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第2章 転移しました!

篤郎の軽い一撃。

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篤郎の毎日は忙しいかった。

勿論、冒険者としてでなく、大工や家具の作成や色の調合等の建物建築から魔道具の作成や魔法や紋章の研究、味噌や醤油やお酒の開発に余念がなかったからだ。

何処から集められたのか分からない木材は、職人から欲しがられるのだが、篤郎には言えないのでデニーさんを通じて話は来ている。
大方、レクッチが情報を聞き出そうとしているのだろう。
3ヶ月の期間も待たずに色々やってしまったよ。
店は改装して、冒険者が入れるまで下げたよ。綺麗だったのにデニーさんに敷居が高くなります!と怒られてしまった。
料理に関しては、喫茶店レベルまで出来た。

町一番の料理屋のレベルになってるから安心だ。本当にレウスは良い料理人になっている。パレーも準料理人としている。何で女は要らん事をするのか?新しい味や食材を見つけようとするのは良い。が、毒を入れたのを味見させるか普通は!ま、俺だから問題が起きる前に対象出来たが、一般人には出させないと確約させた。本当に、料理の店で殺人事件は止めて欲しいからな!
ロイシュとデニーさんは給仕として頑張って貰う。

この世界での酒はエーテルと言うビールの出来損ないが売られている。だから、麦が売られていたので大量に仕入れて、此方もビールを作ってみた。大型の冷蔵庫と大型の冷凍庫も作ったので、新しい飲み物として販売予定になった。他にはサイダー系や果汁を足した物も販売する。
お陰で地下を作る事になり、今や三階まである。
凄い店になった物だと感心してしまった。

本当は3ヶ月も要らなかったが、敢えて店は予定通りに開店だ。外壁は閉まったままで、出入りは勝手口のみにしている。情報収集が必要なのと同じように、情報の隠蔽も必要である。

これまでの状況で、領主の行動と約束は宛に出来ないし、商会もレクッチが暗躍して商品を此方に回さない手に出ている。

既に農家数件と契約して金まで支払い済みな『旨聞亭』ではない。他の食材や薬草等も集めている。こっちの準備は大方できた。

問題はリザリアだ。

実は奴隷よりも諜報員として疑って、それなりに見ていてたのだが、前回の森での一件から無駄に外に行かなくなるし、用事を頼んでも直ぐに終わらして来るのだ。2ちゃんの浮気女が旦那に張れて必死に再構築してますよ、って感じ?とにかくキモイ。ホント、ログイシュ家は鬼門だわ。

それに朝練も付き合うのよ。
大抵は、町を走る位でへたばってるな。

それに、剣術は棒を振るだけで、それなりの場所では強いかな。戦場で全線にでたら即死レベルだけどな。
新しいリザイデント流は剣術と呼んでも良いのかは考えてしまう。ま、門下生が多いから仕方ないか?

そんなんで、3ヶ月を迎えました。
夜明け前に店の前に皆でて篤郎が、

「今日から店を開店するが、みんな良いな?」

「はい、師匠!」

「問題ありません、師匠!」

「準備は良いよ!」

「でも、アツロウさん。中は綺麗ですけど外が・・・・」

「アツロウ様は何かお考えが?」

「流石、デニーさんとリザリア。見てて。」

篤郎は即座に外壁を燃やした。

「「「「うわー!」」」」

そりゃ、明け方に家が燃えたんだ、慌てるのも無理はない。それ以上に、燃えていない新しい外壁が現れる。白を基調とした堅固な建物が。

「「「「うわー。」」」」

最初のテンションから今の感情を考えても、無表情になるしかなかった。

「よし、完成。はい、中にはいってね。」

一人だけテンションが変わらない篤郎と、考え無くなった5人は店に入った。

明け方に食べ物屋の開店は早くはない。冒険者の相手に商売をするから当然である。明け方は大体朝5時になるが6時には冒険者ギルドが開く。一時間前に朝食を食べるのが良い冒険者の嗜みだ。

一番に依頼を請けれるかどうかで、収入の差が大きい商売だからだ。で、良い場所の新しい食べ物屋が開いたら、命を張る商売をしていれば、入るのが当たり前だ。と、篤郎は考えている。

当たりだが、実際には冒険者ギルドは7時に開く。この時間には門が開き、旅人などが入って来ている。ギルドよりも宿を探す人もいたが、意外と篤郎案が当たったように人が入って来た。

最初に入って来た客は、外観を見て入いるとテンションが低いデニーに席に通された。豪華な内装でビビりはしたが、メニューを見せられて驚いた。安いのだ。そしてメニューの多さ。まさか、冒険者ランチが流行るとは思っていなかったが、その後『旨聞亭』の看板メニューになる。

そして料理だが、冗談で入った旅人は豪快に食べ出したのだ。「旨い!」の言葉とお代わりと新しい飲み物を追加して。そこから満席まで時間はかからなかった。
篤郎は満席になる前に、席を立つと外に出た。
賑やかな朝の店内と違って、暗い奴等が複数現れたからだ。

「朝から殺気だってるねー。」

「お前が居たから、俺の計画が壊れたではないか!」

そこには20人の冒険者を従えた、怒ったレクッチが居た。

「やっと来たか小物。」

「こっ!貴様、誰に向かってぇ!」

「うるさい。ご近所迷惑だ。」

「ふん!小生意気なやつめ。今日はレクッチ商会の損害も含めて今日で回収だ!やってしまえぇー!」

1対20なら多い方が勝てる。それは同じ戦力での数でならと、本来なら云うべきだろう。
戦力ではなく武器ならレクッチ側が有利だろう。剣が20本ある。篤郎は素手だ。
篤郎はリザイデント流と地球の武術を融合してきた。当然、武術をやっている。問題があるとしたら、対人間をしてこなかった事だろうか。

「「死ねー!」」

「「うおぉぉぉ!」」

まずは篤郎に斬りかかる三人。両腕と頭狙いだ。
この時の篤郎は強くても良いよね程度だった。遅い三人を軽く叩いていたと思っていた。しかし、
どごおぉぉぉぉん。

「あれ?」

「な、何があった!あっ、アツロウ様?!」

リザリアが店の外で見たのは、びっくりしている篤郎と、向かいの店を破壊している様であった。当然、篤郎以外に人はいなかった。

「アツロウ様、何があったのですか?」

「うん、レクッチ達が居たんだけどね。」

「はい?」

「叩いたらこうなっちゃた。」

「えーと?」

「レクッチ生きているかな?」

「えっ、えっ?」

「リザリア、騎士団に連絡してくれない?」

「えーと、向かいの店が壊れた事ですか?」

「うーん。とりあえず、それで。」

リザリアは急いで騎士団に言いに行った。動く者が居ないが、被害地と自分の拳を見ていた。

「あれ、あれー。」

ここに黒幕達と篤郎の火蓋が切られた事になった。
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