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第10章 アルテウル
不在の攻防戦
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アナスタシアとレベルタンは、警報で目が覚めた。そして、慌てる様にして壁からの報告を聞いた。
「神国連合の進軍が来たようです。」
「距離は?」
「約20キロ。」
「監視を強化、他の門にも知らせを。」
「はっ!」
一応は指揮官としての実績がある、アナスタシアが指示をしていた。
「篤郎様を見た者は?」
居ない主人を探す。
「篤郎様はお休みです、アナスタシア卿。」
「アルケニー王!」
「お久しぶりです。おお、噂の『戦姫』レベルタン様も。」
「皮肉が過ぎますぞ、元王。」
「はは、今は元王達を束ねる、篤郎様の執事です。」
アルケニーは頭を下げた。レベルタンは驚きを隠せずにいた。
「黒い噂しかない、『闇を束ねる王』アルケニー王ですよね?」
「止めて下さい!篤郎様に聞かれたら!」
身震いをするアルケニー。
「済みません。でも、何で篤郎様の執事に?」
疑問を問うのは、魔国に囚われた囚人が、篤郎様の配下として存在してる事実だ。
「あれ?私も篤郎様の奴隷ですよ。南部連合の全ての国の民が、篤郎様の奴隷になって居ます。」
「えっ!魔国に・・・・」
「アナスタシア卿、この方は何かを勘違いしてますね。」
「確かに。何処に居るのかも知らないなんてね。」
呆れる二人に対して、レベルタンは言動と今までの事を思い出していた。
「アルケニー殿、篤郎様はいつ頃目が覚める?」
「かなり疲れて居ましたからな・・・・早くても、五時間は目も開きませんぞ。」
「今起こしたら・・・・・」
「止めて下さい、アナスタシア卿。刑罰よりも被害が・・・・」
「分かってます。でも・・・・」
レベルタンはお悩み中、アナスタシアとアルケニーは考え中であったが、
「発言の許可を。」
屈強な男が声を掛けてきた。
「誰だ?」
「今は平の兵士ですが、そこのレベルタン様の教育係りの者でした、ダルテ・ヒギンスです。」
「ダルテ、発言を許可する。」
「はっ!他の街道からの襲撃の許可を、頂けませんか?」
ダルテは静かに頭を下げた。
「ダルテ、同じ轍を踏むつもりか?」
「いえ、今回は悪戯をしようかと。」
「悪戯?」
アナスタシアとアルケニーは顔を見合せる。
「ええ、前は普通に襲撃を行い、篤郎様から罰を受けましたんで、今回は食料や備品などに限定してみようかと。」
「そんなに上手く行くの?」
「それは、情報次第です。が、今回は打てる手を打たないとと思いまして。
「篤郎様の好みに、合いそうな戦術ですな。」
「アルケニー殿まで。良し、ダルテと腕利きを集めて撹乱を許可する。情報も忘れるなよ?」
「もちろんです!」
「嫌な予感ですか・・・・」
アルケニーは考えていた。元王としての手腕と、今までの情報を組み合わせて考えても不自然な遠征となる。第2陣を直ぐに撤退させた事と、今回の遠征には何かを感じる所はある。
特に篤郎が居ない今は、警戒では無く緊急配備してもおかしくは無い。
アルケニーは愚王であったが、鈍遇な男では無い。闇に関わっていた分、人よりは危険察知は高いのだ。
「アナスタシア卿、私も進言を。」
「何でしょう、アルケニー殿?」
「各門からにも、指令を守れる者を各門から出しましょう。出来るだけ早急に。」
「アルケニー様は、このダルテの事を信用してないのですか?」
「ううむ。」
「アルケニー殿。篤郎様もお気に召す作戦ですし、慎重に行えば問題は無いかと。」
「うむ!早急に取り掛かれダルテ。アルケニー殿にもお手伝いをお願いします。」
「分かりました。私は各門へ向かいます。」
ダルテとアルケニーは即座に場を離れた。
