上 下
66 / 505
第4章 冒険の始まり

進化!

しおりを挟む
出来たから実験を行わないのは、馬鹿な行為である。試作品なのだから、連射、距離、速度、ダメージ率、破壊力は最低でも行わなければならない。特に破壊力についてはどうなるのか。弱いよりは強い方が良いからだ。
問題は簡易に扱えるだろうか。そこはセキュリティで対応しないとダメだろうな。他の問題点は見つからなかったのだ。試作品が実用品になってしまったのだ。

「ラッツ、明日からは新型の銃を使うからな。」

「へい。」

篤郎は宿屋に戻り、銃の量産に入ったのだった。
次の昼には、新型の銃の御披露目となった。
以外と細く大きく無くて持ち運びが容易な物であった。

「此れから使用してもらう武器だ。破壊力も速度も早いので、今まで以上に注意が必要になる。遊びや軽い気持ちで使わない様に『命令』する。」

「「「「「「イエスサー!」」」」」」

「また、血をトリガーに落として欲しい。セキュリティが掛かり、他人が射てない様にした。ギルドカードを作る要領ですれば良いから。」

「旦那、昨日のヤツですよね?」

受け取った銃のカラーに疑問を持つのは、当たり前だろう。
他は言われた事を実行していた。

「ん、別の色が良かったか?」

「そうじゃ無くて、何であっしのは暗い色なんです?」

「ん?」

ラッツに渡したのは、アーミーカラーで彩りされた銃である。

「教官色にしといたからな。」

「あっしが!」

感激しているラッツ。他の5人も薄いが同じカラーなのに、勝手に感動していた。ま、何にせよ教官役が気に入って良かった。赤い羽根もそろそろ・・・・・フフフフフ。

エミー達は血をトリガーに垂らした。着くと同時にトリガーに色が付いたのだ。エミーは赤、デュースは青、ハルは緑、ミソオは黄、ラップは紫となった。ラッツは黒になっていたが。

「基本は練習した事と変わらないが、薄く密着出来るので照準をつけ易くなっている。銃身のラインを狙い目をつけて射つだけになる。しかし、その前に学ばなければならない事がある。」

篤郎の声に6人は静かに聞いていた。

「まずは構え方だ。射たない場合の構えとして、トリガーに指を掛けてはいけない。仲間あるいは護衛対象等に誤射しない為だ。屋内での基本にもなるので覚えろ。野外又は敵に対しての場合はトリガーに指を掛けて行動する。敵よりも先に攻撃する為だ。死ぬ事よりも殺す事を優先する。要は死ぬな!分かったか。」

「「「「「「イエス、サー!」」」」」」

「そして忘れていけないのは、安全装置だ。誤射や暴発を防ぐ観点からも重要の度合いも違う。指の掛け間違いよりも、忘れてはいけない!身体に覚えさせろ。」

「「「「「「イエスサー!」」」」」」

「そして、ここからが本題だが。いや、『命令』だ。使っての不具合、改良点が有れば申告して欲しい。また、射った時に違和感を感じても申告をお願いする。些細な事も申告をするように。」

「「「「「「イエスサー!」」」」」」

「では、射撃訓練を始める!」

「「「「「「イエスサー!」」」」」」

篤郎はラッツに指導をした。岩を狙う。距離は10メートル。構えにも熱い指導が飛ぶ。そして、初の射撃はと云うと、

「撃て!」カチッ。ドゴオォォォォォン!

「Oh。。。。。」

「「「「「凄いです!アツロウさん!」」」」」

岩が壊れて溶けていたのだ。
氷の弾丸で溶解を起こすなんてー、おかしいだろ。
篤郎の額に一滴の汗が落ちた。

「旦那、敵に撃つぶんは良いですが、町中や屋内で撃つのは禁止ですよ。」

「そだね。」

ラッツとて篤郎の考えとは違うが、危険度が異質な武器に恐怖を覚えていた。篤郎とて、異常な破壊力に戸惑っていた。これで奴等を野に放せない状態になったのだ。不意に失敗の二文字が過ったが、異世界で元の世界なので、問題無しと決め込んだのだった。
しおりを挟む

処理中です...