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第3章 バイシュ国の内乱
初戦。
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ゼウントは皆に水杯を渡し、杯を掲げていた。
「バイシュの血と肉となる。恥ずかしく無い戦いを示すぞ!」
「「「おうっ。」」」
水を飲み干して、直ぐに陣の中で守りを固めていた。既に援軍の兆しも無く、何時でも蹂躙されるか分からない時を感じていた。愛する恋人や家族の名を呟き、懺悔をして待つゼウント軍に対してダレットとボナー男爵達は全面は固く、何時でも戦う姿勢をとりながら、リヒッテットを待っていた。リヒッテット軍には斥候を送り、到着を待つだけになっているのだから。
英雄としてのゼウントを討てば、名声だけでも大きな物になる。
それと引き換えで降伏の手もある王がいない陣地は、悲壮感しかなかった。
それでも、耐えてゼウントに従うのは、ゼウントの人徳でしかなかつた。
それ故に、ゼウントは簡単に戦を終わらせる気はなく、最大限の戦いをする予定を建てていた。勝てないが負けない戦だけを考えていた。
ゼウントは幕舎で指示を書いた。それは『降伏する事』をしたためた物だ。ゼウントの作戦は、単騎で乗り込んで暴れて死ぬ事としていた。そうして討ち取られる事で被害も少なく国を守ろうと考えていたのだから。
刻一刻と戦の機運が高まっていた。
遠くで三鐘(朝10時)の音がなっていた頃だろうか、地鳴りの様な響きが聞こえてきたのだが、此が軍勢の音ではなく、伝令がらみにしても音がおかしいのだ。第一に地鳴りをしている事だ。馬が約10頭位の音が聞こえるのも変だ。そして砂ぼこりだ。1キロ以上も離れた地点なのに見えるのだ。おかしいを越えて変でしかなかった。
構えていたゼウントの兵達もいつしか音の、地鳴りの音の方を立って見ていた。
「ゼウント様、何が起こっているのでしょう?」
「分からぬ。これが何なのかは・・・・」
分からない物を呆然と見ていると、恐ろしい事が起こった。人が天高く上がっているのだ。
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」」」
ダレット男爵とボナー男爵の兵達は混乱しだした。地鳴りと土埃を上げた物は、ダレット、ボナー軍を走っていた。悲鳴と人を天高く飛ばして。
「味方なんだろうか?」
「さぁ。」
ゼウントとパウエルは指示を出せないまま、呆然としていた。
■(ダレット、ボナー視点)
「何の音だ?」
ボナーは幕舎から出て音の正体を探していた。後方より土埃が上がってるのを見ると、
「誰か、調べよ!」
と兵をだした。と、同時に地鳴りが鳴り驚いてしまう。
「何が起こっている?!」
土埃から誰かがこちらに向かっているのは分かるが、何が来ているのか分からない。でも近づいて来ていた。
そうすると人が天高く上がっていた。上がる人を見ていたボナーは、口を開けて呆然としていた。
「なっ。」
それはダレットも変わらなかった。そして、判断が遅れてしまう事に繋がるとも気づいていなかった。
それは何なのかが見えてきた。多頭建ての馬車である。
「なんだ、伝令か。」
と、ボナーは思った。ダレットはおかしな点を捉えていた。多頭建ての馬車で伝令なんか行われない。次に多頭だ。二頭は在るが、変わった列びをしている様に思えた。そして、原理が解りかけた頃になって気が付いた。
『危ない。』
と言うことに。
遅れたいや、忘れていたのだ。危険という事を忘れていたのだ。迫って来る危険と云う物体という物に。それが、考えていたと違う事が起きていたからだ。例えるなら、見え難い交差点をブレーキも掛けずにアクセルをベタ踏みして直進するようなものだ。事故に合って初めて危険だったと悟る馬鹿だろうか。
現実でも起こる事だが、この時代に8頭建てで鋼鉄で疲れない走りをする馬何て考えれない。時速で云うと170キロの速さの物が走っているのだ。この世界で100キロを出す馬はいないし乗った人もいない。
