上 下
252 / 505
第9章 ミネルシルバ

襲う

しおりを挟む
篤郎の1日は忙しい。

訓練でも、書類でも素早く終わらすので、食事の時間は守るし、面会も自由に行う。領地代行は、古参の奴隷達になる。領地の問題は多いが、古参達は通った道。特に風土の問題は解決済みだから、問題点は簡単に説明できる。何しろ自分の実体験を話したりするだけなのだから、面倒では無い。

そう、魔国の一番恐ろしいのは、その国の文化を壊し、風習を潰してしまう事になる。反発も憤りも有るのだが、奴隷と紋章のせいで何も出来ないのだが、心情は残る。時が解決してくれるものだが、今では無い。

人は今を見て、全てだと信じる。間違いでは無いが、時と進歩が時代を変える。例えば、韓国の1900年前後の生活と風習を知っているだろうか。平民の服装は白く、子供を産んだ女は乳房をだし、役人でも黒い服装と言う、単色系という出で立ち。色鮮やかな服装は夢の夢。外国のフィルムが残っているので、見て見ると解るだろう。

それらの文化と政府を潰したとなると、民族的には感情が治まらない。のを治めてしまう現実。

今有るものが、次の日には変わっていると云う所だ。

魔国が一年も建って無いが、急激な早さで他国を喰うのは異例だ。それも、ゴーレム達が支配してるのだから、人の行く末は危うい。と云うのが神国アルテウルの公式な見解だ。


それはさて置き、篤郎の政務は午後9時頃になる。そこからは、篤郎の自分の時間となるのだ。

ストレッチをして、休む方向になる。健康的と言うか、病的な行動である。

18歳の男が、持て余すリピドーをどうにかするものだ。女の事を考えたり、妄想をしたりが有って当然なのだが、篤郎には無い。

実は、異性との事は妄想できるのだが、前世の記憶が邪魔をしているのだ。男としての生理現象と、女としての生理現象を持てば当然だろう。男なのに女の姿とかでは無い。女も男もでも無く、純粋に今は女が好きなのだ。

好きな反面、女としての気持ちや生理現象も理解出来ている。もちろん、化粧品や髪型、服装とかも興味があった。だから、ネットで作る作業を調べて、実際に製作もした事がある。今ではルナ達が、もっと良い物を作っている。

だから、今はする事が少ないのだ。戦の最前線に居るのも、メリットが大きいので、居るのが現実なのだ。

今は奴隷達を鍛える事に情熱を傾けている。

よって、夜は自由な時間がある。

余暇というか、明日の準備とか。だから、誰かが来てもおかしくないのだ。現にセキちゃんやチャーミーは良く来るし、白龍が来た時は戦場になる。
その中で、本物に何も無い日もあった。

それが、今であった。
珍しく本を読んでいたのだが、扉にノックされた。

ルナかセキちゃん達しか訪問客が無いから、来たなと思っていた。
だから、

「開いてるぞ?」

と言うが、中々入って来ない。不思議に思って扉を開いた。
開くと、薄手の寝間着を着た、女が二人居るのだ。

「うおっ!?」

「「こ、こんばんわ!」」

驚く篤郎と、ぎこちないアナスタシアとレベルタン。
二人とも、イヤらしい寝間着なのである。アナスタシアは黒のビスチェ、レベルタンはピンクのビスチェ姿なのだ。

破壊力はデカイ。
下は下着しが目に入るからだ。

「こんばんわじゃね!何て姿なのさ!」

「「ですよねー。」」

「あー、もう!」

篤郎はタンスに向かい、バスタオルを出した。
もちろん、二人の姿に赤くなる。誰がしたよりも、その姿で部屋に戻るにしても恥ずかしいとなるだろうと、バスタオルを出した感じでもある。

実は性に関しては、篤郎は疎いのである。もちろん、女の姿だった事もあるのだが、今は男である。そして、年上の女が薄着で来るとは考えられない。それが、良いともラッキーとも言えないのが、チェリーの心理なのだから。

「そんな格好して、恥ずかしく無いの!」

「「えっ、へへへへ。」」

ぎこちない。篤郎もぎこちないが、バスタオルを差し出した。

「こ、これで、隠して!」

「「ですよねー。」」

がっかりでも無く、ホッとする二人。バスタオルを受け取り身体に巻き付ける。

「着ました。」

着替えるから後ろを向く行為ができる男なので、後ろから振り向く。簡単な事であるのだが、した瞬間に失敗を悟った。

(エロ~!)

