転生国主興国記

本章

聖女の子

「うんぁぁー。」

エイトは心地目覚めを迎えた。
布団から出たので、身支度を整える。
終えたら講堂に集まり祈りを捧げる。
終われば食堂に行き、部屋に戻ってから教室に向かう。
エミリアと言う少女が付いて指導してくれる。

「エイトさんは、覚えが早くて良いですね。」

少し笑顔に曇りがあるが、エイトは仲良くしてもらおうと、

「いえ、エミリアさんのおかげです！」

と、頭を下げる。
美少女から頭を下げられるのである。
貴族での彼女にとって、至極のご褒美となる。
エミリアの歪な気持ちをエイトは好意と捉えていた。
初日は、軽く指導を受ける程度で終わる。

次の日は、聖女候補との対面となった。
６人の少女と出会うのだが、その中にはパリエッタ嬢がいた。
周りもそうだが、パリエッタ嬢は敵かなわない人を見て衝撃を受けたのだ。
初めての敗北。初めての危機感。初めての嫉妬。
負の感情が大概なく襲う。
パリエッタ嬢の中にある声が響いていた。

『あの子を此処から排除しないと。』

私に出来る事はない。だって教皇様が召還して、お会いになった人だから。

『あの子が居なくなればいいのよ。』

どうすればいいの？
私の声で私と話をしていて、考えてしまう。
聖女は卑怯な行動をしてはならない。
それが問題だったから。

『周りが勝手にあの子をどうにかさせたら？』

でも。

『勝手にしたら、貴女に関係ないでしょ。』

でも。

『聖女に成れないよ。』

それは、嫌だ。

『やらなかったら聖女様が、悲しむよ。』

嫌だ、絶対に嫌だ！

『なら、早くやらないと。』

私は私の声と相談をした。
私に納得するしか出来なかった。
私の地位と尊厳と存在を守る為に。
面会が終わり、６人が少し喋った。

「誠実で可愛らしい方でしたね。」

「そう？笑顔の裏に何を隠しているのか分からないわ？」

不機嫌にパリエッタ嬢が喋るだけで良いから。
簡単な諜報である。
焦らず、慎重に行わないと。
失敗しては駄目なのだから。

悪意が開花した、イルミナの本当の聖女の子が蠢き出したのである。
黒い意思と共に。