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プロローグ

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「このバカたれ、さっさと逃げな!」

魔王の一撃を、一人の白髪が目立つ女が防いだ。

「なっ!魔王相手に何を!」

「五月蝿いわ、木っ端共が!」

腹から出た言葉に若者達と魔王はビクッとなった。

「逃げろと、言うてんだろ?」

「し、しかし、僕らでも敵わない魔王相手に、婆さん一人に・・・・」

「はぁ?!ババアだと?」

年老いた女から、恐ろしい威圧が出ていた。ついでに魔王の一撃から魔王を撥ね飛ばす。

「わたしゃ、まだババアじゃないわ!お姉様と及び!このヒヨコ共!」

更に威圧を与えられて、魔王共々縮み上がってしまう。

「あたしゃは逃げろと言うんだ、逃げろと言われたら逃げろよ、あっ?」

「「「「はい!」」」」

傷ついた若者達は逃げ、避難した。

「おい、魔王て言うあんちゃん!」

「・・・人族に、そんな強者が居ようとは。」

「お前の新しい相手だ。腰だけ動かすなよ?」

「厭らしい婢め!」

魔王は剣を振るいだした。当然、年老いた女は余裕で往なしている。

「弱い。前技も出来ないなら、さっさと終わらすかね。」

「言うよる!女、名前は?」

「女の誘い方も知らないのかい?」

「・・・我は、魔王トライデント。」

「リザイデント。」

最後の攻撃を仕掛けようと、魔王は距離をとった。そこに、

「くらえ!」
「私達が英雄よ!」

逃げていたはずの若者達が、粉を振り撒かれ、リザイデントと魔王に降り注いだ。

「これは、ドギレグドの粉?」

「ちっ、余計な物を!ぐっ!」

リザイデントの顔は青くなっている。

「我は魔王にして魔族には効かんが、人には猛毒かな。後、数分の命だな。」

魔王は余裕を見せてしまった。一瞬でなく、完全な余裕と気の緩みを。

ザシュ!

「だから、なに?戦の最中に、余所見するなんてねー。」

「お、おのれリザイデント。」

「あ?気安く呼ぶな!」

ザシュ。

「ぐあ!刺すな!我の心臓を・・・」

「あっ?」

リザイデントは魔王の胸を高速に何十回と刺した。

「き、狂暴な女め・・・・我の命を知っておったのか?」

「しならい、よ。さっさと、逝きな。」

ザシュ。

魔王の頭に剣を突き立てた。そして、リザイデントも生き絶えた。

史実に残っていない、ラストであった。



ーーーーーーーーー



「済みませんでした。」

「なんだい、土下座何かして。てか、あんた誰なんだい?」

光の中に居るようだが、女それも上等な服を着た若い女性がいた。

「弱い者虐め何かした覚えは無いよ。あっ、あたしゃ死んだよね?ここ、あの世?」

「いえ、違います。」

「あ?何処なんだい!」

「ひいぃぃぃ!ごめんなさい!」

女は土下座のままに怯えだした。

「面倒だね、さっさと喋りなよ。」

「は、はい。わ、私はミネルシルバと言います。此処は神界なんです。」

リザイデントはこめかみを押さえながら、

「えーと、あたしゃは死んだんだよね?」

「はい。」

「何で死んだら神界?ルールか何かかい?」

「ち、違います。」

「違う?」

「本当なら『運命の輪』に修まって、新たな生を受けて甦ります。時に悪行を重ねた者は『洗濯の間』に、善行を詰んだ者は『光の間』に行きます。そこから、『運命の輪』に行ったりするのです。」

「ふーん、で何で此処に?」

「それはと言いますと、色々と運命を変えてしまった事がありまして・・・・・」

ミネルシルバと言う神が語り終わると、リザイデントの拳がミネルシルバの頭をしばく。

「痛い!えっ?痛いですよ!」

「管理責任だろ?たく、人材をちゃんと育てろよな?」

「は、はい!」

リザイデントの気迫に負けたミネルシルバは、ただ震えていた。

「本当のなら子沢山かー。あの馬鹿との子が七人?信じたくないねー。」

「済みません。」

「は!謝るなんて良いよ。運命がどうあれ、旦那は死んで子供は生まれなかった。生きたり死んだりは仕方無いよ。」

「しかし、それでは私の気が済みません!」

「そんな細かい事は良いよ。運命のなんたらに行けば生まれかわるんだろ?」

「はい。無垢な子としてです。」

「無垢な?あー、記憶も無くなるのね。だったら良いじゃん。」

「しかし、夫を奪い、子を奪い、人生を奪ったのですよ!神としては、あるまじき事なんです!」

ミネルシルバは力説をしたのだが、リザイデントはミネルシルバの額をデコピンした。

「痛いー?!神に!痛い!これ、痛い!?」

「ゴロゴロしたり、ごたくを言ったりと忙し無いよ、えーとミネル。」

「えっ?」

「あんた神だろ?シャンとしな。威厳とかないのかい?」

「しかし、あなたの死も私達の失態なんですよ?」

「失態よりも、死んでるよ私?」

「本当にごめんなさい!」

リザイデントの睨みに、ミネルシルバは再び土下座する。

「そこでですね、善行とご迷惑を掛けたのを併せて、新たな生を新たな世界で過ごして下さいませんか?」

「新たな?」

「はい!」

「何処でも良いよ。あっ、未来とか生活が楽な所が良いな。知らない知識とか学べる世界とか。」

「ふむふむ、知らない知識ですね。」

「あー、それだと記憶無いから、知識とか分からないか。」

「記憶と。」

「それと、女は嫌だね。月のモノが辛いのよ。意識が保て無いから。」

「女はダメですね。」

「そんな所かな。」

「ちょっとお待ち下さいね。ゴニョゴニョ・・・・」

ミネルシルバは何かと連絡を取り合っていた。

「本当!天照の所の世界に良いの!助かるー。うん、今度奢るわね。うん。ありがと。」

話がついたようだ。

「リザイデントの行き先・・・」

ミネルシルバの頭を地面に再び押し付けたリザイデントは、

「年長者に敬語も使えないのかね?最近の馬鹿者は?んっ。」

「痛いですよ!分かってますか?私は神ですよ!」

「あんたが神?ならわたしゃは、神を踏みつける者になるよ!」

ミネルシルバの頭を踏んだ。

《ジャッジ 神を超えし者》

「ん?何の声だい?」

「ギャー!踏まれた!踏まれるなんて酷い!」

「五月蝿いわ!小娘がわたしゃに逆らうのかい?」

《ジャッジ 神界の乱暴者》

「酷いです!」

「五月蝿い!」

「ギャー!服が燃える?!」

「次に騒がしいと、髪を切るよ?」

「ひいぃぃぃ!」

《ジャッジ 神を虐めた者 神に恐怖を与えし者 神を従えし者》

《神界で五つの理を持ったので、神の権限を超えたモノを獲得しました。》

「さぁ、言い直しな。」

「り、リザイデント様。」

「・・・ま、良いだろ。」

「済みませんでした。グスッ。リザイデント様には、新しい世界に行けます。科学が特化した世界です。グスッ。」

「科学?」

「はい。グスッ。この世界に無い知識があります。グスッ。」

「おお!そこに決まりだね!さっさとおしよ!」

「はい。グスッ。いぎまぁぁぁす!」

と、リザイデントを送ったのだが、

(ちょっとミネル!この魂を輪廻に入れたの?)

「だって、リザイデント様がぁぁぁ。」

(泣いてるの?てか!私も泣きたいわよ!)

「グスッ。どうして?」

(あんたねー。千年奢られても足りないからね。)

「えっ?」

(ボード見なさい。)

「うん。グスッ。!」

(どうすんの?)

「どうしよう・・・・」

ボードには、リザイデントの魂が一つになっていたのだ。

(これって、ミネルのミスよね。上に報告はするからね。)

「えっ?ちょっと待って、待ってよ!」

ガチャ切りをされたのだ。

記されたのは、魂が一つ。

多次元に分散するはずの魂が一つしか流れなかった。そんな魂は特異点として、上に目を付けられるだ。当然だが、神も罰を受ける。

「やってしまった、よ・・・・」

ミネルシルバは青い顔をしたまま、仕事に戻る事になる。神は暇では無いのだから・・・・


ーーーーーーーーーーーーーー

☆遅くなりましたが、此がプロローグです。
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