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エデンの王子様
朝だから※
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レオンが目を覚ますと、いつもの様にジェラルドの力強い腕に包まれていた。その腕をどけようと、よいしょと軽く身を動かした所で、再び捕まえられ、腕の中に引き戻されてしまう。放してくれる気配はなく、不埒な行為をするつもりのようだ。ジェラルドの熱い息がレオンの首筋に掛かった。昨夜はずっと交わり合っていたので、元々互いに裸でいる。
ジェラルドの手はレオンの胸を弄り、その刺激で立ち上がった尖りを指先で捕まえてもみほぐしていく。彼によって官能に躾けられた身体は、発情期でなくても快さを感じ、レオンを困らせるから厄介だ。敏感な部分を執拗に攻められれば、身体中が熱を帯びてきて、どうしようもない状態になりブルリと震えた。
「ジェ、ラルド……」
「勃っているな」
「朝だから」
ジェラルドの指がレオンの屹立をスルリと撫でれば、滴る蜜によって彼の指先が滑る感覚が伝わってくる。レオンは単なる朝立ちではなく、興奮して濡らしているのだ。恥ずかしさに顔を赤らめていると、ジェラルドが耳元で囁いた。
「――舐めてもいいか?」
レオンはジェラルドの言葉に呆然とし、動けないでいると、そのまま彼はレオンの下半身に唇を寄せてきた。彼の熱い口内に自身のさほど大きくない雄芯が含まれる。他人の口が敏感な部分に触れるという状況にレオンは逃げ出したい衝動に駆られるものの、腰をしっかりと掴まれていて動けない。
ジェラルドは全体を味わうように舐め回し、丁寧にレオンの先端を露出させてから、じっくりと舌で舐め上げた。器用に動く舌が這いまわる感覚は、指で触れられるのとは全く違う。彼の荒い息が下生えを撫でるように吐き出されるのも、くすぐったく、そして羞恥を煽った。
レオンはまだ、ジェラルドのものを口で愛したことが無い。アルファのものは大きく立派で、節くれた血管が浮き出ているのが恐ろしく感じるのだ。そしてその部分からはフェロモンの香りが強く漂っていて、近くで嗅いでしまったら自分がおかしくなってしまうのではないかと不安になってしまう。
ジェラルドはレオンの芯だけではなく、その下の陰部にも舌を這わせた。後孔はそれまでの愛撫で自然に濡れており、ジェラルドはそれも丁寧に舐めとっていく。
「っ……じぇらるど、舌……」
ジェラルドは舌を丸めるようにして後孔に差し込み、入り口を丁寧にほぐしている。抱かれない日はないし、さらには昨夜だって何度も開かれているので、指ではなく、舌のように柔らかい部分でも簡単に開いてしまう。発情期でなくとも雄を受け入れる身体に変わったのだ、ということを教えられてしまった。
ぴちゃり、くちゅり、と鳴る水音はその部分が溶けるほど蜜を溢れさせているということだ。
レオンはあまり濡れない。いや、濡れなかった。発情期の来ないオメガとしてはそれが普通だと思っていたし、だからこそ、潤滑剤が必要だと思っていた。しかし日々丁寧に愛撫され、何度も結ばれるうちに、身体は〝交わり〟の快感を覚えてしまった。
それからというものの、ただキスをしたり抱き合ったりするだけでも快感を思い出し、後孔からはたくさんの蜜が溢れ出すようになってしまったのだ。
レオンの身体の変化をジェラルドは喜んでくれたが、まさか口で直接触れるとは。嫌ではなかっただろうか……と彼の様子を恐る恐る見るも、むしろ愉悦に頬を染めた彼の表情を捕らえてしまい、胸が跳ねる。
「可愛いな、ドロドロだ」
「ど、して……舐め……て」
「ずっと……そうしたかったから」
ジェラルドはレオンの脚を開き、彼自身の性器を入り口に宛がった。柔らかくなった部分に硬い先端が触れると、最終的には気持ちよくなると分かっているのに、いつも恐ろしさに震えてしまう。それは発情していなくても分かる、圧倒的なアルファの支配に対する怯えだろうか。バターに焼けたナイフを刺し込むように易々と、ジェラルドの性器は内部に潜り込んでいく。先端のみを入れて浅く突き刺し、そして腰を引く。柔らかくなった蕾を揺さぶられると、肉が捲れ上がってしまうのではないかと怖くなって、レオンは嫌々をするように首を振った。
