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第9章 ミネルシルバ
惨劇再び
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「ブルルル!」
「フェイト、ワン、ツゥル、フェン久しぶりだな。」
と馬のモンスターと会話をする篤郎。
人と相容れないモンスターが、甘える様に篤郎に頭を擦り寄せている。
四人は引くしかないのか、見ている。
「バトルホースだよね?」
「軍馬の?」
「でも何か違うような?」
バトルホースは馬に歪な角が額から伸びた馬のモンスターなのだが、篤郎の側にいる馬には角がウルトラセブンの様になっているのだ。額からは2本から3本出ているのだ。
「ジェネラル?いや、カッパー以上だ。見た事が無い。」
クラークも大粒の汗を流しながら、知っている事を言う。それ以上の言葉に三人も唾を飲み込んだ。
篤郎は、一頻り撫でた後に、馬車に繋げる。
「良し、馬車が出来たぞ。」
御者席に篤郎が座る。
呆けたままの四人に篤郎が、
「早く乗れよ。置いて行くぞ?」
「はっ!エスト乗るぞ!」
クラークは何とか意識を戻して、皆を乗り込ませた。
「んー、お前達は初めてだったな。シートベルトは代用がないしな。困ったな、うーん。」
クラークだけが、一抹の不安を感じていた。
「バーだな。ジェットコースターのバーにしよう!うん、良いな!」
簡単に丸太でバーを作ったようだ。そして、固定される。
「良し!久しぶりに・・・・いっちょ走りますか!」
アミス、エスト、メルダに記憶があったのは、篤郎の「ぐひゃひゃひゃ!」の声だけだった。耐えたクラークは悪魔の馬車を見ることになった。
『ヒ、ヒーン!』
「行けー!」
それはとてつもないGが襲ったのだ。初速であらんかぎりのスピードが出ていた。走るよりも宙に浮いている感じだ。
次に見たのは、アントの群れを引き殺している風景だった。モンスターを引き殺す馬車。無い事が目の前に起こっていた。そして、馬達もモンスターを的確に探し当てていた。大蛇でも合成獣でも土竜さえも、その足元に殺していたのだ。移動した距離は短いが、走った距離は恐ろしく長い。
クラークは心の中で「嘘であって欲しい」と願いつつも惨劇を見ていたのだから、日常を壊すのに足る事であった。
そう、騎士としての矜持も戦う者の心根さえもぶっ壊した。そこには、世界のスキルもレベルも強者の仁義も無い、倒せないモンスターをただ引き殺す姿を見ていた。
しばらく走ると、悲鳴が聞こえた。
「アブベベベベっ!」
「悲鳴だな!行くぞ、野郎共!」
「ヒヒヒーン!」
悪魔の馬車が悲鳴の方に向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アルケニー国のシルフットの森には開拓村がある。
その名前の無い村にも徴兵で男手は減る事になっていたのだが、力ある女が多い為に困る事はなかった。木こりとして、開拓村を支えていた。
平和なのどかに思われた村でもある。先の討伐にも木材が多く出た為に収益は大きくある。
そう、そこで何もなければ良いのだが、悪党には通じ無い。
金と女、食い物と酒もあると噂が出ただけでも危ない。
力自慢が居ても、所詮は女と子供と老人が多数を占めている村に、盗賊達は手を結び、襲撃をしたのだった。
「頭!少し壁に時間が掛かってます。」
「時間を掛け、たっぷり恐怖を与えな。他の所は?」
「ダルトの西門も攻めあぐねてます。アレグの北門も手こずってました。レブリントの南門は時間が掛かりそうですね。」
「ふんっ!どうせ落ちるのを待っているんだ。こっちは変わらず攻めな!」
「へい!」
漁夫の利を狙った盗賊達の結束は脆い。しかし、利益を得たいが被害は最小限にしたい気持ちが勝っていたのも、盗賊達の気持ちは同じだった。長く時間を掛けて、心を折る事に苦心していた。
心さえ折れば、後が楽なのは分かっていたからだ。
苦心して行う悪行には、天罰がつきものになる。それは、失敗では無い。突然の人災が引き金になるからだ。
ヒヒヒーン!
