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第9章 ミネルシルバ

下の話

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「うう、辛いよー、眠いよー。」

「うるさい雪絵。」

「だってー。」

セキちゃんと別れて4日。一般のダンジョン攻略の難しい差を知ったのだ。

ダンジョン攻略を五人で行うのは、かなりきつい。体調とかは万全にしないと、初日で疲れる。要は、お腹の調子が悪いと冒険なんか出来ない。

男女の一番辛いのは、トイレと体を拭くときだ。寝る時では無い。

特にトイレは大変で、大にしろ小にしろ臭いを消すのが大変であり、する姿を見せ合うしか無い。
かなりきついのだが、慣れるのが大変である。
もう、慣れるしか無いのだ。

ブブブブ

「聞かないでー!」

「食べずぎよ。」

「鼻を押さえて!見ないでー!」

便所は穴を縦掘りする。藁が必需品で終わればそれを被せて穴を埋める。

この時ばかりは鼻を押さえるよりも、警戒の方が優先になる。糞の臭いはモンスターを集める。

ダンジョンは死体は直ぐに食べるので、腐乱前に無くなる。そう、ダンジョンは臭く無いのだ。(たまにゾンビランドはあるが。)

臭いに敏感になるモンスターは多いのだ。但し、貴族のご婦人方がつけている臭い香水は苦手だと付け加えておく。例えるなら、ゴブリンの腰布よりも強烈だと。

で、話は戻るが、竹下は腹を下しぎみだ。当然ながら、臭いもきつい。恋が冷めるかは分からないが、乗り切れば良い夫婦にはなれるだろう。たぶん。

ブブブブ

「いーやー!」

の声にゴブリンの声が合わさったようだ。ロブコンが、

「戦闘用意!裏は文雄に頼む。」

「げっ!」

竹下と文雄を残して三人は離れて行った。戦うのが、ここでは無くなったのだ。

「ふ、文雄ー。」ブブブブ

「後ろって、一人はきついな。雪絵、止まらないのか?」

「ムーリー。うううっ。」ブブブブ

「が、頑張れ!」

「うううっ。うん。」ブブブブ

三人が行った先で、戦う雄叫びとゴブリンの卑下た叫び声がする。

「始まったか。」

「うううっ。あっ!あー」ブブブブブー

文雄は聞かない様にしたし、臭いも我慢できた。たぶん、職業のおかげなのは理解している。

『お母さん勇者』

出来る事なら、後にも先にも誰も持たないでほしい、特に男には。
と、心から願う文雄だった。

「いやー!」ブブブブ、ブー!
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