「ジェラルド、いやだ……こわれる……っ」
「壊れない。ふふ、腰を引くと、レオンが離したくないと引き留めてきて……愛しいな」
ジェラルドは浅い部分を甚振るように愛して、溶かした。それでもレオンは深い部分の快感を知っているからそこを刺激されたくなり、もじもじと体をくねらせる。奥を突かれるのは最初は痛くて、苦しくて、彼のことが好きでなければ耐えられなかっただろう。それでも最近は慣れてきて、その部分で達する事も出来るようになってきたのだ。
「おく、に……」
「欲しいか?」
「うん……」
了承した瞬間、ジェラルドの杭は膨張して熱を持った。隘路を限界まで広げ、奥へ、奥へと侵入してくる。彼の根元の部分は太い。その圧倒的な質量を支える部分を受け入れたとき、無意識にジェラルドのものを締め付けてしまった。裂けるのではないか、と思うほど広げられるのが恐ろしくて、縮めようとしてしまうのだ。ジェラルドは痛むのか、苦しげに眉根を寄せた。
ジェラルドのものが全て入りきった所で、彼は動きを止めて、前傾し、レオンの頬に手を当てた。彼はじっとレオンの瞳を見つめ、それから少しだけ悲しげに微笑んだ。
なぜジェラルドがそのような表情をするのか、レオンは思わず腕を伸ばし、彼の頭を抱きしめた。
「ジェラルド……」
「……愛している」
ジェラルドはレオンの首筋に顔を埋めて、深く呼吸をする。その息遣いだけで愛おしいという感情が伝わって来るようだった。言葉よりも、はるかに雄弁に。彼はしばらくそうしていたが、やがてゆっくり上体を起こし、レオンの腰を掴みなおした。
「あ……」
すっかり馴染んだそこは、抽挿を自然に受け入れた。散々虐められて快感しか生まれなくなった浅い部分も、期待し、疼いて仕方のなかった奥の部分も、擦られ、打ちつけられる。最初は緩やかに、次第に激しく。ゆさゆさと揺さぶられれば、寂しげな様子の彼への引っ掛かりは散り散りに消えて、快感の刺激に耐えるしかなくなってしまう。
「あ、あ、はげし、い」
レオンが声を上げても、ジェラルドは彼の言葉に応えず、ますます激しく突き上げてくる。興奮しているのだろうか、アルファの、雄の匂いが濃くなって、レオンは五感すべてを支配されるようでクラクラしてしまう。ジェラルドがレオンの匂いを好むのと同じく、レオンも彼の匂いが好きだ。フェロモンは勿論、交接の際に感じる、生々しい匂いも。
(で、も)
レオンは奥で達せられるが、それは最近覚えたことだ 。優しく奥をノックされるような刺激が好きで、それ以上はまだ苦しい。ジェラルドはここ数日、最奥をまるでその先に進むように突き上げるようになってきた。そこが行き止まりで、腹の中が持ち上げられるようにされるのは痛いと言っても止めてくれない。以前はレオンが嫌がれば、延々と刺激することは無かったのに。
「う、ぐっ……」
あのリックの復讐劇以降だ。
ジェラルドはレオンを求める感情に遠慮がなくなった気がする。以前は朝にイチャイチャする事はあっても、こんな濃厚な交わりを求めることは無かった。そもそも、最初はこちらが心配になるほど性欲を見せなかったのに。
そして、ジェラルドの切っ先が、レオンを割り開いた。
「いっ――~~‼」
レオンは喉を反らして、声にならない悲鳴を上げた。
執拗に突き上げられるうちに、腹の奥の深い部分が解けて開いた……としかいえない。ジェラルドの性器の先端が、レオンの未知の領域に潜り込んでいた。
「ひっ、う、あああああっ……!」
「ああ、入ってしまった」
ジェラルドはうっとりとした笑みを浮かべ、レオンの腹をそっと撫でた。
「ずっと、ここに入りたかった。貴方の、一番奥に」
「くるしい、こわい……じぇら……」
「発情期ではなく、貴方が貴方であるときに、初めてを貰いたかった」
ジェラルドはレオンの途切れ途切れの言葉に気づかず、そのまま膝裏を抱え上げ、腰を密着させた。彼は上から押し込むようにして腰を小刻みに動かし、食い込んだ奥の入り口を揺するように刺激していく。
「あ、ぐっ、う、ううっ……」
「すごいな。吸いつくようだ。貴方の奥が、私を離さない」
レオンは何度も最奥に存在する秘部を突かれて、身悶えながら喘いだ。肉が煮えるように熱い、熱い。こんなのは知らない。怖い。苦しいはずなのに、頭がおかしくなりそうなくらいに感じてしまう。
