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第10章 アルテウル

アリテウルとアルテウル

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アリテウルが来て神国は変わった。

英雄の生まれ変わり、神の使徒としての役割が大きいのだろう。

打倒魔王の気合いも入り、第3陣の遠征も決まる事になった。

それと、巫女エリザベートだ。

今までは冷たく、気位も高い巫女だったのに、アリテウルが来てから、物腰の柔らかい笑顔と妖艶な色気がある巫女となったのだ。

一夜の事であっても、アルテウル神国が軟化すれば良いと思う人は多く、喜ばれる結果となった。
全てが良好だと誰もが思っていた。

グサッ。

「ちっ、血が付いた。」

「ご苦労様です、アリテウル様。」

エリザベートは、血で汚れたアリテウルにタオルを渡す。

アリテウルは、受け取るのと同時にエリザベートを引き寄せて唇を合わす。お互いを貪る様にして、熱いディープキスを交わしていた。

「あぁ、アリテウル様・・」

「レベルはどうだ?」

「カレラ。」

「はい。アリテウル様のレベルは、18になりました。」

「ふっははははははは!18か!獣を殺した方が早いな!」

「まさか、獣人でもレベルを上げれるとは、知りませんでした。」

「ああ、俺は特別だからな。」

アリテウルは笑顔でエリザベートの肩を掴み、部屋を出た。

「カレラ、処理と補充をお願いします。」

「はい。」

女官のカレラは、エリザベートとアリテウルにお辞儀をした。

カレラは、エリザベートの今を安堵しながらも、アリテウルの行いには、些か疑問を抱いていた。

神アルテウルからの短い神託とアリテウル。そして、獣人達を殺す行為に。

確かに獣人達は奴隷だが、アルテウル神国にとっては重要な働き手でもある。神に使える者にとって、畑や家畜の世話、下働き等の雑務は奴隷達の仕事である。だから、虐めや鞭打ち等の仕打ちはしても、殺す事はしなかった。

だが、アリテウルの指示で奴隷30人を、無抵抗のままに殺したのだ。狩りでも食べるでも無く、殺す事は神の家ではしないものだ。それを行ったのだ。

「片付けをしましょう。」

『はい。』

神の家で、巫女が許す行為が認めるのか?

敬虔な神の使徒として生きてきた、カレラには悩むしかなかった。

神アルテウルの御心のままに・・・・





ーーーーーーーーーー





アルテウルは新たな門を開いていた。
ミネルシルバから取り出した、最後の一滴から新たな勇者を呼び出す為に。

「アリテウルも今を楽しみなさい♪私も切り札を造らないとね。」

造るとは、アリテウルを造って味を占めたのだ。神の力を注いで、レベルも肉体も最高にした、従順な使徒を造れば良いとしていた。

定着させる魂も、敬虔な信者よりも、狂信的な信者の魂を探していた。そこに、アリテウルの戦いの記憶とスキルを持たせ、アリテウルを討てる存在を造っていたのだ。

その為には、泥からでは無く、神の身体から造るのが良い。血もミネルシルバからの物を使う。そう、人類には勝てない存在を造っているのだ。

アリテウルもミネルシルバから出来た存在には、勝つことが出来ないだろう。人の武器も魔法も効かない存在を産み出そうとしていた。

「魔王討伐の次は、アリテウル討伐よねー。エリザベートも汚れたし、次の巫女も探さなくっちゃ。」

少しアリテウルを育てたので、造るのが楽しいアルテウルであった。
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