鴉喰の華 ～日本に転生したのに、異世界に転移させられた！～

第４章 冒険の始まり

影の軍団

ラップは自分の思っていた結果と違う物になってしまった事に頭を悩ませるた。ラップの怨みある店を壊す為にやった事が潰れずに、方向性を変えて存続する結果になったのだ。嘘のペナルティは大きかったのだ。

篤郎は会頭、エルメットから諜報を得意とする奴隷を連れてきた。全てが人間で、年や怪我等で消されずに売られた諜報のプロが集まってしまったのだ。嘘から誠になってしまったのはラップのお陰だろう。約８０名が手下に入ったのである。嬉しい誤算であるが、使えるなら使いたいので、怪我や病気を回復魔法で治してしまったのだ。料理、執事、メイド、医師、鍛冶、細工師、等騙したり等で以外な才能保持者も獲得出来たのである。特に肉親の弱みにつけ込んだ奴隷は以外に多くて、弱みを回復させたりもした。問題は売られた奴隷の行く先は不明な人が多かったが、蘇った諜報員が情報を集めてくれるだろう。今回の一番の収益は悪の会頭、エルメットだ。悪事を知った者が手下になるのは千の軍勢よりも有効なものであった。

特に奴隷紋章を好きな様に出来る篤郎にとっては、有益な人が多くて喜んでしまったが、得れる情報等を皮紙に書かせているので、何かあっても問題でもないのだ。

それと、奴隷でも、良い奴隷と悪い奴隷が存在していた。前者は先に述べた者だが、後者は隠れ蓑で入っていたりとかが多く、今まで奴隷であったのかも怪しい奴隷だ。売るものが無くなると、商館として、今後にも問題になるので、売られなかった奴隷を売れる奴隷に変えて売る方向にしていたのだ。

こうしていくことで、問題は無くなって新しい奴隷を仕入れる事が出来るのだ。売り先が篤郎になるのは別の狙いもあるが、多数の者達が手に入って安心であった。

屋敷は商会ギルドに慌てて現金で買い取った。屋敷には沢山のメイド達等を投入した。屋敷のキャパは通常で１２０人詰めれば三百人、他も解放すれば四百人も収容可能になりそうだ。二段ベッドを作れば収容人数を増やせそうだし。他の家具等も冒険をしてからだな。何人かはカロスの店にバイトに行かすがな。

次の日の朝まで新たな紋章を作り設置をした。

「あ、後はー、頼むー。」

篤郎は玄関先で寝てしまった。
寝てからが、奴隷達の本番になったのだ。鍛冶や薬師達と冒険職と一般職とメイド達は掃除に励むのだが、諜報(斥候等を含む)達と学者達と魔法職と執事達は今後の事を煮詰めていた。
執事達はエスワーダ(７０才、エルフ、男)が代表に、諜報からはゼシエ(４５才、人間、男)が、学者からはワルータ(５５才、羊人、男)で、魔法職からはゼッペン(３２才、猫人、女)に決まった。そして、主なき会談が始まった。

「とにかく諜報部はアツロウ様にこの身を助けられたのだ。恩返しの為にも、ラップ殿から聞いたアツロウ様案に乗ります。」

「それは執事部も同じ事。しかし、我等は執事です。主の意向を踏みにじる様な行為は出来ません。」

「ならば、学者部は土地も有りますし、一般職からも力を借りて畑等を行いましょう。主から許可が出ればになりますが。」

「魔法部はアツロウ様の作られた紋章を研究させて下さい。」

「では、アツロウ様の現在の望みは諜報部にお願いしましょう。魔法部の願いは優先度は低いですので、掃除や建物の補強や修繕のお手伝いを、学者部は引き続き調査を。庭にも草引きの人を出しましょう。薬剤部も参加してもいましょう。私達は名簿作成や今後のコンテも作成しましょう。」

「「「分かった。」」」

新しい奴隷達によって何になるかは別にして、こうして始まっただけであった。そう、出来たのだ。

昼過ぎに目が覚めた。
最初に布団の温かさで二度寝しようかと思ったが、カーテンの隙間から強い日射しを感じて、欠伸をしながら背伸びをした。部屋を見渡して驚いた。

「誰っ？！」

「お目覚めになりましたか、ご主人様。」

声の方には執事が一人とメイドが四人いた。

「あ、奴隷の。」

「はい、エスワーダと申します。私は本職は執事でしたのでそのまま主様付き筆頭にさせて戴きました。此方の４名は主様付きの特殊メイドであります。」

「エンザです。」

「エルエです。」

「カサエです。」

「セウルです。」

「主様がお求めであった、４人です。普通のメイドとは別けておりますので、後でお目通しをお願い致します。」

と頭を下げられた。

「あぁ、ありがとうございます。」

「それと、主様に助けられた者の詳細を纏めましたのでご覧下さい。最後に我々一同を暗闇からお救い下さりありがとうございます。」

メイド達も頭を下げた。
扱いに長けている訳でもないので、頬を指でかきながらも指示だけ出す。

「明日にカロスの店で働ける人選をお願いします。後はベッドの数は足りてますか？あ、お金だ！」

篤郎は『四次元倉庫』より金貨と銀貨を千枚づつ出してベッドに置いた。

「足りるか分かりませんが、使って下さい。あ、エスワーダさんも商会で、ブリンク商会との付き合いを覚えて下さい。後で行きましょうか。それと、諜報の方には集まって欲しいけど・・・・」

「主様、全員は部屋に入れませんので、後３名の入室を求めます。」

「３名で良いの？」

「はい。」

「じゃ、お願いします。」

３人の気配がして現れた感じがするが、最初から居たのだろう。黒装束って、忍者にしか見えない。

「ここに。」

姿を見ると、装束と言い方と動作を統一したくなる。今度提案してみよう。

「主様？」

「へっ？あぁ、ごめんなさい。えっと、奴隷の紋章の件だ。」

そう言うと、皆が不思議な顔をしていたが、

「今回は俺を裏切らない、俺に嘘を言わない、俺の為に生きる、俺の命令に従うが基本使命になっている。些細な嘘を言えない。はずなんだよね。」

「はぁ。」

「エンザさんの年齢を教えて？」

「はい。２１才で・・・」

「２１？」

エンザは必死で口を押さえ、髪を振り乱しながら我慢していた。抵抗が不可能になったのか、１０秒も持たないで、

「本当は、２９才です！はぁ、はぁ、はぁ。」

「耐えるなんて凄いな！」

「済みません。本当の事を言えてませんでした。」

「主様、申し訳ございません。」

「済まないね。一度全員を庭に集めるか。エスワーダ頼むよ。」

「はい、主様。」

「エンザ、先にお前の事を聞こうか。」

「え、は、はい。」

「男達はエスワーダの手伝いを。他は残って、どうなるのかを聞いていなさい。」

「「「「はい。」」」」

その後の取り調べを篤郎主体で行った。諜報をしてきた者が、赤い顔をして汗だくで部屋から出てきた。何を聞かれたのかは、言えないが諜報の女性達は篤郎に全て丸裸にされるのだ。本当に素肌を見せるのなら惜し気も無く出来たが、心の奥底まで丸裸にされるのは、女性にとっては拷問以上のでしかなかった。
他の者も篤郎の号令の元で、１から調書を添削しながら行われた。
また、エルメット商館にはエンザを中心に５名の人をやり、エルメットの悪行を残らず記した事も報告しておく。