鴉喰の華　～日本に転生したのに、異世界に転移させられた！～

hinomoto

文字の大きさ

大中小

47 / 505

第４章　冒険の始まり

篤郎、リデッシュ国に行く　後編

しおりを挟む

篤郎は大八車で倒れた６人を乗せて、リディシ国に行ける洞窟を目指していた。

まず先に、マリンは前回に説明したがヘルダイスがまだなので説明をしておく。ヘルダイスとは人間に近い姿をしている。違うのは細くて長いしっぽを持っている。人と魔族に別れた理由は、心臓と脳に秘密がある。エレリーナ星の人は脳に魔石を持っていて、魔族は心臓に魔石を有している。モンスターは心臓では無くて胃に近い場所に有る。家畜や野生の動物には魔石は無い。因みに、人は生きても平均５０年ほどで、魔族は平均百年になる。長生きしても、人で１２３年、魔族は２０４年である。因みにエルフの最高年齢は１７５歳で長寿になったのはヘルダイスである。

「ん、うん？」

ガラガラガラの音と振動にラップの目が冴えた。

「うわっ、うわっー！」

篤郎の姿を捉えて叫んでしまったのである。

「五月蝿いな、『命令』黙れ。」

「・・・・・！」

声が出なくなり、動こうとしたら、

「そうか、降りたいか。」

と大八車の持ち手を離した。当選だが、荷台側に荷重がかかり、皆が地面に落ちた。

「いててててっ。」

と、顔を上げると、篤郎の顔を見てしまう。この時に４名が攻撃をと思った瞬間、

「「「「ぐぇ！」」」」

と苦しみだした。

「ひぃ！」

ハルがビックリしていた。

「お、今回は無銭飲食の犯罪奴隷用を作ったけど、正常に機能してるねー。」

「犯罪？奴隷？」

首の所を指さして、

「ハルだっけ、他の奴の首を見てみな。」

ラップの首に奴隷の紋章が浮かんでいた。

「あっ！」

「紋章の色が青色だろ。それは、借金と食い逃げによる犯罪奴隷を作ったのよ。今の借金は一人頭、金貨４０枚、食い逃げによる賠償に金貨１０枚を入れたよ。勿論その中には武器魔法による殺人未遂も含まれてるから。」

「えっ？」

「因みに、借金は食事、宿、備品等の日々の利用に関して、加算するから。あ、ここまで運んだ分も加算してるな。」

「あ、あの、今の借金はいくらになりますか？」

「今？んー、金貨４０枚銀貨３０枚になってるね。」

と、青い顔を篤郎がしていた。

「あれ？他はー、あれ？あれ！」

皆の金額を見直していた。苦しみが解けて、ハルから説明を聞いていた。

「うーん、すまん。少しミスったわ。」

頭をかきながら、特段と悪びれずに、

「計算を見直したら、俺が何かをすれば約２５倍を加算するようになっていたわ。まー、あれだ！頑張って借金を返してよ！」

茫然自失となっている６人と笑う篤郎であった。
篤郎は完全に間違いに気付いたが、直すよりも検証対象として６人を見ることにした。

そして『赤い羽根』の地獄が始まったのだ。

昔よりも今の方が自然を楽しめて、とにかく何処にでも行くのだ。そこには、迷惑は存在していない。
モンスターの巣に入ったり、モンスターを怒らしたり、モンスターの卵をとったりとモンスターを怒らして『赤い羽根』が代わりに戦う構図になっていたのだ。当然、かなりの金額が下がるのだが、篤郎の回復で減った分よりも高い金額を取られ残金が増えた。また、日用品、食事で借金に加算された。３日目で洞窟に着いた時点で一人金貨７０枚になっていた。
因みに、平民の１日の平均給与が銅貨１５枚。中級の冒険者の平均給与が銀貨一枚と銅貨５５枚だ。と言っても、諸々を引いて平民は銅貨８枚、中級冒険者で銅貨８０枚しか貯まらないのだ。金貨１枚稼ぐ者は少な過ぎる世界である。あ、篤郎の利権は金貨二枚で、１ヶ月で８０枚である。

それよりも暴利をくらっているのだ。

既に『赤い羽根』の心は折れ掛かっていて、奴隷として生きるのかになりつつあった。
トドメではないが。

「やっと、リディシ国に行けるよー。」

で、泣き出したのだ。通行料が１人銀貨５０枚もするのだ。１人金貨１２枚銀貨５０枚の追加となるのだ。

「じゃ、７人通りたいのですが？」

「えっと、１人銀貨５０枚で、金貨３枚銀貨５０枚ですね。」

「はい。」

「丁度ですねー。」

の言葉に何を思ったのかは知らない。
洞窟に入ると、そこは湖だった。高い通行料なのは、安全に通れる数少ない場所と、船旅にあるのだ。出港は夕方６時。着くのは明日の朝５時になる。
『赤い羽根』のエミーは頭を抱えていた。

「や、ヤバいよ。」

「諦めなよ、エミー。」

「だって、稼ぐ為に出たのに奴隷だよ？」

「じゃ、アツロウさんに言ってみたら？」

「言える訳無いでしょ、デュース。」

「だよねー。」

「「はー。」」

「でも、アツロウさんには言わないといけないよ。」

「うー、分かってるけど。」

「向こうに着いたら、あいつらに張れるからね。」

「頭がー。」

エミーとデュースが悩む事は、ラップにより篤郎は知っていた。
本当は貧乏冒険者ではなく、Ｂ級の冒険者である。
今回は依頼ではなく、新しい食材探しの旅であったのだ。エミーの妹夫婦の店を盛り上げる為、ひと人肌脱いだのだが、になる。
エミーと言う人物を知るのに、お人好しがある。爆走勘違い娘と言う不名誉な名もあるのだが、大抵は人情で許される時が多く、反発する人も多い。普段は良いのだが、何かあると首を突っ込まなければ気が済まないのだ。
で、出港時に借りたお金を返すのが、帰ったら返す事になっているのだ。
篤郎が関わりたくない人物である。
根子が同じなのだから。

しおりを挟む