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第10章 アルテウル

神会社

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アルテウルは急いでいた。

神に近い人形を造るのと、純粋な狂信者の魂の選別に。アリテウルの言葉を治した事も、神になってから初めて真面目に取り組んだのだ。人の人形造りも、一生懸命に造っている。神としてよりも、初めて熱中するのだ。

問題には、気にしていない。

神は人を造れない。それを許されて要るのは、大神以上になる。簡単に言えば、契約の書類に決裁印を押せるのは、係長以上だ。神は平社員で大神とは係長になる。会社に例えるのはと云われるが、会社の階級で示すと簡単だ。因みに天使とは、バイトに値する。契約社員では無い。契約社員とは、悪魔になる。

神とて世知辛いのは、神会社の平社員だからなのだ。だから、人には干渉も介入も出来ない。大神(係長)になって介入出来るからだ。

その約定を破った事に気にしてる余裕はない。

復権と支配と管理の為に、勇者を送る。

勇者には、アルテウル神国の王として、全世界を任せる予定なのだから。

アリテウルは汚れ仕事を。

新たな勇者には、アルテウルの手駒としての仕事を。

アルテウルの為の世界を、としていた。

神に願いは無い。するか、しないか。要は、会社への裏切りだが、そんな事は考えてもいない。

もし、彼女が大神から産まれたのなら、神としての自覚はあった。だが、人から昇格した神の最初の仕事である『理』を理解してこなかった。学生の生徒手帳による校則の理解、大人の法律による、社会秩序の理解。初歩の初歩への理解。

破った時の制約(要は刑罰)。

当たり前の事に目を向けなかった・・・・・・


アルテウルは人形を造る。
アルテウルは魂を探す。


この作業に楽しみながら、没頭していた。
そして、

「出来たわ!私の理想!」

それは、大きな胸と細い括れと程好いお尻になる。顔は好みになる。

「うふふふ。最高なスタイルになったわ!・・・・・」

アルテウルは、フッと何かを感じた。
あり得ない胸と細過ぎる腰に違和感を覚えるのだ。

「あれ?何か違う?あれ?」

つくる時は最高を目指すが、大抵の物は駄作になる。素人だろうと玄人だろうと。そして、出来上がった物を見て、つくり直す。
それが、物をつくると云う事だ。
アルテウルも、間違いに気づいた。

「最高の胸だけど、戦うのに邪魔になるわ!腰も動くのに弱点になるわ!ああ、造り直しだ!」

そして、胸を削り腰を太くする。

「あれ?」

そう、最高な物から何かを削ったり足したりすれば、最高だった人形も歪な人形に変わる。

「腕も足して、足も筋肉質に変えて、身長を伸ばしてー。何がおかしいのかな?」

元の美女だった物が、今では歪な物になっていた。
だが、アルテウル自身の手で造った物なので、それなりには愛着もあった。



さて、物造りには必要な事がある。

一つは、造り終わらす事。

次に、途中でめげない事。

そして、諦めない事。

それを守れれば、物は出来る。だが、初心者は最高をつくった時点で終わる。修正何かは手抜きとなり、諦めて終わった事になる。造り終わらすとは違う、終わるである。



しかし、美の神でありながも、何もかも嫌になって終わったのだ。

それは、顔は美形だが、筋肉質で太い脚に、長い手があり、寸胴で平たい胸に仕上がったのだ。

だから、それなりの魂を入れて地上に送りだしたのだ。



誤算は、アルテウルは根が真面目では無い。

造った事に満足して、人形をある程度の存在にしてしまった事に、気付いてはいない。

そして、元から中途半端性格だから、頑張った分を布団へと永喜を求める。



人形は、魔王討伐されるはずの日に送られた。
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