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第二十一話
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『SSC』の終業時間は基本的に二十一時までだ。
美綾は社員証をかざしてビルを出た。他のフロアには明かりがまだついている。二十一時以降は届け出を出せば、二十二時まで一時間だけ延長が可能となっている。だから残っているチームもあるのだろう。
高校生が主体だからこそ、風紀の乱れはいっそう社会から厳しく見られる。今は夏休み中ということもあって、どうしても気分が開放的になる。
よっていつも以上に取り締まりは厳しい。
各イベントのチーフが最終責任を負い、不在の場合は代理をたて、時間内のカギの返却を義務付けているのだ。最後は警備員が巡回して注意をするが、最終的に由功がチェックをすることも多かった。
今日は司が貴影の代わりに最終チェックを行う。基本的に女の子は先に帰す事になっており、美綾も気にはなりながらも帰ることにした。
『SSC』のビルは大通りに面している。カフェも含めて周辺の店は閉まっているけれど、この時間帯でも人通りは多く、車も行き交う。駅までの道も明るい。それに塾帰りの中高生より帰宅時間は早い。
由功はそれでもできるだけ一人で帰るなと過保護なので、いつもは真夏と一緒に出るのだが、今日は急用ができたとかで急いで帰ってしまった。
軽くクラクションの音が響いて、何気なくそちらに目をやる。見覚えのある車がすぐさま横づけされて美綾は駆け寄った。運転席の窓が開く。
「ようやくご帰宅か? こんな時間まで仕事なんて就業規則はどうなっている?」
郡司の言葉に美綾はなにも言い返せない。バイトスタッフはそのあたりも守らせるが、社員は個々の契約によるところが大きい。夏休み中で変則的なため追及されると困る部分ではある。
「こんばんは。お久しぶりです。今日はどうされたんですか?」
「連絡しろって言ったのに、一度もこないから直接会いに来た」
美綾はどう答えていいかわからずに曖昧にほほ笑んだ。
郡司には確かに個人の連絡先が書かれてある名刺を渡された。けれどそれはあの日のうちに由功の手によって破られた。そして頼むから、青山郡司と個人的には関わるなとも言われたのだ。その時に郡司の女癖の悪さを懇々と説明された。
本当は美綾としてはせめて、遊園地でかかった費用を支払いたかった。けれど由功には必要ないと一蹴された。手首を傷つけられた詫びだと思えと言われて。
「先日はありがとうございました。あの遊園地でかかった費用ですが」
「は? だからそれは必要ないって言っただろう」
この際だと思ったのに断られて、美綾は「では、ありがとうございました」と再度お礼を言うことでこの件は終わりにしようと思った。
「それより食事にでも行こう。どうせまだだろう? 費用気にするぐらいなら食事に付き合え」
「それは……」
さすがにそれはできない。
「今週から正式に配属された。だから今日のうちとの打ち合わせも見させてもらった。面白かったぞ」
貴影からはとりあえず打ち合わせが終わったことだけは報告を受けていた。結果は後日だったはずだ。
「うちの結論、聞きたくないか?」
郡司はどうもあの手この手でこちらの気を引いて食事につきあわせたいようだ。あれだけ美綾のことを軽蔑した眼差しで見ていたのに、どこで心境が変わったのか。けれどそれはお互い様かもしれない。
遊園地の件で美綾の警戒心もだいぶ薄れている。
「もう結果が出たんですか?」
「乗れよ。食事に付き合うなら教えてやる」
「……いえ、結果はみんなと一緒にお聞きします」
「ふーん。簡単に男の車に乗らなくなったのは褒めてやる」
美綾はあえてにっこり笑って
「ありがとうございます。では失礼します」
と帰ろうとした。
