205 / 505
第9章 ミネルシルバ
旅は道連れ?
しおりを挟む
この世界で、荷物も持たず武器もなく防具もない人が、堂々と街道を歩く事はない。そんな馬鹿は、モンスター達の餌になりに行く様なもの。
「夏だねー。」
暑い日射しの中を歩くのは篤郎だけだろう。
何も持たないのは、間抜けか強い存在かと言えるが、篤郎は前者にしか見えない。身長も170㎝もないし、顔も痘痕が無くなっただけのモブキャラ顔だ。
篤郎は、主人公らしいのはいらない。ただ、平和が一番なのだから。
だが、この世界には平和は無い。なぜならモンスターが居るのだから。
「キャー!」
「助けてー!」
そんな篤郎でも、救援には敏感になる。救済は昔からの教えだからだ。
声の方に駆け出した。
そこには、馬車の一団と冒険者達と戦うゴブリンの群れを見つけた。
「ゴブリンのクセに、何で連係が出来ているんだ!」
「チャム、ヒールをくれ!」
「デレクがやられたー!」
冒険者達は敗戦ムード、商品達も殆ど死ぬ手前になる。篤郎は、即座にゴブリン達に魔法を放った。
「アホンダラー!」
決して魔法やルーンを唱えた訳で無くて怒っただけだが、沢山の氷の槍がゴブリン達にのみ降り注いだのである。
「大丈夫か!」
篤郎は、その光景に呆ける人々に対して声をかけた。
「へ?ああ、ゴブリン達は?」
1人のいや、その場の負けていた人達は自分の周りを見ていた。
「面倒だな、ほれ。」
広範囲中級回復魔法を事も無く使ったのだ。で、
「痛、く無い?た、助かったのか?助かったんだ!」
と言う人達が起き上がって来たのだ。
歓喜の声が上がる中、篤郎と言えば、
「ここいらのゴブリンのコアは貧相だな。集めてもたいしたモノにならんな。」
と言っていた。篤郎にとってだが。
冒険者と商人達が篤郎の側に来て、
「今の魔法は貴方様ですな、本当に助かりました。皆に成り代わり、お礼をしたいのですが?」
「ん、礼には及ばんよ。」
篤郎とにこやかに喋る商人と対照的に、冒険者達は篤郎の普通過ぎる服装に胡散臭い雰囲気を出していた。
「ゴブリン達のコアは役に立たんから、そちらで好きにしてくれ。俺は先を急ぎたいからな。」
「まぁ、お待ち下さい。私共を助けられた方を何もしなかったのでは、私共の立場がありません。礼を受けて頂かないと、困るのですが。」
「いや、良いよ。」
「どうしてと聞いても?」
「んー、税務経理課で捕まってね。街から逃げて来たのさ。逃げてる次いで、あんた達を助けた程度だからね。礼は良いわ。」
「なっ・・・・」
篤郎は王都の牢破りを軽く言いったが、もちろん重罪である。牢破りをする罪人のイメージとして合うが、助けてもらった恩人でもある。余り引き留めるのも駄目だと理解はしてるのだろう。
しかし、商人は、
「それでも、恩を返すのはアルケニーでは当たり前の事。恩を返せない商人の噂が立てば、私共の商いが困ります。」
恩を返す事を必要に強調していた。
篤郎は律儀な人と思っていたが、理由として2度と関わりを持たない為に必要な事がある。後で恩を返せと言われる時が厳しいのを知っているのが、旅商人とのしての常識なのだ。
「いや、何か言われてもな。旅の邪魔だしな。」
「では、私が見立てましょう。それをお礼の品としてもらえませんか?」
「うーぬ。分かった!そうするか。」
篤郎は早く関わり合いを絶つために言ったが、
「分かりましたか!では。」
商人は仲間の商人に何かを伝えると、
「品は降ろしました。私共も早く立ち去りたいと思います。どうも、ありがとうございました。」
丁寧に言い立ち去った。冒険者達もゴブリンから報酬部位を切り取ったままについて行った。
それを篤郎は見送りながら、
「名前、名乗らなかったな。ま、面倒毎にならないなら良いか。」
篤郎は、思っていたがゴブリンの死体はそのままになっていた。
「・・・・後始末していけよ。」
篤郎は全て死体を一瞬にして灰にしてしまう。そう、灰が舞う中で篤郎が目にしたのは、
「えっ?人・・・・」
奴隷なのかボロボロな人達が捨てられていたのだ。
「め、面倒な・・・」
篤郎は何とも言えないが、苦い顔をしながらボロボロの人達に向かって歩き出すのだった。
「夏だねー。」
暑い日射しの中を歩くのは篤郎だけだろう。
何も持たないのは、間抜けか強い存在かと言えるが、篤郎は前者にしか見えない。身長も170㎝もないし、顔も痘痕が無くなっただけのモブキャラ顔だ。
篤郎は、主人公らしいのはいらない。ただ、平和が一番なのだから。
だが、この世界には平和は無い。なぜならモンスターが居るのだから。
「キャー!」
「助けてー!」
そんな篤郎でも、救援には敏感になる。救済は昔からの教えだからだ。
声の方に駆け出した。
