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第9章 ミネルシルバ

救い

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「く、くる、うっぷっ!」

お腹が出た屍と化した四人を乗せて馬車を走らす。こうなったのだから速度を出して、オートミールまみれにも出来ない。だから、走るよりも歩いているが正しいのだろうか。

食べる事に問題は無いし、良く食べたとも喜びはあるが、吐きそうになるまで食べるのは良く無いよな。第一、肥る源になるからな。

とにかく、苦しそうな四人には悪いが、先を急ぐ事にした。

馬車の乗り心地は良い。クッションが無いから百点には届かないが、揺れが少ないのは大きい。

馬車を歩かす事、二時間。貧しい村なんだろう場所に差し掛かった。屋根は打ち付けの木のみの建てただけの小屋に住むって、罰ゲームかと思うぞ。

もちろん、関わりたく無い篤郎は側を離れようとしたのだが、

「馬だ!」

「スゲー!」

ワラワラ子供達が現れたのだ。約20人くらい居る。いや、もっと増えそうだ。

服も、ボロだぞ?

「フェイト止まれ。」

篤郎の声に馬達も止まった。フェイト達の凄い所は、理解も人の言葉も分かるモンスターに進化してる事だ。無論、人の言葉も話せるが混乱しないように禁止はしている。

「お前達の親は?」

名前も名乗らずに失礼な事を聞いた。いや、親に文句が言いたくなったのだ。馬車の前に出る事は、引かれに行くようなものだからだ。

「居ないよ。」

「仕事か?」

「此処に居ない。」

「ん?居ない?」

「俺、捨てられた。」

「俺も。」

「あたしも。」

篤郎の額から汗が流れた。
面倒な事になったぞ。

多分処の話では無い。死を待つ子供達って、見捨てる事も出来ないからな。

「腹減って居る人!」

篤郎が手を上げると、皆同じように手を上げたのだ。篤郎の顔はちょっと赤みが帯びた。少し嬉しいのだ。

「仕方ないなー。」

篤郎は馬車から降りると、馬を放して周りを警戒さした。無論、狩りもお願いしてる。

篤郎は、そそくさとおにぎりを作る準備をしだした。

出来上がるまでに、村を確認し、井戸も枯れた村を見て、篤郎は土地を決意した。

だって、子供達が後ろを付いて来るんだよ。何歳か分からないが子供が子供を抱いて追いかけ来るのを見捨てる事は出来ないよ。

「良し、決めた。」

炊いている場所に戻ると、子供達を集めた。

「もう少ししたら、食べる物をあげる。その代わりに俺が守ってあげるが、どうする?」

ポカーンとする子供達だったが、

「大人の言うことなんか聞けるか。」

「親に捨てられたのに、守るって。」

「無理な事を言うな!」

篤郎は白い食パンを取り出して、食べる。子供達は、その食べる行為を凝視していた。

「温かいのを食べる前にパンを欲しい人。」

篤郎は新しい食パンを手にしていた。文句を言うよりも欲しいと子供達は我先にと篤郎に群れた。

お腹の虫も欲しいのか、鳴っているからな。飢えた子供に大量な食糧は厳禁だ。飢えた子供にほどほどの食べる事も強要出来ないからだ。

パン一枚を食べさせ、栄養ドリンクを飲ませる。お腹の足しにする為と、話の続きをしたい為だ。

「で、どうする?」

聞くまでも無いな。目がキラキラしている。

「弱って者とか居るか?」

「あの家とあそこにも居るぞ!」

子供達の指を差した所に、篤郎は急いで行った。

「入るぞ!」

あばら家に入ると病人が8人いた。どれも栄養失調と臓器の損傷のようだ。深刻な事だ。栄養には食事を必要なのだが、食べても栄養に変える臓器が機能していないので不可能に近い。魔法でも回復は出来ない。臓器を治しても、そこに変換する栄養素がないし、身体自体に栄養素が無いからだ。

で、一番早いのが点滴になる。血の流れる血管は、身体内部の臓器に栄養を運んでいるからだ。食物取るや栄養ドリンクを胃に入れるよりも、血と混ぜる方が早い。人間にとっての血は、車のガソリンなのだ。ガソリンが流れる事によって、動くのだ。おおまかだけど・・・・

てな訳で、点滴を用意しないといけない。静脈に点滴する為の道具は、刺す針と点滴の道具だ。確かルナの作った医療キットが確かあったのだが・・・・

うん、1人分はあった。

普通ならそれで終わりだが、篤郎は違う。

新たな針を土魔法で作る。固めでは無い。土から針に適した物質を集めて作るのだ。錬金術にも似た使い方をするのが、篤郎の恐ろしい所だ。土や海水でも微量だが、鉄や銅、銀や金などのあり得ない物質は含まれている。深く掘り下げると怖いので言わないが、ありとあらゆる物質が1リットルに対して0、0001%ぐらいは含まれいるのだ。それらを合わせると、ありとあらゆる物が出来る。その為には集めて摘出をしないといけないのだが、魔法は違う。科学式を得た魔法使いに掘るなどの原始方法は必要ない。ただ、物質を集めて具現化すれば良いのだ。そうすれば、必要な物が揃うのだから。

点滴の液には、フルポーションを使う。点滴もスポーツドリンクと大差は無いのだ。使うのが当たり前だろう。
道具が揃ったから、治療を開始にはならない。

次に、

「『フルクリーンMAX』!」

部屋の汚れ、身体の汚れを落とす。

「取り敢えず、屋根直して床を上げて壁も分厚して、もう一度『フルクリーン』だな。」

ベッドは我慢してもらって、魔法で作った魔法の(?)道具を血管に差していく。魔力感知によるスキャンが脳裏にあれば、動脈血管を綺麗に映して細くなった血管でも簡単に刺せる。

「『回復』してくれよ。」

点滴と魔法を併用した治療はまさに万能である。

篤郎は医療として行ったが、この治療は後に絶大な別な効果を生み出す事になる。篤郎も知らない事だが。

今は助かった命にホッとしていたのだ。
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