「良し、別に監視を強化!密に連絡を行える様にもせよ!」
かくして、篤郎不在の防衛戦が始まろうとしていた。
「神国連合の進軍が来たようです。」
「距離は?」
「約20キロ。」
「監視を強化、他の門にも知らせを。」
「はっ!」
一応は指揮官としての実績がある、アナスタシアが指示をしていた。
「篤郎様を見た者は?」
居ない主人を探す。
「篤郎様はお休みです、アナスタシア卿。」
「アルケニー王!」
「お久しぶりです。おお、噂の『戦姫』レベルタン様も。」
「皮肉が過ぎますぞ、元王。」
「はは、今は元王達を束ねる、篤郎様の執事です。」
アルケニーは頭を下げた。レベルタンは驚きを隠せずにいた。
「黒い噂しかない、『闇を束ねる王』アルケニー王ですよね?」
「止めて下さい!篤郎様に聞かれたら!」
身震いをするアルケニー。
「済みません。でも、何で篤郎様の執事に?」
疑問を問うのは、魔国に囚われた囚人が、篤郎様の配下として存在してる事実だ。
「あれ?私も篤郎様の奴隷ですよ。南部連合の全ての国の民が、篤郎様の奴隷になって居ます。」
「えっ!魔国に・・・・」
「アナスタシア卿、この方は何かを勘違いしてますね。」
「確かに。何処に居るのかも知らないなんてね。」
呆れる二人に対して、レベルタンは言動と今までの事を思い出していた。
「アルケニー殿、篤郎様はいつ頃目が覚める?」
「かなり疲れて居ましたからな・・・・早くても、五時間は目も開きませんぞ。」
「今起こしたら・・・・・」
「止めて下さい、アナスタシア卿。刑罰よりも被害が・・・・」
「分かってます。でも・・・・」
レベルタンはお悩み中、アナスタシアとアルケニーは考え中であったが、
「発言の許可を。」
屈強な男が声を掛けてきた。
「誰だ?」
「今は平の兵士ですが、そこのレベルタン様の教育係りの者でした、ダルテ・ヒギンスです。」
「ダルテ、発言を許可する。」
「はっ!他の街道からの襲撃の許可を、頂けませんか?」
ダルテは静かに頭を下げた。
「ダルテ、同じ轍を踏むつもりか?」
「いえ、今回は悪戯をしようかと。」
「悪戯?」
アナスタシアとアルケニーは顔を見合せる。
「ええ、前は普通に襲撃を行い、篤郎様から罰を受けましたんで、今回は食料や備品などに限定してみようかと。」
「そんなに上手く行くの?」
「それは、情報次第です。が、今回は打てる手を打たないとと思いまして。
「篤郎様の好みに、合いそうな戦術ですな。」
「アルケニー殿まで。良し、ダルテと腕利きを集めて撹乱を許可する。情報も忘れるなよ?」
「もちろんです!」
「嫌な予感ですか・・・・」
アルケニーは考えていた。元王としての手腕と、今までの情報を組み合わせて考えても不自然な遠征となる。第2陣を直ぐに撤退させた事と、今回の遠征には何かを感じる所はある。
特に篤郎が居ない今は、警戒では無く緊急配備してもおかしくは無い。
アルケニーは愚王であったが、鈍遇な男では無い。闇に関わっていた分、人よりは危険察知は高いのだ。
「アナスタシア卿、私も進言を。」
「何でしょう、アルケニー殿?」
「各門からにも、指令を守れる者を各門から出しましょう。出来るだけ早急に。」
「アルケニー様は、このダルテの事を信用してないのですか?」
「ううむ。」
「アルケニー殿。篤郎様もお気に召す作戦ですし、慎重に行えば問題は無いかと。」
「うむ!早急に取り掛かれダルテ。アルケニー殿にもお手伝いをお願いします。」
「分かりました。私は各門へ向かいます。」
ダルテとアルケニーは即座に場を離れた。
「良し、別に監視を強化!密に連絡を行える様にもせよ!」
かくして、篤郎不在の防衛戦が始まろうとしていた。
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