馬の嘶きが聞こえた。争いの中にあって、獣やモンスターが逃げる道中に鳴いたと思った。
次にパカッロン、パカッロン、パカッロンの音がしたと思い、音の方を見た盗賊がいたのだが、
「へぶ!」
「ぎょ!」
「あっぶ!」
東門の頭が、最後に考えたのは(馬が来た!)であった。頭を踏まれた盗賊達の殲滅に10分も掛からなかった。
ただ、「げひゃひゃひゃひゃひゃ!」の笑い声の後に襲撃が止んだ。
「襲撃が止んだ?様子を確認だ。」
門を守った女が見たのは、
「ひぃ!ぜ、全滅してる!」
おぞましい、死者の姿だけだった。
この光景を西門でも北門でも南門でも同じ様に起こった。
笑い声とともに来て、笑い声と共に去っていたのだ。
そして、東門で、
「大地を綺麗に!」
一度、大地が波打ったが、直ぐに治まった。
恐る恐る翌朝に見たのは、有るはずの死体も血も無くなっていたのだ。
「フェイト、ワン、ツゥル、フェン久しぶりだな。」
と馬のモンスターと会話をする篤郎。
人と相容れないモンスターが、甘える様に篤郎に頭を擦り寄せている。
四人は引くしかないのか、見ている。
「バトルホースだよね?」
「軍馬の?」
「でも何か違うような?」
バトルホースは馬に歪な角が額から伸びた馬のモンスターなのだが、篤郎の側にいる馬には角がウルトラセブンの様になっているのだ。額からは2本から3本出ているのだ。
「ジェネラル?いや、カッパー以上だ。見た事が無い。」
クラークも大粒の汗を流しながら、知っている事を言う。それ以上の言葉に三人も唾を飲み込んだ。
篤郎は、一頻り撫でた後に、馬車に繋げる。
「良し、馬車が出来たぞ。」
御者席に篤郎が座る。
呆けたままの四人に篤郎が、
「早く乗れよ。置いて行くぞ?」
「はっ!エスト乗るぞ!」
クラークは何とか意識を戻して、皆を乗り込ませた。
「んー、お前達は初めてだったな。シートベルトは代用がないしな。困ったな、うーん。」
クラークだけが、一抹の不安を感じていた。
「バーだな。ジェットコースターのバーにしよう!うん、良いな!」
簡単に丸太でバーを作ったようだ。そして、固定される。
「良し!久しぶりに・・・・いっちょ走りますか!」
アミス、エスト、メルダに記憶があったのは、篤郎の「ぐひゃひゃひゃ!」の声だけだった。耐えたクラークは悪魔の馬車を見ることになった。
『ヒ、ヒーン!』
「行けー!」
それはとてつもないGが襲ったのだ。初速であらんかぎりのスピードが出ていた。走るよりも宙に浮いている感じだ。
次に見たのは、アントの群れを引き殺している風景だった。モンスターを引き殺す馬車。無い事が目の前に起こっていた。そして、馬達もモンスターを的確に探し当てていた。大蛇でも合成獣でも土竜さえも、その足元に殺していたのだ。移動した距離は短いが、走った距離は恐ろしく長い。
クラークは心の中で「嘘であって欲しい」と願いつつも惨劇を見ていたのだから、日常を壊すのに足る事であった。
そう、騎士としての矜持も戦う者の心根さえもぶっ壊した。そこには、世界のスキルもレベルも強者の仁義も無い、倒せないモンスターをただ引き殺す姿を見ていた。
しばらく走ると、悲鳴が聞こえた。
「アブベベベベっ!」
「悲鳴だな!行くぞ、野郎共!」
「ヒヒヒーン!」
悪魔の馬車が悲鳴の方に向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アルケニー国のシルフットの森には開拓村がある。
その名前の無い村にも徴兵で男手は減る事になっていたのだが、力ある女が多い為に困る事はなかった。木こりとして、開拓村を支えていた。
平和なのどかに思われた村でもある。先の討伐にも木材が多く出た為に収益は大きくある。
そう、そこで何もなければ良いのだが、悪党には通じ無い。
金と女、食い物と酒もあると噂が出ただけでも危ない。
力自慢が居ても、所詮は女と子供と老人が多数を占めている村に、盗賊達は手を結び、襲撃をしたのだった。
「頭!少し壁に時間が掛かってます。」
「時間を掛け、たっぷり恐怖を与えな。他の所は?」
「ダルトの西門も攻めあぐねてます。アレグの北門も手こずってました。レブリントの南門は時間が掛かりそうですね。」
「ふんっ!どうせ落ちるのを待っているんだ。こっちは変わらず攻めな!」
「へい!」
漁夫の利を狙った盗賊達の結束は脆い。しかし、利益を得たいが被害は最小限にしたい気持ちが勝っていたのも、盗賊達の気持ちは同じだった。長く時間を掛けて、心を折る事に苦心していた。
心さえ折れば、後が楽なのは分かっていたからだ。
苦心して行う悪行には、天罰がつきものになる。それは、失敗では無い。突然の人災が引き金になるからだ。
ヒヒヒーン!
馬の嘶きが聞こえた。争いの中にあって、獣やモンスターが逃げる道中に鳴いたと思った。
次にパカッロン、パカッロン、パカッロンの音がしたと思い、音の方を見た盗賊がいたのだが、
「へぶ!」
「ぎょ!」
「あっぶ!」
東門の頭が、最後に考えたのは(馬が来た!)であった。頭を踏まれた盗賊達の殲滅に10分も掛からなかった。
ただ、「げひゃひゃひゃひゃひゃ!」の笑い声の後に襲撃が止んだ。
「襲撃が止んだ?様子を確認だ。」
門を守った女が見たのは、
「ひぃ!ぜ、全滅してる!」
おぞましい、死者の姿だけだった。
この光景を西門でも北門でも南門でも同じ様に起こった。
笑い声とともに来て、笑い声と共に去っていたのだ。
そして、東門で、
「大地を綺麗に!」
一度、大地が波打ったが、直ぐに治まった。
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