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第404話 最終局面
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『ウガァァァ!!ガァァ!!!』
バーサーカーの搭乗したエヴォルヴがエラー物質の化け物を殴り、蹴り飛ばした。他の使い魔達ではピースのFF無効が効いていない限りまともに攻撃することも難しい。その様子を地上からポチとガーディアン、そしてピースが眺めている。
『……理想的だ…』
『悔しいけど全くもって同感だね。単騎でまともにあれとやりあえている。夢のような話だよ。』
ガーディアンの発した言葉に同意するポチ。今のバーサーカーの姿は使い魔達にとっての理想そのものだ。使い魔達は単騎ではまだまだ弱い。それを数で補っているからこそ強敵とも渡り合える。しかし今のバーサーカーは単騎であんな化け物とまともにやりあっているのだ。
群で戦う使い魔達はたった1人で戦局を変えるような強大な力に憧れる。しかしエヴォルヴの機体では限界があると考えていた。しかしその限界をいともたやすく超えて見せた。そしてその力は…他の使い魔達も得ることができる。
『隅から隅まで記録するよ。このデータを元に僕たちも賢者の石を用いて機体を強化する。そうすれば…あそこにいるのはバーサーカーではなく、僕たちになれる。』
『あ、あの…それも良いけど、あのままじゃ決着がつかないというか…バーサーカー負けちゃうよ?』
ピースの言う通りバーサーカーはむやみやたらに殴りまくっているだけだ。高い再生能力を持つこのエラー物質の化け物には効果がない。やるのならば核となる部分を徹底的に狙わないといけない。
しかし核を破壊すれば取り込まれているラルドの身にも危険が及ぶ。何か手立てがあるとすればこういった人体改造に詳しそうなヴァルドールに任せることだ。しかしヴァルドールを動かすためには洗脳電波を止めなくてはならない。
しかしその洗脳電波を止めるためにはこのエラー物質の化け物を破壊しないといけない。もう手立てがない。そう思った時にポチが一つのことを思い出した。
『ラルドは複数の魔道具に繋げられていた…その魔道具の能力をこの化け物は持っていない。今もきっとどこかで魔道具につながっているはずだ。その魔道具を破壊すれば洗脳電波が止まる可能性がある!バーサーカー下だ!魔道具は地面に固定されていた!地面近くにある可能性がある!!』
大声で指示を出すポチだが、あそこまで荒れ狂っているバーサーカーは一度も周囲の声を聞いて動いたことがない。もちろん今回も例外ではなくポチの指示など耳に入らずそのまま暴れ続けた。このままではバーサーカーの魔力が尽きてしまう。
だがその時、急にバーサーカーが動きを止めてどこか一点を見つめている。バーサーカーが視線を向けるのその先にいるのはミチナガだ。今も地面に横たわったままのミチナガだがその目は開いている。
「…下だ……下を攻撃するんだ……」
『デルタ251・ボス治療中だから安静にして!だいたいそんな小さな声じゃバーサーカーには聞こえな…』
『ウガァァァァァァァ!!!!!』
『ガンマ332・…聞こえたみたい。』
使い魔達による治療の最中に目を覚ましたミチナガはかすれるような声で指示を出した。それは遠くでわずかに聞こえたポチの指示を繰り返しただけだ。しかしそんな周囲にいるものでさえ聞き取れそうにないほど小さな声は遠く離れた荒れ狂うバーサーカーにはしっかりと聞こえた。
上方から落下の勢いをつけて地面に振りかざしたその両拳は真っ直ぐにポチ達のいる場所へと落ちてきた。あんな一撃を受ければ直撃でなくてもその衝撃波でポチ達のエヴォルヴは破壊されることだろう。
しかしそんなことは御構い無しにバーサーカーの一撃が地面に突き刺さる。その一撃は大地を揺れ動かし、隆起した地面があまりの力の勢いに跳ね上がった。そんな凄まじい一撃の衝撃波を受けたポチ達だが、何の影響も受けることなくその場に立っている。
それは現在常時発動させているピースのFF無効がバーサーカーの一撃に適応されたおかげだ。そんなポチ達には目もくれずバーサーカーは暴れまわる。
目の前で荒れ狂うバーサーカーに血の気が引いたポチ達は顔を見合わせそこからそそくさと退散しようとする。だがその時、ピースの目に肉塊の中に埋め込まれた無機質な何かが写った。
『ピース・そこ!そこに今何かが埋まってた!!』
『何かって…魔道具の可能性ありか。バーサーカー…って聞いてないよね。あ、ちょっと待って。もう少しここにいよう。僕たちが目になるんだ。』