その時郡司の小さな呟きが美綾の耳に届く。
美綾は驚いて郡司を振り返った。
「美綾、乗れ」
美綾には彼の言う通りにするしかなかった。
***
郡司に連れてこられたのはよりによって『青桜』本社ビルそばのホテルだった。すでに警戒心でいっぱいなのに行き先がホテルで、今回ばかりは由功の言葉が身に染みた。
そうして美綾は最上階のフレンチレストランの個室にいた。
後ろにひかれた椅子を見て、美綾は急いで腰をおろす。タイミングがうまくつかめなかったような気がするが、相手は慣れたものだ。
「お飲み物はいかがいたしましょう?」
「車だから今日はアルコールはやめておく。彼女にはなにかジュースを」
「かしこまりました。苦手な食材やアレルギーなどはございますか?」
後半は美綾に直接聞かれた問いだったようで、美綾は「大丈夫です。ありません」と答えた。
ホテルのフレンチだからそこまでドレスコードは厳しくないだろうし、幸い美綾はワンピースにカーディガンというシンプルな装いだった。個室なので人の目も気にせずに済むが、高校生を連れてくる場所ではないと思う。
扉が閉められ二人きりになる。
部屋はこじんまりしているものの、重厚感漂う雰囲気だ。なにより室内を照らす明かりが、テーブルや壁に置かれたいくつかのキャンドルだけなのだ。
炎が小さく揺らぐたびに、重なる影も揺らめく。じっと美綾を見つめる郡司の眼差しも男としての色を隠さない。大人の男が出すどこか艶めいたものが美綾を奇妙な緊張に包んだ。
「美綾、来い」
郡司は席を立つと窓に近づいた。この男はいつのまにか美綾の下の名前を平気で呼んでいる。そして従うのが当然とでも言うように命じてくる。美綾はおずおずと立ち上がって、少し離れて窓辺に立った。
遮るもののないキラキラした夜景が眼下に広がっていて、美綾は思わず感嘆のため息をついた。
「すごい、綺麗」
「ああ、綺麗だろう」
ひとつひとつはただの明かりでしかないのに、こうして集まると華やかな景色をつくりあげる。夜の闇に広がる光の海が遠くまで繋がっているように見えた。
「おまえに見せたかった」
しみじみと心から告げた静かな声音に美綾は郡司を見た。夜景を眺めていた横顔は、彫刻のように整っているのに悲しみに満ちている。
「おまえにこれを見せたかっただけだ。だからあまり警戒するな」
そんなことを言われても、と美綾は思う。郡司はやるせなさそうに困ったように笑みを浮かべる。年上の大人の男性なのにこういう表情は少し胸がくすぐられた。
だったら素直に夜景を見せたいだけだと言えばいいのにと思った。でもきっとそれでは自分は素直に応じたりはしなかったから、こういうやり方しかなかったのかもしれない。
「こんな綺麗な夜景初めて見ました」
「これからいくらだって見せてやるぞ」
遊園地といい夜景といい、彼は本当になにをしたいのだろうか。どうしてここまで構うのだろうか。
「でもお腹が空いているので、お食事したいです」
この雰囲気を壊したくて美綾はあえてそう言った。
料理はどれもおいしかった。フレンチなんてキャビアやフォアグラみたいな馴染みのない食材を使う料理のイメージだった。でも、お野菜もふんだんに使われていて、なおかつ一つ一つのポーションが芸術品みたいにかわいらしい。
ソースの味も濃くなくて、美綾は最初の警戒心が嘘のように楽しんで食べることができた。
不思議な人だなと思う。
怖くてたまらなくて、もう二度と関わりたくないと思うほど憤りを感じていたのに、こんなに短期間で印象をどんどん覆していく。
人目をひくほどの見た目で強烈な存在感があって、近寄りがたい雰囲気もあるのに、美綾にはそれを感じさせないようにしている。
由功や貴影も同じ高校生の中では独特な存在だ。それでもやはり年齢を重ねている分の余裕のようなものが郡司にはある。
最後のデザートとお茶が運ばれたタイミングで美綾は切り出した。
「私のこと調べたんですか?」
