転生国主興国記

hinomoto

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本章

アイ ・・・・ ゆー

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怨みを返すのに日にち関係無いとは前世に聞いた言葉だ。
同等の力かそれ以上か以下でも、深い怨みなら同等なのか?
では、天使も瞬殺出来る人は普通の人間に怨みを返す期間は?
一応、アイが戻る迄と自分ルールにしていたのだが、アイが戻る気配もなかったのだ。
お陰様で、学園の全生徒と教職員が心に傷を追いました。
記憶を消したのに、水溜まりを歩く音に恐怖を感じるようです。
パリエッタ嬢は臭い聖女候補となってしまい、『腐聖女』の称号が着いてしまったのは黙って起きましょう。あぁ、他に『小便と糞を漏らす者』と『気絶王』も着いていましたが秘密ですな。
学園の全員には、『恐怖を知る者』の称号が着いています。どれもパラメーターにマイナスの作用しか無いので頑張って生きて下さい。
さて、グリーンシティに早く帰り無いといけないのでアイの処まで転移しますか。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「た、大変です!」

「アイ様どうかされましたか?!」

いつの間にか女性化しているイシュナが書類を持って駆け寄って来た。その後ろからはレットーとイルミナも駆け付ける。

「マスターが来ます!」

「良かったですね。」

はイシュナの発言で、

「く、来るのですか?」

と怯えるのはイルミナで、

「誰ですか?」

はレットーである。
因みにレットーはこの発言により、向こう百年の重労働の刑に罰せられる。

「どうしよー!」

アイの壊れっぷりに、一同の動きも停まる。
思考と体が追い付けないほどの慌てっぷりに。
新たらしい事務所のスタッフになっていた天使も仕事を止めてアイに注目していた。

「私、何処か変かな?おかしい処はない?」

アイの顔は赤くなり、目も潤っている。
一部の天使達は

「アイ様可愛いですよ!」

と応募をしている。

「そ、そう?えっへっへっへ。」

アイのはにかんだ表情に見ていた者は、撃ち抜かれた様に胸を抑えて同じ思いをしていた。
(可愛い!)
ただ、惜しむかな誰もアイの感情は分からないでいたのだ。
悪魔達はネットで価値観を学んでいたが、天使達は愛の認識も無いのだ。昔にはあったが今では無用な物と化していたのだ。
だから素直に、

「「「本当です!」」」

と、言えたのだ。
間違いではないが、相手は百戦錬磨の鈍感勘違い男(+免疫ゼロ)なのである。
良かった点は恋愛経験者が皆無な天使達であった事と、昔に恋愛詐欺をしたババアと騙されたオカマがいるだけだ。
昔も昔過ぎて何のアドバイスも出来ないのが良かったのだろう。
但し、アイは気持ちを知る事も教えてくれる者も居ないのだ。
頑張れアイ!

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「アイ?」

転移したら女に囲まれて居ました!
タチケテ!ヘルプミー!

「ご主人様、お疲れ様です!」

胸がAよりのBな控え目でゴツい女が対応してくる。
焦りながらも聞いてみる。

「だ、誰?」

「イシュナですが?」

ボケる事なく、素で答えてくる。

「何で女形?!」

ホッとする間もなく突っ込む。

「ご主人様が大人に成られたので、この体にしました!」

嬉しそうに話して来るが、元が男で天使が女になると!と期待していたが!なんてクソクオリティーだ!
股間を無くして、微妙な胸で筋肉体なんだよ!
顔が変わって無いから、オカマさんだよ!

「分かった、イシュナは近くに来るな。」

「はっ?」

「半径二百メートルに入ったらコロス。」

「へっ?いや!」

「入ったらコロス。」

「ご主人さまぁ!目が、目が恐いですぞ!」

「コロス。」

「ひぃぃぃぃぃ!」

ピューと走って逃げたようだ。あの体でドスドスと鳴らないのが不思議である。
しかし、モーホーは死すべし!である。
ん?
幼女?何でこんな所に居る?
誰かの足の裏に隠れて居るのを発見する。

「てか、お前は誰!」

足の持ち主に聞いた。

「えーと、初めましてご主人様?私はレットーと申します。」

出来るお姉さん風が出てきたよ。胸?おとこ?

