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第4章 冒険の始まり

篤郎の強さ

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昼過ぎた頃に目的地のラリー村に着いた。
その足で村長に会いに行かして篤郎は村を散策していた。以外にも野菜の多くは日本で食べた物と似ていた。名前が違うので違和感があるが、変わらないので、日本で使ってた名前を、そのまま使う事にする。

で、重要な米は村にもなかったのである。聞いた事がないと言われて落ち込んでしまったがな。ま、多少の違いは置いといても似た穀物が多数あるので、根気よく探す事にしよう。と篤郎は誓った。
村の宿屋に戻ろうとして、ラッツが途中で見つけてくれたのだ。

「大変ですぜ、旦那!」

「ど、どうした慌てて。」

「慌てますよ。エミーが暴走して討伐に行きました。」

「あん、ボブゴブリンだろ?慌て無くて良くないか?」

「ボブゴブリン一匹なら、エミーとデュースでも対処が出来ますが、三匹超えると5人でも厳しいですぜ。」

「ボブゴブリンは何体いる。」

篤郎はのんびりした顔では要られなくなった。

「5体は確実に居ます。」

「直ぐに案内しろ!」

「へい!」

ラッツは村から森の方角に向かって走っていた。全速力の走りだった。森に近付くと、血の臭いがしてきた。先ずはゴブリンの死体が4体あった。次に狼の死体が、7体。森に入って更にゴブリンが3体の死体と剣が落ちていた。

「旦那ー!」

「ラッツ落ち着け!」

「デュースの剣が!」

ラッツが篤郎に振り向くと、篤郎の体が揺らいだ。篤郎はマトックで矢を落としたのだ。

「敵の中に居て、囲まれてるぞ。落ち着け。」

「でも、剣が。」

「血はいくつ流れている?」

ゴブリンやモンスターの血は緑、人や魔族等は赤に別れている。

「赤いのは・・・・5個ありやす。」

「温かいか?」

血を触るラッツは、

「へい。」

「分かった、『サーチ』、『サーモグラフィ』」

篤郎の脳に付近の地形と敵の居場所が表示されている。

「ラッツ、本気を出すから逃げろよ?」

「へっ?」

篤郎がラッツの視線の中から消えた。何処に消えたのか、視線で辺りを探したが、ドサッドサッドサッドサッドサッの音がして、何かが落ちてきた。ゴブリンの死体が15体。すべてが眉間を細長い渦状の気が刺さっていた。

「旦那・・・・・」

スカウトとしても、優秀の部類に入る自負を持っていたラッツにとって、篤郎の実力をまだ見間違っていたようだ。

その頃エミー達はボブゴブリンの集団に捕まっていた。エミー、デュースは木に括られ、ハルとミソオは紐で首を縛り、ラップはゴブリンにボコボコにされていた。
ゴブリンやボブゴブリンにとって人は食べ物だ。腹が減ってる訳でも無いので余興を楽しんでいた。
10体のゴブリンが、ラップの腕や足を重点に蹴っていた。逃げれない様にするのと、命は最後にとって置きたいのだ。絶望の鳴き声を。
ボブゴブリン達もハルやミソオに石を投げていた。食べる前の遊びなのだから。エミーとデュースは四肢を切れてるので体ごと木に括られている。四肢はゴブリンが火で炙っている。
この場にはゴブリンが35体、ボブゴブリンが12体が居る。ボブゴブリンの個体に変化がある者が3体いた。

「フゴー!」

こん棒でラップの四肢を叩き始めた時に、殆どのゴブリンとボブゴブリンが7体動かなくなっていた。

「遅れた。」

篤郎がラップの側に現れてた。

「あ、つ、ぼ・・・」

身体を動かそうとしてるのが、

「ラップ、落ち着け。もう少しで片付けるからな。」

篤郎の姿が消えると、2体のボブゴブリンと残りのゴブリンの額に木が刺さり崩れるように倒れた。ボブゴブリンも1体を守る様にしていたが、マトックが脳天に突き刺さって息絶えた。

「フゴー?!」

の声にもう1体を見ると、篤郎の拳で頭を吹っ飛ばしていた。篤郎の行動に最後の1体は地面にしりもちを着いていた。
篤郎はマトックを引き抜くと、最後の1体に襲い掛かった。脳天にマトックを突き立てるだけなのだが。

「何とか生きているな。回復だ!」

篤郎はエミー達に回復を施した。最高級の魔法で四肢の欠損を治していた。

「ほお、人にまだそんな魔法の使い手がいたか。」

篤郎が振り返ると、大きなゴブリンが1体いた。
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