ポチ達はその場に留まりバーサーカーを背後から見ている。するとバーサーカーは徐々に攻撃している場所を変え、再び手当たり次第に殴り続けた。そこは先ほどピースが何かを見たと言った場所だ。
そんなバーサーカーから離れた場所、ミチナガのいる安全圏では数体のエヴォルヴが集結している。そこには社畜の作った弓矢の威力を増幅させる装置が設置され、ハクが矢を番えようとしている。その横ではミチナガがスマホを操作している。
「バーサーカーには指示を出しておいた。…何か急に強度が増してきたらしい。場所はバーサーカーの前方右に15度、高さ1m30cm。」
『確認しました。ソン、また計算よろしくお願いします。』
『射度上方2度修正、右に3度修正。あとは全力でやるだけです。』
『それなら問題ない。ボス、バーサーカーに準備するように伝えてください。』
「大丈夫だ。いつでも良いぞ。発射後すぐに左に避けさせる。」
『では行きます!』
ハクの弓から矢が放たれる。1日三発までのハクの世界樹の弓矢を用いた渾身の一撃である。そして本日最後の矢が放たれたと同時にハクのエヴォルヴの機体は腕の部分が機能しなくなった。本来なら多少は動くのだが、色々と強化されたせいで腕のパーツが完全に動かなくなるほどどこかの部品が破壊されたのだろう。
そんな矢が放たれたと同時にバーサーカーは一歩横にずれた。するとそれとほぼ同時くらいに矢が着弾し、肉塊を消滅させた。バーサーカーの目の前にあった肉塊が見事に消失するとそこにはいくつかの魔道具と思われる残骸が散らばっている。
しかし全てが破棄されたわけではない。幾つかは周囲の肉塊に逃げ込んでいるのか無傷の状態で存在していた。だがそれらもすぐにバーサーカーによって破壊された。
すると突如暗闇が消え去り、空には星空が見えた。遠くには洗脳された人々がエヴォルヴや何かの影によって動きを封じられているのか必死にもがいている。
その光景にガリウスやゲーテランドは驚いている。だがそんなゲーテランドがさらに驚いたのは目の前に現れた恐怖の存在。死そのものだ。
「ようやく洗脳電波が消えた。こんな面倒な戦いにいつまでも時間を使うのは…肩も凝る上に有意義ではない。」
「な、なんだ貴様は…一体……」
「お前ごときに答える必要はない。おい、こいつは殺して良いのか?」
「…捕らえれば情報が聞き出せる。そうすれば戦いも早く終わる。」
「そうか。では寝ていろ。」
ヴァルドールはゲーテランドの目の前に立った。しかしそんなヴァルドールに対し何もしないゲーテランドたちではない。周囲の取り巻きの魔王クラスがヴァルドールに切り掛かり、ゲーテランドも魔法を放った。
いくつもの強力な攻撃によりヴァルドールは切り刻まれる。してやったりと笑みを見せるゲーテランドだが、ヴァルドールはなんの感情もない表情でただそこに立っていた。
「お前たち程度の攻撃では我の再生力を上まれんよ。」
「ば、ばけもの…」
恐怖に震えるゲーテランドの意識をいともたやすく断ち切る。周囲の魔王クラスに関してもすでに意識を断ち切った。他の兵士たちに関してもヴァルドールを見ただけで恐怖におののいたのか戦意を喪失している。
今動いている敵はあのエラー物質の化け物だけだ。しかしヴァルドールが動き出した今、そちらもすぐに方がつく。ヴァルドールが動き出したのを見たミチナガはホッと安堵のため息をついた。
バーサーカーの搭乗したエヴォルヴがエラー物質の化け物を殴り、蹴り飛ばした。他の使い魔達ではピースのFF無効が効いていない限りまともに攻撃することも難しい。その様子を地上からポチとガーディアン、そしてピースが眺めている。
『……理想的だ…』
『悔しいけど全くもって同感だね。単騎でまともにあれとやりあえている。夢のような話だよ。』
ガーディアンの発した言葉に同意するポチ。今のバーサーカーの姿は使い魔達にとっての理想そのものだ。使い魔達は単騎ではまだまだ弱い。それを数で補っているからこそ強敵とも渡り合える。しかし今のバーサーカーは単騎であんな化け物とまともにやりあっているのだ。
群で戦う使い魔達はたった1人で戦局を変えるような強大な力に憧れる。しかしエヴォルヴの機体では限界があると考えていた。しかしその限界をいともたやすく超えて見せた。そしてその力は…他の使い魔達も得ることができる。
『隅から隅まで記録するよ。このデータを元に僕たちも賢者の石を用いて機体を強化する。そうすれば…あそこにいるのはバーサーカーではなく、僕たちになれる。』