高速の馬が今、走っているのだ。地鳴りと嘶きと笑い声と悲鳴を引き連れて。
危険だと感じるのが遅れたのは、地鳴りとスピードだけではない。一番の原因は、笑い声だ。篤郎の笑い声は、実に楽しそうに笑っている為に呆気に取られていて、危険と分からなかったのだ。
そして、気が付いた時に跳ねられて空を飛んでる訳だ。だが安心して欲しい。異世界なので回復魔法がある。馬車に紋章で、跳ねた人を回復させているのだ。跳ねた後は知らないが。
声無い人が天に昇る。
そして、そんな人達は恐れる。
「わははははははははは!」の笑い声と、バッカロン、バッカロンの地鳴りと足音。
ボナーが気が付いた時には、叫ぶ声と天を舞う人々を見ていた。ボナーは現実逃避をしてしまう事になる。ダレットは何かを叫んでいた。
恐れてしまってだろうか、二千を超える兵達が一台の馬車に逃げ惑っているのだ。
縦横無尽に走る馬達を停める手段も無く、跳ねられたのだ。引かれる事が無いのが不思議ではあるものの、天高く舞い上がる。
戦でも無く、事故に遇うと云う災難にあっているのだが、理解出来ない事態になっていた。
戦争とは遠い言葉になるが、既に人が落ちてくる間に引き飛ばさらているのだ。恐怖を感じるのは何処だったのかは分からないが、逃げるしかなかった。
そして、30分で終わった。
人が落ちてくる様を見ていたゼウントと兵達は呆然としていた。天高く飛ぶ事が何で起こったのか、人智を越えた物を感じていた。
無論、その音が近づいて来るのだから恐れしかないが、
「あはははははははははははは!」
との聞き覚えがある声が聞こえた。ゼウントは自然と、
「アツロウ様?」
「アツロウ様!ゼウント様、アツロウ様ですと?」
「えっ?あぁ。多分、そうだ。」
ゼウントは柵を越えて、立っていた。
音が馬車と確認が出来た瞬間にゼウント軍の歓喜が上がった。馬車もゼウントの前で止まり、篤郎が降り立った。
「楽しかったー。」
「「「アツロウ様!」」」
ゼウントも兵達も篤郎に集まってきた。
「後ろの幌に捕虜も居るから、縛っておいてくれ。」
「はっ!」
兵達は直ぐに捕らえに向かった。篤郎はゼウントに、
「ゼウント殿、話しは後だ。先に情報を聞きたい。」
「はっ!はっ?情報ですか?状況でなくて。」
「他の兵達は敵陣を確保に行け。ゼクト団長、指揮をしろ。」
「はっ!て、アツロウ様、命令は主君がされないと。」
「ゼウント!」
「はい!パウエル、行くのだ。」
「理解いたしました。行くぞ!」
たかだか約二百の兵達は陣から出て行った。入れ替わりに兵が報告に来た。
「アツロウ様、捕虜の中にリザリアさんが居てますが?」
「あぁ、捕虜だ。縛っておいてくれ。」
「はっ!」
兵は敬礼をして馬車に戻った。
「アツロウ様、捕虜にリザリアも?」
「あぁ、奴隷が主を無視して捕まったからな。三匹はお前にくれてやる。リザリアはダメだがな。」
「問題ありません。して、捕虜とは?」
「リヒッテットと陣で良い鎧を着てたおっさん達だ。」
「か、快勝ですな・・・・」
ゼウントのキャパはオーバーしていた。
「ゼウント、情報は?」
「はっ!えっと、リヒッテット侯の軍勢が整うのに後4日。我が軍が集結するのにやはり4日は要ります。ただ、今回の勝敗で我が軍の勝ちになりましたが。」
「ふむ。予想される兵力は?」
「予想ですか?えーと我が軍が約2万なので、リヒッテット侯の軍も二万位にはなると思いますが。」
「ふーむ。よし、ゼウント、手駒は他にあるか?」
「はい、昼頃か過ぎには、領地の増援が到着すると思いますが。」
「何人来るの?」
「な、何人ですと?多分、千はいないかと・・・・」
「三百借りるぞ。」
「三百ですか?」
「あぁ、三百は軍から市民になってもらうがな。頼んだぞ。」
「はっ!」
篤郎はゼウントの肩を叩くと天幕に歩いて行った。
ゼウントは、混乱の中で対応していた。多分、意識は無かったのであろう。しかし、与えられた使命だけはこなそうと頑張っていた。