そこには、馬車の一団と冒険者達と戦うゴブリンの群れを見つけた。
「ゴブリンのクセに、何で連係が出来ているんだ!」
「チャム、ヒールをくれ!」
「デレクがやられたー!」
冒険者達は敗戦ムード、商品達も殆ど死ぬ手前になる。篤郎は、即座にゴブリン達に魔法を放った。
「アホンダラー!」
決して魔法やルーンを唱えた訳で無くて怒っただけだが、沢山の氷の槍がゴブリン達にのみ降り注いだのである。
「大丈夫か!」
篤郎は、その光景に呆ける人々に対して声をかけた。
「へ?ああ、ゴブリン達は?」
1人のいや、その場の負けていた人達は自分の周りを見ていた。
「面倒だな、ほれ。」
広範囲中級回復魔法を事も無く使ったのだ。で、
「痛、く無い?た、助かったのか?助かったんだ!」
と言う人達が起き上がって来たのだ。
歓喜の声が上がる中、篤郎と言えば、
「ここいらのゴブリンのコアは貧相だな。集めてもたいしたモノにならんな。」
と言っていた。篤郎にとってだが。
冒険者と商人達が篤郎の側に来て、
「今の魔法は貴方様ですな、本当に助かりました。皆に成り代わり、お礼をしたいのですが?」
「ん、礼には及ばんよ。」
篤郎とにこやかに喋る商人と対照的に、冒険者達は篤郎の普通過ぎる服装に胡散臭い雰囲気を出していた。
「ゴブリン達のコアは役に立たんから、そちらで好きにしてくれ。俺は先を急ぎたいからな。」
「まぁ、お待ち下さい。私共を助けられた方を何もしなかったのでは、私共の立場がありません。礼を受けて頂かないと、困るのですが。」
「いや、良いよ。」
「どうしてと聞いても?」
「んー、税務経理課で捕まってね。街から逃げて来たのさ。逃げてる次いで、あんた達を助けた程度だからね。礼は良いわ。」
「なっ・・・・」
篤郎は王都の牢破りを軽く言いったが、もちろん重罪である。牢破りをする罪人のイメージとして合うが、助けてもらった恩人でもある。余り引き留めるのも駄目だと理解はしてるのだろう。
しかし、商人は、
「それでも、恩を返すのはアルケニーでは当たり前の事。恩を返せない商人の噂が立てば、私共の商いが困ります。」
恩を返す事を必要に強調していた。
篤郎は律儀な人と思っていたが、理由として2度と関わりを持たない為に必要な事がある。後で恩を返せと言われる時が厳しいのを知っているのが、旅商人とのしての常識なのだ。
「いや、何か言われてもな。旅の邪魔だしな。」
「では、私が見立てましょう。それをお礼の品としてもらえませんか?」
「うーぬ。分かった!そうするか。」
篤郎は早く関わり合いを絶つために言ったが、
「分かりましたか!では。」
商人は仲間の商人に何かを伝えると、
「品は降ろしました。私共も早く立ち去りたいと思います。どうも、ありがとうございました。」
丁寧に言い立ち去った。冒険者達もゴブリンから報酬部位を切り取ったままについて行った。
それを篤郎は見送りながら、
「名前、名乗らなかったな。ま、面倒毎にならないなら良いか。」
篤郎は、思っていたがゴブリンの死体はそのままになっていた。
「・・・・後始末していけよ。」
篤郎は全て死体を一瞬にして灰にしてしまう。そう、灰が舞う中で篤郎が目にしたのは、
「えっ?人・・・・」
奴隷なのかボロボロな人達が捨てられていたのだ。
「め、面倒な・・・」
篤郎は何とも言えないが、苦い顔をしながらボロボロの人達に向かって歩き出すのだった。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
妹を見捨てた私 ~魅了の力を持っていた可愛い妹は愛されていたのでしょうか?~
紗綺
ファンタジー
何故妹ばかり愛されるの?
その答えは私の10歳の誕生日に判明した。
誕生日パーティで私の婚約者候補の一人が妹に魅了されてしまったことでわかった妹の能力。
『魅了の力』
無自覚のその力で周囲の人間を魅了していた。
お父様お母様が妹を溺愛していたのも魅了の力に一因があったと。
魅了の力を制御できない妹は魔法省の管理下に置かれることが決まり、私は祖母の実家に引き取られることになった。
新しい家族はとても優しく、私は妹と比べられることのない穏やかな日々を得ていた。
―――妹のことを忘れて。
私が嫁いだ頃、妹の噂が流れてきた。
魅了の力を制御できるようになり、制限つきだが自由を得た。
しかし実家は没落し、頼る者もなく娼婦になったと。
なぜこれまであの子へ連絡ひとつしなかったのかと、後悔と罪悪感が私を襲う。
それでもこの安寧を捨てられない私はただ祈るしかできない。
どうかあの子が救われますようにと。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる