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第8章 魔王討伐

異世界龍と住人

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焼け野では無かったが、何にも無い所を開墾するには地盤改良では収まらない事が多かった。

要は水である。

地面から水を吸収するのは分かるが、一定の水又は水分がある事が大事なのである。だが、それだけではなく、砂、岩、粘土、土、泥などが地層に生らないと草木が育たない。砂漠にするのも草木が覆うジャングルにするのも、地層地盤が大事なのである。要は地盤に水が通る道が必要で上の地面に還元する土壌にしなくては成らないのである。

砂漠に草木が生えないのは、土ではなく砂しかなく、地盤が緩すぎて草木が育つ環境では無いからである。独自の進化をしたサボテンだけが生き残っているが、砂を土に作り変えない限り、砂漠には草木が育たない。

砂漠にオムツシートを引き積めて、作物を育てたのは、記憶に残る話しだ。近年では、植物に合う栄養素を含んだ水だけで栽培をしている話もある。

どのようにすれば良いのか?

篤郎は中心の地面を上げてから大きな窪みを作った。溝を作り川にした。橋を作り水を入れた。

簡単に書いているが、篤郎は簡単に作ってしまった。国家が合同でしても何年も掛かる大仕事を2日で仕上げた。次に地場を大きく変えた。草木が生える地面へと。ただし、もふもふさん達が生活出来るかが問題であった。

生活の基盤は、もふもふさん達であり、人やクリーチャー共では無いのだ。

一週間も掛けずに終わらすと、観測出来る拠点を作った。環境ともふもふさん達の事を気にしての事だ。

「篤郎様、それだけの為に作られたのですか?」

「当たり前だ。もふもふさん達が幸せなら良いからな。」

「・・・・・えーと。」

「もふもふさんの領域だから当たり前だろ?何なら、俺が戦争でも吹っ掛けるか?」

「と、と、ととと、とんでもありません!」

何が言いたいのか?

「取り敢えず、健康でストレスが無く敵がいない事が重要。それ以外は不要だ。」

「は、はははははい。」

「チャーミーは側に居てくれるが、他は環境が合うのか?食事はどうなのか?体調の変化にも注意は必要だからな。」

「あ、あのー、篤郎様?」

「なに?」

「えーと、私達はこのままで?」

「好きにしな。」

「ほっ。」

リーチャは安堵の息をついたのだが、リーチャの他の観測員達も胸を撫で下ろした。
安堵はしたが、安心ではない。

リーチャからは、篤郎のもふもふ愛は不滅だと思っているが、ただ単にクリーチャーが嫌いなのだ。そう、人に化ける者が嫌いなのだ。
もふもふ〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉〉クリーチャーである。

愛とかではなく、クリーチャーよりももふもふが住んでくれれば良いと本気で思っているのだ。

勿論、観測員達は直ぐに篤郎の側で、その思いを感じていた。ただ、篤郎の側に長くいるリーチャよりは理解しているのだが、本気に近い事で自分達の運命がヤバい事には気づけてないのだ。

「よし、リーチャ?達はクッキー作りな。後はもふもふさん達の健康診断な。特に虫歯のチェックを宜しく。」

「「「はい!」」」

一斉に別れた。

クッキー作りもそうだが、衛生面で心配した篤郎は特殊な手袋を取り寄せていた。医療にも一体見るごとに手袋を取り替える事を義務化したのだ。観測員達は龍を容易に検査することが出来たのだ。

何故そんな問題があるのかと言えば、アバンガルドの住人達の生態は悪魔と呼ばれているが、厳密に言えば悪魔と間違われる生命体なのだ。強い存在から弱い存在まで揃い過ぎてるのだ。

問題は龍との確執よりも体質だろうか。龍の生態は清浄化。汚れを払い清い者へと返す。汚れから変化した住人にとって龍は毒にしかならなかったが、篤郎やルナが来たことにより、変化により肉体を持ち、服を得て衛生面が正常に行われる様になって、幾分かは改善をしていた。

毒から少し毒気がある程度に改善されたと言う事だろうか。変化をしていたら毒に当たらない様だから。

龍とアバンガルドに居る人が初めて交流出来たのが、リーチャを含む観測員である。可愛いよりも、触っていてもまだ体は震えるのだが、仕事は正しく行えている。

クッキー作りはのんびりだが、検査は大変である。
何が毒になるのかが不明なのは変わらない。細心の注意が必要なのだ。

篤郎が気にしているのは、クリーチャーがもふもふさん達を適当にしない事が重要なだけ。慎重で丁寧な検査には満足しているのだ。

もふもふさん達と遊ぶ事が、篤郎にとって安らぎなのだから。
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