転生国主興国記

hinomoto

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本章

ランバルト

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「ちょっと待った!」



「はい?」



ランバルトがつぶらな瞳でナインを見る。

つぶらな瞳だからって許さないだからっ!



「何で俺の存在を知っている?」



「えっ?」



「海の事には完全無視だったのに!」



「あのー、神龍様。」



「なに?」



「獣神様が毎回どこかの部族や都市に地上の事を教えてくれるので、知らない者はいませんよ?」

「なにしとんじゃー!あのサメ!蒲鉾に擂り身にしたろかー!」



「「ご主人様!」」



「あっ!?」



「陸は神龍様の信仰が盛んになってるで?」



「はっ?」



「空は殆ど聞かないけど、普通の龍族は神龍様は崇めてんぞ?鳥族も新たな神龍様を崇めてるな。」



「はっはー!?」



「「「知らんの?」」」



「知るかー!」



「マスター。」



「なに?!」



「諦めて下さい。」



ナインは砂浜に崩れ落ちた。涙を流して。

三匹は何故か和気藹々とのんびり話し合いをしていてナインを無視していた。

アイはナインの背中を擦っていた。

ナインは、



「あ、あー!ばかー!」



夜空に響き渡っていた。





ーー 一時間後 ーー





ざざーん。

波が寄せて返すのを、月明かりで見てるのも乙なものだ。



「ご主人様、もう良いですか?」



「まだ。」



もふもふの尻尾を触るのも特権だ。

なかなか気持ちが良くて寒い夜に抱いていると最高なのだ!



「あのー。」



「やだ。」



海竜のクセにしつこい奴だ。

濡れた顔で懸命に?冷静に話を進める、ランバルト。



「ん、んっ。海の状況を説明します。」



「・・・・・やだ。」



「先ずは近場からシャチ族とクジラ族の小競り合いが長年続いております。サメ族が海賊になり海底の都市や海上にある村が被害にあってます。南にあるエイ族は海の支配を目論んでいて、竜族に、てっ嘘?あっ、こほん。り、竜族と手を結んで龍族を押さえて要るようです。えっと、龍族の水龍の族長以下は病で殆ど動けておりません。多分、幻獣様が倒され時に何かしらあったのかと思います。デスネ。」



「知らん。」



俺はもふもふに癒されて居るのだ。

何で海の事まで動かなくてはいけないのだ!

ランバルトはそれでも続けた、



「ハッハイ。水龍族に関しては神龍様にも、いえ。神龍様の責任ですね。」



「何もしてないし。水龍族にはあったことないし。」



「当たり前です。幻獣様の呪いで水龍族は壊滅的なダメージを受けて、ええぇ!あ。ゴホンッ。受けてます!えー、しかも呪いも神龍様に向くはずが水龍族に向かったので最悪です、無責任です、人でなしです。」



急に慌てるわ、棒読みになりやがって、辛辣な言葉やないか。

しかし、幻獣のを倒した被害に水龍族に被害があるのは黙ってられないな。

ナインはもふもふを惜しみながら立ち上がったが、手にはもふもふを離せないでいた。



「それで、水龍族の住みかは?」



「此処から西西南の方角で一万五千キロの地点です、ね。」



「なあ。」



「何でしょうか?」



「お前ら竜族って、エイと手を組んで水龍族にチョッカイを仕掛けてるじゃない?」



ランバルトの濡れ方が一層大きい。水面に滴り落ちていたのが滝の様になっている。



「竜族でもい、殆どが手を組んでとかありませんよ。はははは。私は神龍様に報告ー、た、助けを求めに来てますから。」



じー。

何か怪しい。

でも、水龍族には会わなくてはならんだろう。

どの程度か調べるのと、謝らないとな。何か悔しい。



「明日の朝に行く。」



「ええぇぇ。」



俺はもふもふにくるまって眠りにつくのだった。

初のもふもふに寝れるぜ!!ひゃーほー!

面倒だよ。明日から頑張ろう。







ーーーーーーーーーーーーーーー





「アイ様、本当なんですか?」



ランバルトは汗を器用にヒレで拭うが、汗は止まらない。



「疑うのですか?」



アイから冷たい目線で見られるランバルトは生きた心地はない。



「しかし、知性高い竜族にそんな不届き者が居るとなると、種族会議で挙がってきますよ?」



「蛇竜族のララルバートが動いてますよ。」



「蛇のララルバートか!アイツ!でも、それだけでは。」



「亀竜族と鰭竜族の長バイックがララルバートに加担しています。」



「なっ!それなら、弱っている水龍族は押さえれますね。」



「マスターに逆らい造反したいらしいですので、マスター自ら行動させてあの姿を見せて戴かないと!」



「はっ?」



「もう少し、あなたを拘束します。」



「いやー!」



ランバルトは拘束具で固められ、波打ち際に捨てられる。

アイの野望の為に進んでしまう。
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