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第9章 ミネルシルバ

魔王道

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アルケニー国の国境から近い村に、人が居なくなっていた。

居なくなったと言いたいが、村ごとなくなっていたのだ。家や人が居た痕跡ごとなくなっていた。

アンバー国の間者からの報告で、各国がアルケニー国の情報を得れたのは、ここまでで後の連絡は無い。

アルケニー国に何が行われて居るのかは、南部諸国の悩みになっていた。小国の、戦力を十二分に残した国の連絡が途絶えたのだ。心配と言うのであれば、そうなるのだが、別の事で心配なのだ。

それは、闇ギルドの消失にある。
闇ギルドには、各国は頭を抱えているが、治安の面では大いに役に立っていたのだ。無くなったのだから、治安の悪化と犯罪者が増えたのだ。

『悪の巣窟』アルケニー国。

アルケニー国の調査よりも、各国は治安回復に躍起になっていたのだ。
それが、この世界の変革に繋がるのだが、魔王となった篤郎には解らない事だ。

その篤郎は、

ピシャッ!

「押せー!」

「へーい!」

鞭を叩いて、十数人を使い、古い建物を壊していた。

篤郎の魔法の方が早いのだが、あえて行っていない。何故なら働いているのは、元王公貴族達と元大商人達だからだ。一つの家の解体を30人で行っているのだ。ちなみに、建物とは貴族街の建物全部だ。王公貴族の娘や嫁達は、病院にて看護及びお世話をさしているし、男達には土方仕事をさせている。

後、城は行政府として置いておくが、他の建物は壊して家を建物予定だ。

改造は地方からサクサクと終わらしている。城がある町よりも、出来上がった村の方が住み心地が良いのだ。アメリカの郊外の住宅の広さが最低の個人の住む土地にしている。

住宅を建てる職人も鍛冶屋も、1から育てなくてはならない。ま、ホームレス達の住みかを城にしたり、貴族の屋敷にしてる。不便だが、その内に家をあげれば良いだろう。他にもやることは多いので、軽く認めたやることリストを各地に配ってはいるからな。

ああ、道路整備は元軍隊にやらしている。討伐は馬達に任せてる。虫のティムも必要だな。

そうそう、連絡係は元闇ギルド連中だ。文句があるなら拳で語ろうか?と言ったら、献身的に働くよ。過去の取引や悪事等は書面化してる。ま、逃げたり不埒な事を考えたら、地獄の偏頭痛をプレゼントしてる。どれくらいなのか?取り敢えず『地面に這いつくばって、足をバタバタ』レベルにしてる。

後、何人かは『俺様』な考えをしていたので、拳で語ったよ。

負けたら、『悟空の輪』の刑にした。気分転化に頭を破裂を行えるよ。

病人は老人と悪化した者だけにするように、努力はした。ルナ達の支援がなければ、無力だからね。死人も出たよ。

冬が来る前に、各地に家を作ら無いとな。

だが、やはり人力では間に合わない。篤郎の魔法なら全てが解決するのだが、篤郎はしたくなかった。

人が出来る事をやる。そんな事がしたかったのかは解らないが、魔国と違う方法で進めている。機械工学を知らない人が、町作りをしたらどうなるのかを知りたかったのだろうか?篤郎も子供達の村の様な事はしてない。知識だけを与えて、魔法を出来る者を扱き使かっている。回復魔法を出来る者を集めた講習とボロボロになるまでの実地の繰り返しだ。

ちなみに契約により、アルテウル信仰は棄てて、ミネルシルバ信仰にしてみた。ちょっとした嫌がらせだし、篤郎にとってのライフワークなのだ。

篤郎は、医術系、建築系、鍛冶系、農業系に分けて、魔法を組み込まして行う事を実行させた。本当に役に立たない魔法使いには、篤郎も腹が立っていたからだ。

次いでに、元冒険者達には、モンスター退治をやらしてみた。
約20人居ても、10匹のオークとボロボロの戦いを、篤郎に見せて切れられた。
実地の訓練では、素手で冒険者達と千人組手をして見せて、息も切らさずに即座に終わると言う恐怖を植え付けて、冒険者達の心に傷を着けた。

そんな生活を1ヶ月過ぎた頃。

人の雰囲気が変わっていた。
互いが尊敬し合う世の中の様に見えたのだ。
篤郎の前だけかもしれないが、それでもそう見える世界は幸せだ。自分の手で、周りを幸せにする世界。昔に憧れた様な気がするが、まぶしい国に変貌したのだろうか。
まだ解らないが、篤郎はそう感じた。

「篤郎様。」

クラークから筆頭執事になったアルケニー元王が、声を掛けた。

「なに?」

「はい。クラークから連絡が入ったのですが、ラプス国の軍が領土に侵入したようです。」

「ふーん。で、警告は送ったのか?」

「はい。ラングルトが行いました。」

ラングルトとは、元闇ギルドの幹部で、今は諜報部隊の長でもある。

「了解。馬車の用意を頼む。」

「はい、解りました。」

アルケニーは頭を下げて、部屋を出た。
もう、そこには昔の傲りは無い。

「くそー、アルケニーって国は糞みたいな国だったんだな。」

篤郎の手には、1枚の書類が握られていた。

「はー、ラプス国の中枢も腐りきってるから落とすか。」

篤郎は、一度伸びると部屋を出た。

新たな戦いが篤郎を待っている。
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