堕天するのかもしれない。

ま、神は堕天するのは不可能だし、罪から逃げる事は出来ない。

アルテウルは、ミネルシルバが罪を打診してないのを戦々恐々としていた。

だから、地上を見れないでいた。

相手側もアルテウルを確認出来ないのも解らずに。
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