頑張って、頑張っていたら、王城に行く前に倒れてしまった。
「バイシュの血と肉となる。恥ずかしく無い戦いを示すぞ!」
「「「おうっ。」」」
水を飲み干して、直ぐに陣の中で守りを固めていた。既に援軍の兆しも無く、何時でも蹂躙されるか分からない時を感じていた。愛する恋人や家族の名を呟き、懺悔をして待つゼウント軍に対してダレットとボナー男爵達は全面は固く、何時でも戦う姿勢をとりながら、リヒッテットを待っていた。リヒッテット軍には斥候を送り、到着を待つだけになっているのだから。
英雄としてのゼウントを討てば、名声だけでも大きな物になる。
それと引き換えで降伏の手もある王がいない陣地は、悲壮感しかなかった。
それでも、耐えてゼウントに従うのは、ゼウントの人徳でしかなかつた。
それ故に、ゼウントは簡単に戦を終わらせる気はなく、最大限の戦いをする予定を建てていた。勝てないが負けない戦だけを考えていた。
ゼウントは幕舎で指示を書いた。それは『降伏する事』をしたためた物だ。ゼウントの作戦は、単騎で乗り込んで暴れて死ぬ事としていた。そうして討ち取られる事で被害も少なく国を守ろうと考えていたのだから。
刻一刻と戦の機運が高まっていた。
遠くで三鐘(朝10時)の音がなっていた頃だろうか、地鳴りの様な響きが聞こえてきたのだが、此が軍勢の音ではなく、伝令がらみにしても音がおかしいのだ。第一に地鳴りをしている事だ。馬が約10頭位の音が聞こえるのも変だ。そして砂ぼこりだ。1キロ以上も離れた地点なのに見えるのだ。おかしいを越えて変でしかなかった。
構えていたゼウントの兵達もいつしか音の、地鳴りの音の方を立って見ていた。
「ゼウント様、何が起こっているのでしょう?」
「分からぬ。これが何なのかは・・・・」
分からない物を呆然と見ていると、恐ろしい事が起こった。人が天高く上がっているのだ。
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」」」
ダレット男爵とボナー男爵の兵達は混乱しだした。地鳴りと土埃を上げた物は、ダレット、ボナー軍を走っていた。悲鳴と人を天高く飛ばして。
「味方なんだろうか?」
「さぁ。」
ゼウントとパウエルは指示を出せないまま、呆然としていた。
■(ダレット、ボナー視点)
「何の音だ?」
ボナーは幕舎から出て音の正体を探していた。後方より土埃が上がってるのを見ると、
「誰か、調べよ!」
と兵をだした。と、同時に地鳴りが鳴り驚いてしまう。
「何が起こっている?!」
土埃から誰かがこちらに向かっているのは分かるが、何が来ているのか分からない。でも近づいて来ていた。
そうすると人が天高く上がっていた。上がる人を見ていたボナーは、口を開けて呆然としていた。
「なっ。」
それはダレットも変わらなかった。そして、判断が遅れてしまう事に繋がるとも気づいていなかった。
それは何なのかが見えてきた。多頭建ての馬車である。
「なんだ、伝令か。」
と、ボナーは思った。ダレットはおかしな点を捉えていた。多頭建ての馬車で伝令なんか行われない。次に多頭だ。二頭は在るが、変わった列びをしている様に思えた。そして、原理が解りかけた頃になって気が付いた。
『危ない。』
と言うことに。
遅れたいや、忘れていたのだ。危険という事を忘れていたのだ。迫って来る危険と云う物体という物に。それが、考えていたと違う事が起きていたからだ。例えるなら、見え難い交差点をブレーキも掛けずにアクセルをベタ踏みして直進するようなものだ。事故に合って初めて危険だったと悟る馬鹿だろうか。
現実でも起こる事だが、この時代に8頭建てで鋼鉄で疲れない走りをする馬何て考えれない。時速で云うと170キロの速さの物が走っているのだ。この世界で100キロを出す馬はいないし乗った人もいない。
高速の馬が今、走っているのだ。地鳴りと嘶きと笑い声と悲鳴を引き連れて。
