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第9章 ミネルシルバ
それぞれの戦争
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「飲み物です、篤郎様。」
クラークは執事服で篤郎の側にいる。
もちろん、エストもアミルもメルダもいる。
今は壁の中の篤郎の自室に居るのだ。壁が長いのも、中に部屋を作ったのも篤郎である。門の間は通路だが、門から離れたら列車移動出来る様になっている。門の上も自動車による警備も可能だ。ルナ達の宇宙に上げた、人工衛星による通信は通じているため、進軍を察知するのも早い。
しかし、篤郎が南部連合を落とすのには、判断も出来なかった。悔やまれるが、篤郎なので仕方がない。
「ありがとう。連絡は?」
「ありません。」
「敵の動きは?」
「はい、まだありません。」
大きな紙が広げられると、壁と門を誇張した図が現れる。
門は5ヶ所で形も長さも変わらない。
罠等の仕掛けよりも恐ろしいのは、門入口に仕掛けられた罠よりも、奴隷紋章を掛ける罠が重要なのだ。
要は、攻める=奴隷にしてしまうのが、門の役目なのだ。入ってからの罠の中に罠は普通にあるが、入口が罠だとは誰も思わない。そこに狡猾な罠が待ち構えている。
入る為に決死の覚悟が入り、その門を潜って出たら奴隷になっているのだ。
魔素と魔石の関係で篤郎が居る門にしか仕掛けられ無かった。
それは、ある意味不幸な出来事も起こっていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
「篤郎様の方に約五万の先陣が来てました。」
「主君の言われた通りか。此方の数は?」
「約二万ですね。」
「この地形なのに攻めて来るとは・・・・」
第三の門を預かるビールズは、考えていた。
真ん中の第四の門だけが、広く陣を構えられるのだが、他の門の道は細くて谷の間を進むのだ。陣を構える場所も無いのに、攻めて来たのだから、蛮勇な事と他人事ながら感心もしていた。
「第二と第一からの連絡は?」
「ありません。」
「篤郎様に連絡を。橋の中程に来たら矢をいかけろ。」
「はっ!」
ビールズは双眼鏡で、敵の先頭の顔を見ている。汗を流して疲れた顔をしていた。奴隷なのか、農民なのか分からないが、来たら矢を放つだけ。そんな残虐な事をしなくてはと、嘆く主君を見たのだが、何故敵に涙を流すのか分からないのだ。
「楽な戦争だな。」
ビールズはリンゴを食べた。
絶対的な優位な戦場は少ない。大抵は困難な戦場なのだから。
篤郎の意向で、無駄に攻めて来たら矢を射てと言われているので、守りは十分にある。
こうして静かに時を待った。
ーーーーーーーーーーーーー
「篤郎様の所と三の門に敵が来たのね。此処にも来たから報告に行ってね。」
「はい。して、どうなさいますかな?」
「そうね。私も貴方も守るのは性に合いませんよね。」
「確かに。打って出ますか。」
「そうね。」
「しかし、司令官たるアナスタシア殿が行くわけにもいきますまい。」
「タガスタス殿も高齢では野戦は厳しいでしょう?」
アナスタシアとタガスタスは笑顔でお互いを牽制していた。
誰もが嫌になる睨み合いをしていたが、更に男が割って入る。
「閣下も副官殿も安心しなされ。私の部下達がもう向かってますから。」
「「な!なにっ?」」
「何時でも攻撃は出来ます。」
「ダスンのやつ!」
「同じ作戦を建てる人が多いので、先に動いたのですが・・・・」
「どうした?」
「同じ方々が多かったので、事後承諾を取りに来ました。」
「「えっ?」」
「現在はヘルマン殿が陣頭指揮をしてます。」
「老体殿がか!」
「新たな主に我が力を示したいと申されました。」
「・・・・ダスン殿も大変だったな。」
「何とも言えません。」
涙を見せるダスンと、唖然とするアナスタシアとタガスタス。
彼等は元各国の将軍達であった。もちろん、篤郎と温かい敗れた者達だ。それでも強い者と戦いたい、命を削る戦を望んでいる馬鹿でもある。
その為に、篤郎の命令を違う意味として捉えるのだ。
守る=死守すると。篤郎が懸念するのは、昔の武将の心根がある武士の人がいたらと言う心配だ。だから、としても止める事は出来ない。戦争なのだから。