「あのー、ご主人様?」

「オカマ?」

「性別は有りませんよ?」

ちっ、中性か。

「死んどく?」

「ひいぃ!辛辣で恐ろしいお言葉!」

「逝っとく?」

「殺さないで下さい!やっと、放漫主義の無能上司から解放されたのです!止めて下さい!」

プリプリと怒る様子は女形な為だろうと思う。
ん?

「無能上司?」

「はい。」

レットーの後ろに居た幼女をつまみ上げる。
あげられた幼女は抵抗もせずにぶら下がっていた。
て、抵抗したら?とナインは思っていた。
すると、幼女の様子が変わっていった。
始めは無機質にしていたが、ナインをじっと見るなり額から顔から頭から汗が流れ出していた。

「元上司のイルミナです。」

人は緊張すると汗をかくらしい。いや、かくだな。
仕事でプレゼンするときはかく。他にも有名人でも、好きな有名人ならかいてしまうし、絶世美人でもかいてしまう。昔の俺は異性が近くに居ると嫌な汗が出てきたよなー。はっはっはっ。
イルミナさんは、俺の視線をかわしながら汗をどんどんかいていた。雨の様に床に溜まっている。

「ほー、イルミナね。」

声を掛けただけで逃げ出そうとするが、レットーの手から逃げ出せなかった。

「生きていたのか。しかし、小さいな?」

「仕方ないですよ。ご主人様にテイムされて、何もかも無くなりましたし。これも、信仰の残りカスを寄せ集めて体を作り直したから。」

「ん?お前の上司だったのだろう、敬語とかしないのか?」

「まさかー、元ですよ。信仰も奪われテイムの格も落ちたんですよ?何で様とか敬語を着けなくてはいけませんか?」

かなり嫌がるレットーを見る。
嫌な上司が部下の下になる。ふむ、面白いな。

「よし、レットーの下にイルミナをつけよう。指示を出して休まさせるなよ。」

「分かりやした!ほら!イルミナは着いて来な!」

イルミナを引き下げて廊下を歩くレットーの顔は嬉々としていたのだが、自分の身にも同じ事が起こるとは思いもしていない。
姉御肌なのねと思いながら二人を見送っていた。
そうなると、外野を除けばアイと二人きりになった。

「アイ?」

下を向いたままのアイが気になり近くまで行くが、アイは後ろに向いてしまう。
何だか、胸を締め付けられる思いがした。
次の瞬間、ナインはアイを抱き締めていた。
神は居ないと思っていたナインも分からない、必然かつ偶然の事が起こった。

アイは体を包む感覚に狼狽えていた。
感覚も視覚も必要ではないアイには見えていたのだ。
大人バージョンのナインに抱き締められていた。
アイの内心は言葉に出せない程のパニックだった。
ナインは優しく言った。

「アイ。何時もの連絡が無いのは寂しいよ。アイの声を聞かせてくれないのか?俺はどうすれば良いの。アイに嫌われたら俺は・・・・」

「ち、違います!」

「俺に顔を見せて。」

「で、でも。」

はにかむアイの体を無理やり正面にして、抱き締めてから顔を合わせた。
見ていたはずなのに、機体の視線で見るナインの顔を見ていた。
ナインの精悍な顔を見て、アイの目から涙が流れた。停まる事なく溢れ出ていた。

「やっと見れた、ただいま。」

ニコッと笑顔を向けると、アイも泣きながら笑顔で、

「お帰りなさい、マスター。」

と、言ってしまう。
暫くして、アイの頭を胸にくっ付けると、

「元気になった?」

と聞いた。
アイは胸の高まりも止まり、恥ずかしさも落ち着いたので、

「はい。」

ナインの胸の中で短く答えた。
アイは幸せを感じていたが、その理由も知り愕然とする。
しかし、アイは私がマスターを支えます!との使命に燃えていた。
その理由は言えないが。

「私のマスター。」

「なんだよ。」

「何でもありません。」

アイは自分の意思で決めたのだ。
女性としてマスターをサポートしようと。

「マスターに永遠を捧げます。」

小さく呟く言葉はナインに届か無かったが、強い意思はあった。
強く暖かな、愛情とともに。
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