「調べるだろう、普通。時任の叔父がどうしておまえを慧に紹介したいほど気に入ったのか知りたかった。でもあの人は純粋におまえ自身を気に入ったようだ。『SSC』はいい人材が揃っている。可能性を広げてやりたい。才能を伸ばしたい。そう思わせるらしいぞ」
評価されるのは嬉しかった。そんな風にあたたかい視点で見てもらえると、ありがたいと思う。
「だからあの人は知らない。おまえの昔の名前が神前美綾で神前の令嬢だなんてことは」
その名前を聞いたのは久しぶりだった。神前の名前は由功でさえ知らないことだ。そう簡単に調べられるものでもない。
「今は、神前とは関係ありません。神前との取引を考えていて私を利用しようと思っているならそれは間違いです。今は完全に関係が切れていますから、私にはなんの力もありませんよ」
神前とは複雑な事情がからみあっている。神前の駒になるわけにはいかない。そうでなければ、なんのために両親の離婚を承諾したかわからなくなる。
けれどそれを調べあげたのだから、やはり目の前の男は優秀な『青桜』の御曹司なのだろう。
「私に近づくのはそのためですか? だったら――」
「違う! そういうつもりで調べたわけじゃない。オレも別に神前とどうこうしようなんて考えてない。ただおまえのことを知りたかっただけだ」
郡司は慌てたように言葉を続ける。
「おまえが嫌なら今後一切口にしない。誰にも言うつもりもない。九条美綾として――一人の女の子として見る。本当だ」
彼はなんの後ろめたさもないのだと証明するように美綾の目をじっと見て、もう一度強く言った。
「約束する」
力がある、と思った。
この人の言葉には、人を納得させ信じさせる力がある。たった一言断言するだけで信用させる力があるのは、人の上に立つものとして必要なことだ。
由功や貴影たちを身近で見ているとそういことが見えてくる。
だから郡司に対して嫌悪や警戒心を抱き続けることができないのだ。誘いを拒めないのだ。
そして結果的に美綾は、郡司と連絡先を交換することになったのだった。
美綾は社員証をかざしてビルを出た。他のフロアには明かりがまだついている。二十一時以降は届け出を出せば、二十二時まで一時間だけ延長が可能となっている。だから残っているチームもあるのだろう。
高校生が主体だからこそ、風紀の乱れはいっそう社会から厳しく見られる。今は夏休み中ということもあって、どうしても気分が開放的になる。
よっていつも以上に取り締まりは厳しい。
各イベントのチーフが最終責任を負い、不在の場合は代理をたて、時間内のカギの返却を義務付けているのだ。最後は警備員が巡回して注意をするが、最終的に由功がチェックをすることも多かった。
今日は司が貴影の代わりに最終チェックを行う。基本的に女の子は先に帰す事になっており、美綾も気にはなりながらも帰ることにした。
『SSC』のビルは大通りに面している。カフェも含めて周辺の店は閉まっているけれど、この時間帯でも人通りは多く、車も行き交う。駅までの道も明るい。それに塾帰りの中高生より帰宅時間は早い。
由功はそれでもできるだけ一人で帰るなと過保護なので、いつもは真夏と一緒に出るのだが、今日は急用ができたとかで急いで帰ってしまった。
軽くクラクションの音が響いて、何気なくそちらに目をやる。見覚えのある車がすぐさま横づけされて美綾は駆け寄った。運転席の窓が開く。
「ようやくご帰宅か? こんな時間まで仕事なんて就業規則はどうなっている?」
郡司の言葉に美綾はなにも言い返せない。バイトスタッフはそのあたりも守らせるが、社員は個々の契約によるところが大きい。夏休み中で変則的なため追及されると困る部分ではある。
「こんばんは。お久しぶりです。今日はどうされたんですか?」
「連絡しろって言ったのに、一度もこないから直接会いに来た」
美綾はどう答えていいかわからずに曖昧にほほ笑んだ。