初戦は篤郎が制して、次は第五の門で戦いが始まろうとしていた。
クラークは執事服で篤郎の側にいる。
もちろん、エストもアミルもメルダもいる。
今は壁の中の篤郎の自室に居るのだ。壁が長いのも、中に部屋を作ったのも篤郎である。門の間は通路だが、門から離れたら列車移動出来る様になっている。門の上も自動車による警備も可能だ。ルナ達の宇宙に上げた、人工衛星による通信は通じているため、進軍を察知するのも早い。
しかし、篤郎が南部連合を落とすのには、判断も出来なかった。悔やまれるが、篤郎なので仕方がない。
「ありがとう。連絡は?」
「ありません。」
「敵の動きは?」
「はい、まだありません。」
大きな紙が広げられると、壁と門を誇張した図が現れる。
門は5ヶ所で形も長さも変わらない。
罠等の仕掛けよりも恐ろしいのは、門入口に仕掛けられた罠よりも、奴隷紋章を掛ける罠が重要なのだ。
要は、攻める=奴隷にしてしまうのが、門の役目なのだ。入ってからの罠の中に罠は普通にあるが、入口が罠だとは誰も思わない。そこに狡猾な罠が待ち構えている。
入る為に決死の覚悟が入り、その門を潜って出たら奴隷になっているのだ。
魔素と魔石の関係で篤郎が居る門にしか仕掛けられ無かった。
それは、ある意味不幸な出来事も起こっていた。
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「篤郎様の方に約五万の先陣が来てました。」
「主君の言われた通りか。此方の数は?」
「約二万ですね。」
「この地形なのに攻めて来るとは・・・・」
第三の門を預かるビールズは、考えていた。
真ん中の第四の門だけが、広く陣を構えられるのだが、他の門の道は細くて谷の間を進むのだ。陣を構える場所も無いのに、攻めて来たのだから、蛮勇な事と他人事ながら感心もしていた。
「第二と第一からの連絡は?」
「ありません。」
「篤郎様に連絡を。橋の中程に来たら矢をいかけろ。」
「はっ!」
ビールズは双眼鏡で、敵の先頭の顔を見ている。汗を流して疲れた顔をしていた。奴隷なのか、農民なのか分からないが、来たら矢を放つだけ。そんな残虐な事をしなくてはと、嘆く主君を見たのだが、何故敵に涙を流すのか分からないのだ。
「楽な戦争だな。」
ビールズはリンゴを食べた。
絶対的な優位な戦場は少ない。大抵は困難な戦場なのだから。
篤郎の意向で、無駄に攻めて来たら矢を射てと言われているので、守りは十分にある。
こうして静かに時を待った。
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「篤郎様の所と三の門に敵が来たのね。此処にも来たから報告に行ってね。」
「はい。して、どうなさいますかな?」
「そうね。私も貴方も守るのは性に合いませんよね。」
「確かに。打って出ますか。」
「そうね。」
「しかし、司令官たるアナスタシア殿が行くわけにもいきますまい。」
「タガスタス殿も高齢では野戦は厳しいでしょう?」
アナスタシアとタガスタスは笑顔でお互いを牽制していた。
誰もが嫌になる睨み合いをしていたが、更に男が割って入る。
「閣下も副官殿も安心しなされ。私の部下達がもう向かってますから。」
「「な!なにっ?」」
「何時でも攻撃は出来ます。」
「ダスンのやつ!」
「同じ作戦を建てる人が多いので、先に動いたのですが・・・・」
「どうした?」
「同じ方々が多かったので、事後承諾を取りに来ました。」
「「えっ?」」
「現在はヘルマン殿が陣頭指揮をしてます。」
「老体殿がか!」
「新たな主に我が力を示したいと申されました。」
「・・・・ダスン殿も大変だったな。」
「何とも言えません。」
涙を見せるダスンと、唖然とするアナスタシアとタガスタス。
彼等は元各国の将軍達であった。もちろん、篤郎と温かい敗れた者達だ。それでも強い者と戦いたい、命を削る戦を望んでいる馬鹿でもある。
その為に、篤郎の命令を違う意味として捉えるのだ。
守る=死守すると。篤郎が懸念するのは、昔の武将の心根がある武士の人がいたらと言う心配だ。だから、としても止める事は出来ない。戦争なのだから。
初戦は篤郎が制して、次は第五の門で戦いが始まろうとしていた。
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