鴉喰の華 ～日本に転生したのに、異世界に転移させられた！～

第１０章 アルテウル

自重しない暴漢魔？

篤郎の治療(五歳以上は錠剤型対抗薬を飲ますだけ、五歳未満は飲み薬を投与)は、過激だった。

扉を破壊してまで侵入して、口を開けさして何かを飲ます事をしているのだ。

された住人の恐怖は、凄まじいかったと推測される。

兎に角、車で町や村に行くのだが、車からは意外にも騒音も無く、素早く静かに到着してから阿鼻叫喚を起こしていた。

一人の場所に掛かる時間は平均１８分。

短時間に終わらすので、住人達は叫び、泣き、怒りを声に出していた。

気が動転していたのだから、誰も気付かなかった様だが、風邪特にインフルエンザに掛かると声が出にくくなる。頭の熱だけで無く、喉も腫れる。

そう、熱がある場合は泣く事は出来ても、叫ぶ事も怒かって怒鳴る事は出来ない。

服用した者は、数分で熱も気だるさも消えて元気になっているのだ。

理解出来ていない住人は、それは暴漢が来たので奮い立ったから治ったと思っていたのだ。


さて、篤郎の依頼遂行は抜かりは無い。

いや、依頼分は二時間も掛からなかった。ほとんどが家に居たのだから襲撃してしまえば良いのだ。

問題は、領内に居た旅商人や旅人、冒険者の病人だ。普通なら、契約外として見捨てる。

それが篤郎になると、『悪乗りを起こした』として助ける様に襲っていた。

相手は病人なので、抵抗される事無く投薬が出来た。

で、終わらないのが篤郎イズム。

無関係な他所の領地にも向かい、襲った(投薬)のだ。それは、病気になった人も動物も綺麗に治っているのだ。

卑下た笑いと襲われた(投薬)後に、治っていた。

神と呼ぶよりも悪魔としか考えられないが、その的確な治療に感心出来た人は少なかった。回復魔法を使う教会の人達と医術を心得ていた者だけが分かっている。だが、敢えて言わない。混乱よりも秩序を取ったからだ。



結局、篤郎はリーシャルト領から周辺に拡大して、夜になったから戻って車で寝ていた。

良く朝には、住人達の歓喜の声が響いたのだが、篤郎の姿はなかった。

篤郎は動いていた。

あちこちの村や人が少ない集落を中心に、脅し(投薬です)を続けていたのだ。

篤郎から逃れる事は、不可能であった。魔法にて、魔力と赤外線を駆使して探すのだから、動物だろうが逃れられない。

むしろ、抵抗をせずに捕まった方が楽に済むのだ。

その事を誰も知らない。

こうして、ダクネト国のほとんどが回復した。

残りは、上級貴族達の家族と王族になった時点で、篤郎は仕事の完了をしたのだった。