郡司には確かに個人の連絡先が書かれてある名刺を渡された。けれどそれはあの日のうちに由功の手によって破られた。そして頼むから、青山郡司と個人的には関わるなとも言われたのだ。その時に郡司の女癖の悪さを懇々と説明された。
本当は美綾としてはせめて、遊園地でかかった費用を支払いたかった。けれど由功には必要ないと一蹴された。手首を傷つけられた詫びだと思えと言われて。
「先日はありがとうございました。あの遊園地でかかった費用ですが」
「は? だからそれは必要ないって言っただろう」
この際だと思ったのに断られて、美綾は「では、ありがとうございました」と再度お礼を言うことでこの件は終わりにしようと思った。
「それより食事にでも行こう。どうせまだだろう? 費用気にするぐらいなら食事に付き合え」
「それは……」
さすがにそれはできない。
「今週から正式に配属された。だから今日のうちとの打ち合わせも見させてもらった。面白かったぞ」
貴影からはとりあえず打ち合わせが終わったことだけは報告を受けていた。結果は後日だったはずだ。
「うちの結論、聞きたくないか?」
郡司はどうもあの手この手でこちらの気を引いて食事につきあわせたいようだ。あれだけ美綾のことを軽蔑した眼差しで見ていたのに、どこで心境が変わったのか。けれどそれはお互い様かもしれない。
遊園地の件で美綾の警戒心もだいぶ薄れている。
「もう結果が出たんですか?」
「乗れよ。食事に付き合うなら教えてやる」
「……いえ、結果はみんなと一緒にお聞きします」
「ふーん。簡単に男の車に乗らなくなったのは褒めてやる」
美綾はあえてにっこり笑って
「ありがとうございます。では失礼します」
と帰ろうとした。
その時郡司の小さな呟きが美綾の耳に届く。
美綾は驚いて郡司を振り返った。
「美綾、乗れ」
美綾には彼の言う通りにするしかなかった。
***
郡司に連れてこられたのはよりによって『青桜』本社ビルそばのホテルだった。すでに警戒心でいっぱいなのに行き先がホテルで、今回ばかりは由功の言葉が身に染みた。
そうして美綾は最上階のフレンチレストランの個室にいた。
後ろにひかれた椅子を見て、美綾は急いで腰をおろす。タイミングがうまくつかめなかったような気がするが、相手は慣れたものだ。
「お飲み物はいかがいたしましょう?」
「車だから今日はアルコールはやめておく。彼女にはなにかジュースを」
「かしこまりました。苦手な食材やアレルギーなどはございますか?」
後半は美綾に直接聞かれた問いだったようで、美綾は「大丈夫です。ありません」と答えた。
ホテルのフレンチだからそこまでドレスコードは厳しくないだろうし、幸い美綾はワンピースにカーディガンというシンプルな装いだった。個室なので人の目も気にせずに済むが、高校生を連れてくる場所ではないと思う。
扉が閉められ二人きりになる。
部屋はこじんまりしているものの、重厚感漂う雰囲気だ。なにより室内を照らす明かりが、テーブルや壁に置かれたいくつかのキャンドルだけなのだ。
炎が小さく揺らぐたびに、重なる影も揺らめく。じっと美綾を見つめる郡司の眼差しも男としての色を隠さない。大人の男が出すどこか艶めいたものが美綾を奇妙な緊張に包んだ。
「美綾、来い」
郡司は席を立つと窓に近づいた。この男はいつのまにか美綾の下の名前を平気で呼んでいる。そして従うのが当然とでも言うように命じてくる。美綾はおずおずと立ち上がって、少し離れて窓辺に立った。
遮るもののないキラキラした夜景が眼下に広がっていて、美綾は思わず感嘆のため息をついた。
「すごい、綺麗」
「ああ、綺麗だろう」
ひとつひとつはただの明かりでしかないのに、こうして集まると華やかな景色をつくりあげる。夜の闇に広がる光の海が遠くまで繋がっているように見えた。
「おまえに見せたかった」
しみじみと心から告げた静かな声音に美綾は郡司を見た。夜景を眺めていた横顔は、彫刻のように整っているのに悲しみに満ちている。
