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第9章 ミネルシルバ

世は情け

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「うあ・・・あっ。」

言葉が喋れないのは、喉を潰されているからだろう。こっちは、目と喉と舌を切られた男だ。そんな人が四人いたのだ。病人よりも質が悪く、奴隷でも殺さないと駄目な人。
篤郎は頭を描くしかなかった。

「あー、言葉は解るな?」

篤郎の言葉に四人は頷いた。

「良し、では治るなら治したいか?」

しばらく、考えて四人が頷いた。まさか、治るとは考えていないからだ。

「お、了解。じゃ、一人づつ治すな。」

次いでにするよ的な言葉に、四人は疑問しかなかった。
が、

「次な。」

「生える・・声が!目・・・・」

異様。神なのか?信じられないが、傷を治し、手足を生やす奇跡を見ていた。

「終わり。」

篤郎が四人目を治すと、他の三人が土下座をしていた。
篤郎は思った、土下座は万国を越えるのね、と。
飽きれていたのだが、

「見える!声が!手足が!」

と治した女が叫ぶと、ボロボロ達の唯一の男が、

「新たな御主人様、神様。ありがとうございます!」

「「ありがとうございます!」」

「か、神って、俺は人間だぞ。」

篤郎は更に飽きた。よりによって神と間違えられたのだ。
畏れ多い?いや、馬鹿と間違えられた事に怒りさえ出そうだ。

「神では無いのですか?では、御使い様?」

言っては成らないワードが決まった瞬間でもあったようだ。
篤郎は男の顔を踏みつけて、

「ちーがーうー!人間!リピートアフタミー、人間!」

「に、にんべん。」

足を戻した篤郎は、

「取り敢えず、お前達の事を聞こうか。」

四人から聞いたのは、
クラーク・エスターン、45歳、男、元エスワーダ国の騎士。エスワーダは西にある小国で帝国に滅ぼされたそうだ。

エスチェト・バハル・エスワーダ、21歳、女。エスワーダ国王家最後の生き残った姫らしい。8歳の時、クラークに連れられて落ち延びた。東のアルテウル神国に逃げたが奴隷に落ちたそうだ。

エスメルダ・エル・ファミータ、17歳、女。元ラクラット国の伯爵の娘。謀略により奴隷になった。

アミス・レコット、22歳、女。アルケニー国のサイハット侯爵家の忌子。御家騒動の為に売られたそうだ。

聞けば聞くほど、厄介しかないものが二人もいる。四肢を潰され、喉も潰されてるのだ。そうなると四人とも厄介の種なんだろうと考えられるのが怖い。
ルナの考えが分からないが、もし操っているなら怖いよな。違うよな!操ってないよな!

篤郎は頭を悩ませる事になったのだった。
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