この身体は、アルファのものを受け入れて悦んでいるのだ。発情期が訪れないくせに、オメガとしての官能だけが、すっかり育ってしまっている。
レオンは、自分の身体の変化についていけずに、ボロボロと涙をこぼす。するとジェラルドは、動きを止めて前傾し、レオンの涙を唇で優しく拭ってくれた。
「すまない……。欲しいままに勝手をしてしまった」
「じぇらるど……」
「嫌、だったか?」
ジェラルドは不安げに訊ねてくる。レオンは胸が痛くなり、ふるりと頭を振って否定した。違うのだ。ただ、身体が自分のものではないみたいになって、どうしたらいいのかわからない。
泣き止むまで待ってくれていたジェラルドだったが、レオンが落ち着いたところで再び律動を始める。結局その後、レオンは何度果てたか分からなくなった。
◇◇◇
あの復讐劇から一カ月が経ち、モーリスから、ようやくリックが目を覚ましたと連絡があった。そのため、今日はこれから彼の見舞いにモーリス邸に向かうのだ。
事件の後処理に関して、今日まとめて説明すると言われていたので、レオンは早く向かいたいと思っていたが、もう昼すぎになってしまった。
レオンとジェラルドは身体を清めて、その後外出着に着替えた。薄手のシャツから彼に着けられた執着の痕が覗かないかヒヤヒヤしつつ、レオンは鏡を使って全身を確認する。
着替えを手伝ってくれたノアは「大丈夫です」と投げやりに言っていたので信用ならない。彼は主人が寵愛を受けて、ヒィヒィと泣かされている状態を、喜ばしいと思うと同時に〝砂を吐きそう〟と辟易している。
「休暇を取ったからといって、朝からここまでしなくてもいいだろう」
「リックの所に行くのだから、それ位はしておきたい」
レオンははぁ、とため息をつく。ジェラルドも休暇を取って同行するというのに、何の心配があるのか執拗にマーキングされてしまった。
「リックは幼馴染みだから、そういうのではないんだが……」
「……」
ジェラルドは目を細めて、こちらを睨んでいる。目つきの悪い彼がそうすると、本当に怖い。レオンは耐えられず、恐る恐る視線を逸らした。
「リックにはモーリス卿がいるだろう」
「モーリスと彼は番になっているが、それだけだ」
ジェラルドは間髪入れずに切り捨てた。
(リックは無自覚であっても、モーリス卿に対し、情はあると思うんだが)
レオンはそう思いつつ鏡で観察し、発見した顎下の見つけづらい位置につけられたキスマークに、『治癒』を掛けた。
ジェラルドの手はレオンの胸を弄り、その刺激で立ち上がった尖りを指先で捕まえてもみほぐしていく。彼によって官能に躾けられた身体は、発情期でなくても快さを感じ、レオンを困らせるから厄介だ。敏感な部分を執拗に攻められれば、身体中が熱を帯びてきて、どうしようもない状態になりブルリと震えた。
「ジェ、ラルド……」
「勃っているな」
「朝だから」
ジェラルドの指がレオンの屹立をスルリと撫でれば、滴る蜜によって彼の指先が滑る感覚が伝わってくる。レオンは単なる朝立ちではなく、興奮して濡らしているのだ。恥ずかしさに顔を赤らめていると、ジェラルドが耳元で囁いた。
「――舐めてもいいか?」
レオンはジェラルドの言葉に呆然とし、動けないでいると、そのまま彼はレオンの下半身に唇を寄せてきた。彼の熱い口内に自身のさほど大きくない雄芯が含まれる。他人の口が敏感な部分に触れるという状況にレオンは逃げ出したい衝動に駆られるものの、腰をしっかりと掴まれていて動けない。
ジェラルドは全体を味わうように舐め回し、丁寧にレオンの先端を露出させてから、じっくりと舌で舐め上げた。器用に動く舌が這いまわる感覚は、指で触れられるのとは全く違う。彼の荒い息が下生えを撫でるように吐き出されるのも、くすぐったく、そして羞恥を煽った。
レオンはまだ、ジェラルドのものを口で愛したことが無い。アルファのものは大きく立派で、節くれた血管が浮き出ているのが恐ろしく感じるのだ。そしてその部分からはフェロモンの香りが強く漂っていて、近くで嗅いでしまったら自分がおかしくなってしまうのではないかと不安になってしまう。
ジェラルドはレオンの芯だけではなく、その下の陰部にも舌を這わせた。後孔はそれまでの愛撫で自然に濡れており、ジェラルドはそれも丁寧に舐めとっていく。
「っ……じぇらるど、舌……」