危険だと感じるのが遅れたのは、地鳴りとスピードだけではない。一番の原因は、笑い声だ。篤郎の笑い声は、実に楽しそうに笑っている為に呆気に取られていて、危険と分からなかったのだ。
そして、気が付いた時に跳ねられて空を飛んでる訳だ。だが安心して欲しい。異世界なので回復魔法がある。馬車に紋章で、跳ねた人を回復させているのだ。跳ねた後は知らないが。
声無い人が天に昇る。
そして、そんな人達は恐れる。
「わははははははははは!」の笑い声と、バッカロン、バッカロンの地鳴りと足音。
ボナーが気が付いた時には、叫ぶ声と天を舞う人々を見ていた。ボナーは現実逃避をしてしまう事になる。ダレットは何かを叫んでいた。
恐れてしまってだろうか、二千を超える兵達が一台の馬車に逃げ惑っているのだ。
縦横無尽に走る馬達を停める手段も無く、跳ねられたのだ。引かれる事が無いのが不思議ではあるものの、天高く舞い上がる。
戦でも無く、事故に遇うと云う災難にあっているのだが、理解出来ない事態になっていた。
戦争とは遠い言葉になるが、既に人が落ちてくる間に引き飛ばさらているのだ。恐怖を感じるのは何処だったのかは分からないが、逃げるしかなかった。
そして、30分で終わった。
人が落ちてくる様を見ていたゼウントと兵達は呆然としていた。天高く飛ぶ事が何で起こったのか、人智を越えた物を感じていた。
無論、その音が近づいて来るのだから恐れしかないが、
「あはははははははははははは!」
との聞き覚えがある声が聞こえた。ゼウントは自然と、
「アツロウ様?」
「アツロウ様!ゼウント様、アツロウ様ですと?」
「えっ?あぁ。多分、そうだ。」
ゼウントは柵を越えて、立っていた。
音が馬車と確認が出来た瞬間にゼウント軍の歓喜が上がった。馬車もゼウントの前で止まり、篤郎が降り立った。
「楽しかったー。」
「「「アツロウ様!」」」
ゼウントも兵達も篤郎に集まってきた。
「後ろの幌に捕虜も居るから、縛っておいてくれ。」
「はっ!」
兵達は直ぐに捕らえに向かった。篤郎はゼウントに、
「ゼウント殿、話しは後だ。先に情報を聞きたい。」
「はっ!はっ?情報ですか?状況でなくて。」
「他の兵達は敵陣を確保に行け。ゼクト団長、指揮をしろ。」
「はっ!て、アツロウ様、命令は主君がされないと。」
「ゼウント!」
「はい!パウエル、行くのだ。」
「理解いたしました。行くぞ!」
たかだか約二百の兵達は陣から出て行った。入れ替わりに兵が報告に来た。
「アツロウ様、捕虜の中にリザリアさんが居てますが?」
「あぁ、捕虜だ。縛っておいてくれ。」
「はっ!」
兵は敬礼をして馬車に戻った。
「アツロウ様、捕虜にリザリアも?」
「あぁ、奴隷が主を無視して捕まったからな。三匹はお前にくれてやる。リザリアはダメだがな。」
「問題ありません。して、捕虜とは?」
「リヒッテットと陣で良い鎧を着てたおっさん達だ。」
「か、快勝ですな・・・・」
ゼウントのキャパはオーバーしていた。
「ゼウント、情報は?」
「はっ!えっと、リヒッテット侯の軍勢が整うのに後4日。我が軍が集結するのにやはり4日は要ります。ただ、今回の勝敗で我が軍の勝ちになりましたが。」
「ふむ。予想される兵力は?」
「予想ですか?えーと我が軍が約2万なので、リヒッテット侯の軍も二万位にはなると思いますが。」
「ふーむ。よし、ゼウント、手駒は他にあるか?」
「はい、昼頃か過ぎには、領地の増援が到着すると思いますが。」
「何人来るの?」
「な、何人ですと?多分、千はいないかと・・・・」
「三百借りるぞ。」
「三百ですか?」
「あぁ、三百は軍から市民になってもらうがな。頼んだぞ。」
「はっ!」
篤郎はゼウントの肩を叩くと天幕に歩いて行った。
ゼウントは、混乱の中で対応していた。多分、意識は無かったのであろう。しかし、与えられた使命だけはこなそうと頑張っていた。
頑張って、頑張っていたら、王城に行く前に倒れてしまった。
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