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第9章 ミネルシルバ

篤郎を雇う

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目が覚める。

ふかふかな布団だ。薄目を開けると、綺麗な部屋を見る。
そうだよ、結婚したらこんな感じなのかなー。
の次に男の声が、

「起きろ!」

「あ!はい!」

「なに~?」

驚く事が続くが、スベールが横に寝て居るのだ。服は着ているので安堵はした。

「スベール!」

「もう少し寝かせてー。」

「起きろ!嫁さんに怒られるぞ?」

「いかーん!・・・・あれ?」

呆気に取られるスベールは、首を動かして状況を整理してたのだが、

「な、クリス。」

「なに?」

「嫁さん貰った?」

「居ねーよ。」

「何で片付いてるんだ?」

「あー、多分彼でないかな。」

クリスは台所の方を指を指した。

「彼?」

スベールが思い出そうとした時に、

「早く顔を洗って!朝ご飯出来てますからね。」

「あ!」

「とにかく、起きるぞ。」

足早くベッドから逃げるクリス。一緒に寝てたとも言えないからだ。

クリスは顔を洗い、台所に行くのだが、男の姿よりも朝ごはんがある朝を見て感動をしていた。

「ご飯。」

「おはよう。」

「あっ、おはようございます。昨晩は助けて貰ってありがとうございます。」

男は深々と頭を下げた。

「私は篤郎と言います。」

「ア、アツロウ?アツロウか、俺はスベール・ラコット。こいつが家主のクリスだ。」

「クリス・ラクラック。君が片付いてくれたのかい?」

「ええ、ゴミは捨てたし、書類はテーブルに纏めました。洗濯物は干しました。」

「ありがとう。」

(有能な男だな。)

クリスは何となく困っていたが、スベールは家事が得意なのを見て一計を考えていた。

「さあ、朝ごはんをどうぞ。」

「食べようか、クリス。」

「ああ。」

二人は食べた。
何も無いはずの食卓に芋のスープが柔らかいパンがある。高価な紅茶もテーブルに出ていたし、砂糖という高価な物まであった。

スープ(ポタージュ)を啜った時から一心不乱に食べたのだ。もちろん、お代わりをしてお腹一杯にもなった。

「旨かったぞ!」

「俺も!アツロウくん、ありがとう!」

「どうもです。」

「しかし、君凄いね。」

「いえいえ。」

アツロウは片付いをしだした。

「時にアツロウくん、行く宛はあるのかい?」

「そうだ。アツロウくん、どうなんだい?」

「無いですね。」

「それは良かった!」

「えっ、スベール?」

「良かったら、仕事あるよ。」

「仕事ですか、どんなのですか?」

「ま、簡単な掃除仕事だよ。」

「簡単ですか、ならお願いします。」

篤郎は頭を下げた。
思ってもいないのに、仕事が舞い込んできたのだ。篤郎にとっては幸先が良い物だった。スベールにしても、埃臭い仕事場の改善と旨い飯の確保をしたかっただけだ。

ただ一人、クリスだけが悩んでいた。

「怒られるぞー。俺は知らないからな。」

一人、ごちりながらも、スベールと篤郎の後ろを着いて仕事場に向かったのだった。
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