ジェラルドは舌を丸めるようにして後孔に差し込み、入り口を丁寧にほぐしている。抱かれない日はないし、さらには昨夜だって何度も開かれているので、指ではなく、舌のように柔らかい部分でも簡単に開いてしまう。発情期でなくとも雄を受け入れる身体に変わったのだ、ということを教えられてしまった。
ぴちゃり、くちゅり、と鳴る水音はその部分が溶けるほど蜜を溢れさせているということだ。
レオンはあまり濡れない。いや、濡れなかった。発情期の来ないオメガとしてはそれが普通だと思っていたし、だからこそ、潤滑剤が必要だと思っていた。しかし日々丁寧に愛撫され、何度も結ばれるうちに、身体は〝交わり〟の快感を覚えてしまった。
それからというものの、ただキスをしたり抱き合ったりするだけでも快感を思い出し、後孔からはたくさんの蜜が溢れ出すようになってしまったのだ。
レオンの身体の変化をジェラルドは喜んでくれたが、まさか口で直接触れるとは。嫌ではなかっただろうか……と彼の様子を恐る恐る見るも、むしろ愉悦に頬を染めた彼の表情を捕らえてしまい、胸が跳ねる。
「可愛いな、ドロドロだ」
「ど、して……舐め……て」
「ずっと……そうしたかったから」
ジェラルドはレオンの脚を開き、彼自身の性器を入り口に宛がった。柔らかくなった部分に硬い先端が触れると、最終的には気持ちよくなると分かっているのに、いつも恐ろしさに震えてしまう。それは発情していなくても分かる、圧倒的なアルファの支配に対する怯えだろうか。バターに焼けたナイフを刺し込むように易々と、ジェラルドの性器は内部に潜り込んでいく。先端のみを入れて浅く突き刺し、そして腰を引く。柔らかくなった蕾を揺さぶられると、肉が捲れ上がってしまうのではないかと怖くなって、レオンは嫌々をするように首を振った。
「ジェラルド、いやだ……こわれる……っ」
「壊れない。ふふ、腰を引くと、レオンが離したくないと引き留めてきて……愛しいな」
ジェラルドは浅い部分を甚振るように愛して、溶かした。それでもレオンは深い部分の快感を知っているからそこを刺激されたくなり、もじもじと体をくねらせる。奥を突かれるのは最初は痛くて、苦しくて、彼のことが好きでなければ耐えられなかっただろう。それでも最近は慣れてきて、その部分で達する事も出来るようになってきたのだ。
「おく、に……」
「欲しいか?」
「うん……」
了承した瞬間、ジェラルドの杭は膨張して熱を持った。隘路を限界まで広げ、奥へ、奥へと侵入してくる。彼の根元の部分は太い。その圧倒的な質量を支える部分を受け入れたとき、無意識にジェラルドのものを締め付けてしまった。裂けるのではないか、と思うほど広げられるのが恐ろしくて、縮めようとしてしまうのだ。ジェラルドは痛むのか、苦しげに眉根を寄せた。
ジェラルドのものが全て入りきった所で、彼は動きを止めて、前傾し、レオンの頬に手を当てた。彼はじっとレオンの瞳を見つめ、それから少しだけ悲しげに微笑んだ。
なぜジェラルドがそのような表情をするのか、レオンは思わず腕を伸ばし、彼の頭を抱きしめた。
「ジェラルド……」
「……愛している」
ジェラルドはレオンの首筋に顔を埋めて、深く呼吸をする。その息遣いだけで愛おしいという感情が伝わって来るようだった。言葉よりも、はるかに雄弁に。彼はしばらくそうしていたが、やがてゆっくり上体を起こし、レオンの腰を掴みなおした。
「あ……」
すっかり馴染んだそこは、抽挿を自然に受け入れた。散々虐められて快感しか生まれなくなった浅い部分も、期待し、疼いて仕方のなかった奥の部分も、擦られ、打ちつけられる。最初は緩やかに、次第に激しく。ゆさゆさと揺さぶられれば、寂しげな様子の彼への引っ掛かりは散り散りに消えて、快感の刺激に耐えるしかなくなってしまう。
「あ、あ、はげし、い」
レオンが声を上げても、ジェラルドは彼の言葉に応えず、ますます激しく突き上げてくる。興奮しているのだろうか、アルファの、雄の匂いが濃くなって、レオンは五感すべてを支配されるようでクラクラしてしまう。ジェラルドがレオンの匂いを好むのと同じく、レオンも彼の匂いが好きだ。フェロモンは勿論、交接の際に感じる、生々しい匂いも。
(で、も)