と云う感情が先にきたのだ。

確かにエロい。
ビスチェの肩紐が見えているが、バスタオルを巻いた姿にしたのは間違いかもしれない。
特にアナスタシアとレベルタンの胸が強調してるのだ。
無駄に鍛えた身体よりも胸に目が行く。
脱いだら凄いタイプのようだ。

「下着姿で出歩くとは、何で?!」

見てはならないと、思うので声が大きくなる。
注意深く見る事が出来たら、自分の愚かさも判っただろう。そして、何を目的に来たのかも分かっただろう。
ニヤリとしながら、二人は胸を強調した。

「一度、篤郎様とお話ししようと思いまして。」

「それよりも聞きたい事があります!」

「ん、何を?」

「リザイデント様の生まれ変わりについてです。」

驚く篤郎。

誰にも話した事も無いし、張れない事としてたのにと、動揺してしまう。

此処に、罠があった。

どんな人でも、動揺してしまうと、見る事が集中できず、判断も鈍くなるのだ。
そうなると、詐欺等に引っ掛かり易くなるのだ。
核心を付く行為は、まさに判断等の妨げとなる。

「ううう、生まれ!」

「変わりですよね?」

そう言いながら、目をキラキラとするレベルタン。
篤郎の頭には、何故、何処で張れたのかを探していた。普通なら直ぐに分かって、どうするかを考えたが、動揺が酷い中では理解も判断も付かない。

「いや、えっ?いや、あのね。」

動揺した篤郎に、レベルタンとアナスタシアは篤郎を抱き締める。

この時にも、胸を強調している。

アナスタシアのお胸は86のCで、レベルタンは80のBだった。そう、服事情が大きさを悪くしていたが、魔国の下着を身に付けた二人はDとCの大きさを簡単に手に入れれた。

努力をすれば、大きさは増える事も可能だ。

そのお胸が、タオルと下着からも柔らかさと、女性の匂いが篤郎に来るのだ。

「えっ?えっ?えっ!」

「生まれ変わられたのですね!リザイデント様!」

「篤郎様!お情けを!」

と、来られると、どうするなるか?
今の篤郎は、男としての意識が強く動揺してる。リザイデントよりも篤郎の部分が大きく出てる状態だ。もちろん、チェリーなので女に手を出したらになり、手を後ろに組んでどうしようとしていた。

もちろん、二人も普通の女では無い。
元王に使えた女と姫である。身体を差し出す事はある姫と、処女では無い女が組んで来たのだから、一堪りも無いだろう。

「えええっ!」

ベッドに倒される篤郎の動揺はどうすることも出来ないのである。

「お話しを!」

「どうして、やぁん!」

「えっ!ごめん!」

組んでいた手が何処かに当たったのだろう。慌てて手を何処かにしようとして、不自然な格好となる。
何がどうしようとも、変な汗は出てる。大抵の女なら離して逃げる。逃げてくれる事を考えても、逃げない二人。
意識しなくても、女の匂いと胸が篤郎を混乱させた。

「で、何でベッドに?」

「寝ながら話をしようと思います。」

「へっ?」

「私も訓練が疲れてますから。」

「だったら、自分の部屋に・・・・」

「「リザイデント様のお話しが聞きたいのです!」」

「えっ、えー。」

「語って下さい、篤郎様。」

「お願いします。」

汗をかいてる篤郎と、話さない二人。
異様な雰囲気の中で話をしだすのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

妹を見捨てた私 ~魅了の力を持っていた可愛い妹は愛されていたのでしょうか?~

紗綺
ファンタジー
何故妹ばかり愛されるの? その答えは私の10歳の誕生日に判明した。 誕生日パーティで私の婚約者候補の一人が妹に魅了されてしまったことでわかった妹の能力。 『魅了の力』 無自覚のその力で周囲の人間を魅了していた。 お父様お母様が妹を溺愛していたのも魅了の力に一因があったと。 魅了の力を制御できない妹は魔法省の管理下に置かれることが決まり、私は祖母の実家に引き取られることになった。 新しい家族はとても優しく、私は妹と比べられることのない穏やかな日々を得ていた。 ―――妹のことを忘れて。 私が嫁いだ頃、妹の噂が流れてきた。 魅了の力を制御できるようになり、制限つきだが自由を得た。 しかし実家は没落し、頼る者もなく娼婦になったと。 なぜこれまであの子へ連絡ひとつしなかったのかと、後悔と罪悪感が私を襲う。 それでもこの安寧を捨てられない私はただ祈るしかできない。 どうかあの子が救われますようにと。

晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。 「さようなら、私が産まれた国。  私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」 リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる── ◇婚約破棄の“後”の話です。 ◇転生チート。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。 ◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^ ◇なので感想欄閉じます(笑)

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

英雄になった夫が妻子と帰還するそうです

白野佑奈
恋愛
初夜もなく戦場へ向かった夫。それから5年。 愛する彼の為に必死に留守を守ってきたけれど、戦場で『英雄』になった彼には、すでに妻子がいて、王命により離婚することに。 好きだからこそ王命に従うしかない。大人しく離縁して、実家の領地で暮らすことになったのに。 今、目の前にいる人は誰なのだろう? ヤンデレ激愛系ヒーローと、周囲に翻弄される流され系ヒロインです。 珍しくもちょっとだけ切ない系を目指してみました(恥) ざまぁが少々キツイので、※がついています。苦手な方はご注意下さい。

処理中です...