「おまえにこれを見せたかっただけだ。だからあまり警戒するな」
そんなことを言われても、と美綾は思う。郡司はやるせなさそうに困ったように笑みを浮かべる。年上の大人の男性なのにこういう表情は少し胸がくすぐられた。
だったら素直に夜景を見せたいだけだと言えばいいのにと思った。でもきっとそれでは自分は素直に応じたりはしなかったから、こういうやり方しかなかったのかもしれない。
「こんな綺麗な夜景初めて見ました」
「これからいくらだって見せてやるぞ」
遊園地といい夜景といい、彼は本当になにをしたいのだろうか。どうしてここまで構うのだろうか。
「でもお腹が空いているので、お食事したいです」
この雰囲気を壊したくて美綾はあえてそう言った。
料理はどれもおいしかった。フレンチなんてキャビアやフォアグラみたいな馴染みのない食材を使う料理のイメージだった。でも、お野菜もふんだんに使われていて、なおかつ一つ一つのポーションが芸術品みたいにかわいらしい。
ソースの味も濃くなくて、美綾は最初の警戒心が嘘のように楽しんで食べることができた。
不思議な人だなと思う。
怖くてたまらなくて、もう二度と関わりたくないと思うほど憤りを感じていたのに、こんなに短期間で印象をどんどん覆していく。
人目をひくほどの見た目で強烈な存在感があって、近寄りがたい雰囲気もあるのに、美綾にはそれを感じさせないようにしている。
由功や貴影も同じ高校生の中では独特な存在だ。それでもやはり年齢を重ねている分の余裕のようなものが郡司にはある。
最後のデザートとお茶が運ばれたタイミングで美綾は切り出した。
「私のこと調べたんですか?」
「調べるだろう、普通。時任の叔父がどうしておまえを慧に紹介したいほど気に入ったのか知りたかった。でもあの人は純粋におまえ自身を気に入ったようだ。『SSC』はいい人材が揃っている。可能性を広げてやりたい。才能を伸ばしたい。そう思わせるらしいぞ」
評価されるのは嬉しかった。そんな風にあたたかい視点で見てもらえると、ありがたいと思う。
「だからあの人は知らない。おまえの昔の名前が神前美綾で神前の令嬢だなんてことは」
その名前を聞いたのは久しぶりだった。神前の名前は由功でさえ知らないことだ。そう簡単に調べられるものでもない。
「今は、神前とは関係ありません。神前との取引を考えていて私を利用しようと思っているならそれは間違いです。今は完全に関係が切れていますから、私にはなんの力もありませんよ」
神前とは複雑な事情がからみあっている。神前の駒になるわけにはいかない。そうでなければ、なんのために両親の離婚を承諾したかわからなくなる。
けれどそれを調べあげたのだから、やはり目の前の男は優秀な『青桜』の御曹司なのだろう。
「私に近づくのはそのためですか? だったら――」
「違う! そういうつもりで調べたわけじゃない。オレも別に神前とどうこうしようなんて考えてない。ただおまえのことを知りたかっただけだ」
郡司は慌てたように言葉を続ける。
「おまえが嫌なら今後一切口にしない。誰にも言うつもりもない。九条美綾として――一人の女の子として見る。本当だ」
彼はなんの後ろめたさもないのだと証明するように美綾の目をじっと見て、もう一度強く言った。
「約束する」
力がある、と思った。
この人の言葉には、人を納得させ信じさせる力がある。たった一言断言するだけで信用させる力があるのは、人の上に立つものとして必要なことだ。
由功や貴影たちを身近で見ているとそういことが見えてくる。
だから郡司に対して嫌悪や警戒心を抱き続けることができないのだ。誘いを拒めないのだ。
そして結果的に美綾は、郡司と連絡先を交換することになったのだった。
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