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第10章 アルテウル

寝不足

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暇では無い。

と、誰もが云うのだが、意外に暇だったりもする。24時間あれば、忙しい時も有れば暇も有る。

篤郎の気持ちは、暇になりたいであるが。

連日連夜の攻防に辟易としてる。
寝かさないのではない、攻防の為による睡眠を奪われている為である。

「あ、あー。」

「お、お疲れですか、篤郎様?」

久しぶりに現れたアルケニーは、書類の山を運びながらも篤郎の目の下を気にしていた。

「俺、寝ても良いよね。」

「書類にサインを頂けたら、ですが。」

「仕事?サインをしたら寝る。」

「毎晩、寝屋は激しいのですか?」

「ねや?」

「寝床です。」

「あははははは、寝屋は激しいぞ!激しい?いや、あれは決闘だ!」

訳が解らないアルケニーだが、元王としての隠語を使った会話をしていた。それが、篤郎には伝わってはいない。
人は思い込みで、齟齬を生む。

だから、思い違いは起こる。

「そうですか。(候補の方達とかか。)」

「そう、夜が、夜なんだよ!(睡眠が欲しい!)」

「大変ですな。(欲に溺れる主人。はっ!此れは好機でわ!)」

「寝たい!寝かせて!」

「しかし、サインは篤郎様しか不可能ですよ。(交渉になるな。)」

「後でやる!きっとやる!必ずやるから!」

「では、私の娘を寄越しても?」

「寝かしてくれるなら、良いよ!」

「分かりました。お休みください。」

「寝てもいいん・・・・グー。」

「良し、直ぐに娘達を呼ばなくては。」

嬉しそうに、アルケニーは部屋を出た。そう、娘(達)を(篤郎様の夜伽に)呼んでも良い下知を得たのだから。

「新たな孫かー。早く出来る様に願わなくては。」

元王としての矜持がなせる事だろうか。

我が子の幸せを願う元父王だが、万人や覚悟が無い者には不可能だと知ることは無かった。



そう、篤郎の部屋には平穏な状態ではない。

女(?)の戦いの場所となっていた。最初は奪うとかだろうが、続くと意地になり、引かない、引かれない事になっていた。

白龍とセキちゃん親子チームとレベルタンとアナスタシアの同盟チームで篤郎のベッドへの入る権利を掛けての戦いをしていた。

戦いも、初めは篤郎案のトランプなどのテーブルゲームだったのが、力に頼る事になっていた。もちろん、龍の力を使えば白龍達の勝ちだが、そんな事は篤郎は許さない。

そこには、篤郎としての矜持があるからだ。

元が女(非処女)でも、今は男である。人間の男の求めるのは、人間の女である。それも、普通の出会いを経てのゴールを求めてはいるのだ。純情なのだが、経験が少ない為(昔も今も)に拘りが凄くある。

乙女な男は、厄介なのである。

それでも、今の状況も理解している。自分を求めている女が居るし、王としての義務と男としての性も大きくあるのだ。篤郎は女が好きになったのでは無い。男だから女を求めるのが自然だし、女の色香にも引かれている事を理解していた。男としての性の気持ちも大きい。

と、篤郎を助けた事を書いたが、彼はムッツリスケベとなっていたのだ。ただ、彼は彼女の時も性の捌け口を、戦いと言うものに変えていたから、オナニーのしかたを知らない。だから、裸や胸や股間や下着姿には興奮をしない。

ムッツリでスケベでオナニーを知らない者が、たどり着く場所は?それは、チラリズムになる。一瞬の姿にエロを感じるのだ。

彼女達にバレるのに時間は掛からなかった。

女でも男でも、視線は重要なアイテムである。

女は男の視線で、自分を評価してるのか、性の対象かを精査している。(落ち着いている事が必至だ。)男は女に対して、言動や仕草、言葉使いで決める(純情ならばである。)。視線を重視した男ならば、もっと違うが今はいい。

そう、篤郎は温かい目で彼女達を見ていたのだ。それが、キャットファイトした時には、欲望の目をしたのだ。

それを見逃さないのは白龍であり、敵を味方に引き込んで篤郎の性癖を観察していた。それは、根気と信念と執念の賜物と云うべきか・・・・

どちらにせよ、女達の共同した戦いを繰り返していたのだ。

その結果として、篤郎の寝不足は続いたのだ。

2晩を過ぎた頃に、寝不足がピークに達したのは誤算だったからだ。


大きな警報音が、新たな侵略者の到来を告げていた。
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