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第9章 ミネルシルバ

戦略?

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篤郎は将棋をするし、チェスも好きだ。

美しく勝つのも好きだが、ねちっこい勝ち方も好きである。特に敵となった者の心を折って、泣いても敗けを認めず、駒を根こそぎ奪う勝ち方がお気に入りでもある。

勝負は戦う前に決めると言う教えに従い、相手を挑発して自分の土俵に上げる。

敗けた者から奪うのは、自尊心や驕り等を狙う。

『悪魔な様な棋士』が篤郎の本来の姿なのか。

ただし、篤郎が狙うのは敵の首では無い。

アルテウルの信仰を削ぐ為に奴隷とするのが目的だ。

決して優しいのでは無い。日本人的な感情も無い訳ではない。それよりも、この星の価値観の方が勝っているのだ。

そして、その事を理解してるのは篤郎でもある。

そう、戦争の中にいるのだから間違う事もある。王公貴族達の卑下た顔に怒る事もあるし、力加減を間違う事もある。それでも、卑下たりした者を殺すよりは生かす方が利用価値があるので、奴隷としている。

そう、死を、楽な道を与える愚策はしない。生かして元以上の利益を生ます事の方が重要なのだ。

利益とは、働くだけでは無い。人質としての利、殴らせる奴隷としての利が大きい。人間の利とは、それだけでも十分になる。

怨みを晴らすのは、巨大なダイヤにも匹敵する。

だから、殺さない様にしているのだ。

篤郎が第三の門から出て、四時間で3つの軍を殴り奴隷化させたのである。

もちろん、それで終わりではない。

五つの門にしたのは、有利に守るだけでは無い。背後から襲うのが篤郎の目的なのだ。

背水の陣では無い。罠に嵌まったガチョウなのだから。

そう、奴隷化した兵を引き連れて、第五から引き揚げてきた敵をそのまま奴隷化して第四の門に現れたのだ。

人としてあり得ない事をする。
それが当たり前の様に。

そして、ランゲ軍と合流したのだ。
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