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第5章 村を作ろう!

新しい執事はルナ

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「出来た。」

篤郎は感動で震えていた。
あれから、ボス部屋で泊まりながらコアを取り出して、帰ってきて3日。新しいシステムを造り運用が可能なら、自分の変わりに仕切ってもらいたいのだ。そうすれば、自由にしかも効率的にアルテウルを潰さないといけない。

プログラムにしても、基礎演算からAIまでを基本にして、未来演算を組み込んだのだ。学習能力が分からないが、持てる技術を注ぎ込んで作ってしまった。当然ながら魔法も紋章も組み込んでいる。

「こ、此れで寝れるぞ、じ、実行。」

魔法式がコアを立ち上げる。

「ね、寝る~ZZZZZZ」

篤郎は寝たが、コアは動き続けた。
ダンジョンを攻略から5日間も寝ていないで、コアを魔改造を施し、紋章にて強化に狂化をしてしまったのだ。篤郎が起きるまで、日本で学んだ事とこの世界の昔の事を学習し続けていたのだ。

篤郎の目が覚めた。

何をしていたのか忘れていたが、水を飲んでコアを見て思い出したのが、『コアを取り付けなくては』であった。

何かあればエラーが出るし、出たら直せば良いと考えている。だから取り付けだ。場所は、役場の地下室から更に地下10メートルに作ったコア格納施設にだ。なお、城壁と工場を任せていたレディとも繋げた。

「名前がいるなー、セバス?いや、男に拘る事も無いな。・・・・・・ルナ、命名はルナとするか。」

「ピッ、ルナヲセッテイシマシタ。」

「音声?はて起動してたっけ?」

「シテイマシタ。」

「ごめんなさい?!」

(なんとまー、寝ながら仕上げていたのか。)

「あ、ルナ。エラーはどうだ?」

「アリマセン。」

「良し、アルカノイドを造るのはまだ無理だが、ゴーレム辺りは出来るので後で使え。俺は執務室にいるからな。」

「リョウカイ。」

篤郎は部屋に戻ると、コアは自然と格納施設に降りて行った。静かに格納された『ルナ』は『レディ』と繋がったのだ。二つの産み出された機械が交わり演算しだしたのである。

執務室で書類を仕上げながら、アルカノイドの製作の図面を書いていた。出来るだけ人と遜色無いように書いているが、実際に可能なのかは実験をしないといけない。

「また、ダンジョンに行きたいよなー。」

懲りない男、篤郎は次の冒険を楽しみしていた。恨みばかりではしんどいのだ。楽しい事をしながら、恨みを返す。篤郎の基本方針だから。

「他の場所も掴んでおかないと。国の状況も知っておくことも必要っと。あー、やることが多いよ。」

書類を置いて、席を立った。

「商売の販路も確保が急務だな。奴隷も増やしたいしな。魔族や人を越えて住人を増やしたいしな。」

扉に向かいながら、

「一人では難しい。衛星もない、使える手駒も無い。此のままではじり貧だな。少しの抵抗しても抗えないし。手が欲しいな。俺だけでは、匹夫の勇の戦力だ。」

歯軋りをしながら、悩んでいた。が、食堂に歩いて行った。事実、篤郎のしたい事の何千分の1しか出来てないのだから。何をするにしても、後手か出来ないのだ。
理不尽が篤郎に襲ってきても不思議でもないだろう。所詮は一人は一人なのだから。

「俺は、無力だ。」

例え万の兵と戦えても、万の知恵には勝てない。軍隊の知恵は意味もないが、個になると厄介になる。また、恐ろしい知恵者がいると話が変わるが。だが、どちらも少ないと意味がないのだ。知恵と実行と人だけでは無理がある。要が幾つものあってこそ、何でも力になるのだ。それが出来ない一人の限界。篤郎が村に手をつけた結果の答えが、不可能になっていたのだ。

「ルナが役に立てば少しは恨みも返せるか。」

落胆は常にある。貴族になって変革を望んだ、過去の失敗は今も変わらない世界では通用もしない。世界の変革を望むなら、人や魔族が融合して、血や血族を捨てて挑なまいと不可能だ。そんな人が幾人居るのであろうか。

簡単には出来ないではない。不可能なのだと、薄々気が付いていた。変革する技術も思想も学門も足りてない。宗教だけが、今や1教だけを信仰される世界なのか。

此を倒すのが、篤郎の唯一の心の支えだったからだ。





「ピッ・・・システムオールグリーン。起動開始します。」
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