レオンは奥で達せられるが、それは最近覚えたことだ 。優しく奥をノックされるような刺激が好きで、それ以上はまだ苦しい。ジェラルドはここ数日、最奥をまるでその先に進むように突き上げるようになってきた。そこが行き止まりで、腹の中が持ち上げられるようにされるのは痛いと言っても止めてくれない。以前はレオンが嫌がれば、延々と刺激することは無かったのに。
「う、ぐっ……」
あのリックの復讐劇以降だ。
ジェラルドはレオンを求める感情に遠慮がなくなった気がする。以前は朝にイチャイチャする事はあっても、こんな濃厚な交わりを求めることは無かった。そもそも、最初はこちらが心配になるほど性欲を見せなかったのに。
そして、ジェラルドの切っ先が、レオンを割り開いた。
「いっ――~~‼」
レオンは喉を反らして、声にならない悲鳴を上げた。
執拗に突き上げられるうちに、腹の奥の深い部分が解けて開いた……としかいえない。ジェラルドの性器の先端が、レオンの未知の領域に潜り込んでいた。
「ひっ、う、あああああっ……!」
「ああ、入ってしまった」
ジェラルドはうっとりとした笑みを浮かべ、レオンの腹をそっと撫でた。
「ずっと、ここに入りたかった。貴方の、一番奥に」
「くるしい、こわい……じぇら……」
「発情期ではなく、貴方が貴方であるときに、初めてを貰いたかった」
ジェラルドはレオンの途切れ途切れの言葉に気づかず、そのまま膝裏を抱え上げ、腰を密着させた。彼は上から押し込むようにして腰を小刻みに動かし、食い込んだ奥の入り口を揺するように刺激していく。
「あ、ぐっ、う、ううっ……」
「すごいな。吸いつくようだ。貴方の奥が、私を離さない」
レオンは何度も最奥に存在する秘部を突かれて、身悶えながら喘いだ。肉が煮えるように熱い、熱い。こんなのは知らない。怖い。苦しいはずなのに、頭がおかしくなりそうなくらいに感じてしまう。
この身体は、アルファのものを受け入れて悦んでいるのだ。発情期が訪れないくせに、オメガとしての官能だけが、すっかり育ってしまっている。
レオンは、自分の身体の変化についていけずに、ボロボロと涙をこぼす。するとジェラルドは、動きを止めて前傾し、レオンの涙を唇で優しく拭ってくれた。
「すまない……。欲しいままに勝手をしてしまった」
「じぇらるど……」
「嫌、だったか?」
ジェラルドは不安げに訊ねてくる。レオンは胸が痛くなり、ふるりと頭を振って否定した。違うのだ。ただ、身体が自分のものではないみたいになって、どうしたらいいのかわからない。
泣き止むまで待ってくれていたジェラルドだったが、レオンが落ち着いたところで再び律動を始める。結局その後、レオンは何度果てたか分からなくなった。
◇◇◇
あの復讐劇から一カ月が経ち、モーリスから、ようやくリックが目を覚ましたと連絡があった。そのため、今日はこれから彼の見舞いにモーリス邸に向かうのだ。
事件の後処理に関して、今日まとめて説明すると言われていたので、レオンは早く向かいたいと思っていたが、もう昼すぎになってしまった。
レオンとジェラルドは身体を清めて、その後外出着に着替えた。薄手のシャツから彼に着けられた執着の痕が覗かないかヒヤヒヤしつつ、レオンは鏡を使って全身を確認する。
着替えを手伝ってくれたノアは「大丈夫です」と投げやりに言っていたので信用ならない。彼は主人が寵愛を受けて、ヒィヒィと泣かされている状態を、喜ばしいと思うと同時に〝砂を吐きそう〟と辟易している。
「休暇を取ったからといって、朝からここまでしなくてもいいだろう」
「リックの所に行くのだから、それ位はしておきたい」
レオンははぁ、とため息をつく。ジェラルドも休暇を取って同行するというのに、何の心配があるのか執拗にマーキングされてしまった。
「リックは幼馴染みだから、そういうのではないんだが……」
「……」
ジェラルドは目を細めて、こちらを睨んでいる。目つきの悪い彼がそうすると、本当に怖い。レオンは耐えられず、恐る恐る視線を逸らした。
「リックにはモーリス卿がいるだろう」
「モーリスと彼は番になっているが、それだけだ」
ジェラルドは間髪入れずに切り捨てた。
(リックは無自覚であっても、モーリス卿に対し、情はあると思うんだが)
レオンはそう思いつつ鏡で観察し、発見した顎下の見つけづらい位置につけられたキスマークに、『治癒』を掛けた。
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