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第4章 冒険の始まり

失敬な!

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店に帰ったのが夕方頃だろう。
店も従業員が五人も増えて快調のようだ。カロスとは厨房に入らなくては、会えない様になってる。宿屋に戻っていないのは気になる事があったからだ。

「戻った。」

と扉を開くと、意識が戻っていないデュースと鳥獣絵図になった水魔法を見ている童心エミーがいた。篤郎は無言のまま、魔法を消した。

「あぁ!」

この声でデュースはビックリしていた。篤郎は続いてカーテンを開いた。夕暮れの陽射しが顔にあたった。

「まぶっ、てっ!夕方?!」

「消えた。」

「頭の整理は出来たかな?」

篤郎の言葉にデュースは勢い良く詰め寄った。

「アツロウさん!何がどうなりました!」

「なにも!」

「アツロウさん!さっきの!」

ズボンにエミーが引っ張る。

「ちょ、エミー!ズボンは止めろよ!」

「魔法をどうして使えるの!」

「踊らせて!また見せて!」

「ヒイィィィ!」

「見せなさい!」

「みーせーてー!」

「い、いやー!」

「「見せろー!」」

「い、いー加減にしろー!」

迫っていたデュースの右肩に右手を置くと篤郎の左足が軽く当たると同時に飛んでいた。と同時に左手はエミーの頭を触ると飛んだ。

「「あいたー!」」

二人してベッドで頭をぶつけていた。

「ふふふふふふっ。鬱陶しいのは嫌い、なんだよねー。」

篤郎はゆっくりとベッドに向けて足を動かした。同じ様にゆっくりと篤郎の周りに水の珠が浮かび出していた。

「「ひっ!」」

「大抵の馬鹿は可愛らしいが、度を越えたら。」

動かした足が止まると珠だけが、デュースとエミーに向かう。

「「あわわわわわ!」」

「お仕置きしないとねー。」

やがて篤郎は店の外に出て行った。
その後に所要から帰ったハルに発見された。それは水浸しで気絶していた二人の姿に謎を覚えていた。




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篤郎は怒りながら歩いていたが、怒っている事が何の怒りか思い出して恥ずかしくなった。今の自分は男だったのに、女に迫られているラッキーを捨てたのだから、落ち込んだのだが、寒気にとらわれる様に身震いをした。後ろから、

「どうされました、旦那?」

ラップは直ぐに篤郎の横にきた。

「や、まぁ、ちょっとね。で、どうかな?」

「旦那の思い通りです。」

「手下を4、5人欲しいな。」

「奴隷が早いですよ。」

篤郎は手を顎に当てて考えると、

「奴隷か。身寄りがない奴隷を数人集めるか。」

「しかし、あっしはちょっと・・・」

ラップは困った顔をしていた。

「なんだ?」

「あっしは涙脆いんでさ。奴隷商の所は苦手でして。」

「なるほど。」

「旦那も来てください。」

「い、嫌だよ。」

「・・・・・旦那。」

「なにさ。」

「旦那も・・・・ですか?」

「ぐっぎぎぎ。そ、そうだよ。」

ラップは笑いを堪えていた。

「くそっ!」

篤郎は意を決してラップに向かって、

「商館を教えてくれ。そして、商会ギルドに行って、俺から館を欲しがっていることを伝えてくれ。金は即金で払うから、即入居出来る場所で頼む。終わったら商館に来てくれよ?」

「へい。しかし金は?」

「心配するな。大金を持っているからな。」

篤郎は胸をポンッと叩いて見せた。行き道を聞いてから商館に向かうのだった。





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ミソオとラッツはハルの茫然自失の姿を見て、慌ててラッツはカロスにタオルを借りに行き、ミソオはエミーとデュースを生きている事を確認した。確認してから、ハルに状況を聞いたが不明であった。カロスとラッツはタオルを持って来たが、ミソオに追い出された。拭いたり着替えさせたりする為であるが。

謎ではないが、ミソオはラッツに言って、篤郎に連絡するべく、宿屋に向かわせた。ハルとミソオはエミーとデュースの髪と服だけが濡れている状況に悩んでいた。ベッドに水滴も付いてなかったのだ。

「これをどう伝える、ハル。」 

「そのままで良くない?」

「・・・・・・だよね。」

二人は黙った。真相を知らなくてはいけないが、多分いや、間違い無く自業自得なんだろうと当たりを着けていた。
剣士エミーと魔剣士デュース。剣士エミーは暴走馬車、魔剣士デュースは猪突猛進と言われ、二人合わせて『リリスの暴走姉妹』と呼ばれている。篤郎が使ってた部屋に二人が倒れていた。
全てはそうなんだろうと二人は頷くだけだった。
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