『あ、あの…それも良いけど、あのままじゃ決着がつかないというか…バーサーカー負けちゃうよ?』
ピースの言う通りバーサーカーはむやみやたらに殴りまくっているだけだ。高い再生能力を持つこのエラー物質の化け物には効果がない。やるのならば核となる部分を徹底的に狙わないといけない。
しかし核を破壊すれば取り込まれているラルドの身にも危険が及ぶ。何か手立てがあるとすればこういった人体改造に詳しそうなヴァルドールに任せることだ。しかしヴァルドールを動かすためには洗脳電波を止めなくてはならない。
しかしその洗脳電波を止めるためにはこのエラー物質の化け物を破壊しないといけない。もう手立てがない。そう思った時にポチが一つのことを思い出した。
『ラルドは複数の魔道具に繋げられていた…その魔道具の能力をこの化け物は持っていない。今もきっとどこかで魔道具につながっているはずだ。その魔道具を破壊すれば洗脳電波が止まる可能性がある!バーサーカー下だ!魔道具は地面に固定されていた!地面近くにある可能性がある!!』
大声で指示を出すポチだが、あそこまで荒れ狂っているバーサーカーは一度も周囲の声を聞いて動いたことがない。もちろん今回も例外ではなくポチの指示など耳に入らずそのまま暴れ続けた。このままではバーサーカーの魔力が尽きてしまう。
だがその時、急にバーサーカーが動きを止めてどこか一点を見つめている。バーサーカーが視線を向けるのその先にいるのはミチナガだ。今も地面に横たわったままのミチナガだがその目は開いている。
「…下だ……下を攻撃するんだ……」
『デルタ251・ボス治療中だから安静にして!だいたいそんな小さな声じゃバーサーカーには聞こえな…』
『ウガァァァァァァァ!!!!!』
『ガンマ332・…聞こえたみたい。』
使い魔達による治療の最中に目を覚ましたミチナガはかすれるような声で指示を出した。それは遠くでわずかに聞こえたポチの指示を繰り返しただけだ。しかしそんな周囲にいるものでさえ聞き取れそうにないほど小さな声は遠く離れた荒れ狂うバーサーカーにはしっかりと聞こえた。
上方から落下の勢いをつけて地面に振りかざしたその両拳は真っ直ぐにポチ達のいる場所へと落ちてきた。あんな一撃を受ければ直撃でなくてもその衝撃波でポチ達のエヴォルヴは破壊されることだろう。
しかしそんなことは御構い無しにバーサーカーの一撃が地面に突き刺さる。その一撃は大地を揺れ動かし、隆起した地面があまりの力の勢いに跳ね上がった。そんな凄まじい一撃の衝撃波を受けたポチ達だが、何の影響も受けることなくその場に立っている。
それは現在常時発動させているピースのFF無効がバーサーカーの一撃に適応されたおかげだ。そんなポチ達には目もくれずバーサーカーは暴れまわる。
目の前で荒れ狂うバーサーカーに血の気が引いたポチ達は顔を見合わせそこからそそくさと退散しようとする。だがその時、ピースの目に肉塊の中に埋め込まれた無機質な何かが写った。
『ピース・そこ!そこに今何かが埋まってた!!』
『何かって…魔道具の可能性ありか。バーサーカー…って聞いてないよね。あ、ちょっと待って。もう少しここにいよう。僕たちが目になるんだ。』
ポチ達はその場に留まりバーサーカーを背後から見ている。するとバーサーカーは徐々に攻撃している場所を変え、再び手当たり次第に殴り続けた。そこは先ほどピースが何かを見たと言った場所だ。
そんなバーサーカーから離れた場所、ミチナガのいる安全圏では数体のエヴォルヴが集結している。そこには社畜の作った弓矢の威力を増幅させる装置が設置され、ハクが矢を番えようとしている。その横ではミチナガがスマホを操作している。
「バーサーカーには指示を出しておいた。…何か急に強度が増してきたらしい。場所はバーサーカーの前方右に15度、高さ1m30cm。」
『確認しました。ソン、また計算よろしくお願いします。』
『射度上方2度修正、右に3度修正。あとは全力でやるだけです。』
『それなら問題ない。ボス、バーサーカーに準備するように伝えてください。』
「大丈夫だ。いつでも良いぞ。発射後すぐに左に避けさせる。」
『では行きます!』
ハクの弓から矢が放たれる。1日三発までのハクの世界樹の弓矢を用いた渾身の一撃である。そして本日最後の矢が放たれたと同時にハクのエヴォルヴの機体は腕の部分が機能しなくなった。本来なら多少は動くのだが、色々と強化されたせいで腕のパーツが完全に動かなくなるほどどこかの部品が破壊されたのだろう。
そんな矢が放たれたと同時にバーサーカーは一歩横にずれた。するとそれとほぼ同時くらいに矢が着弾し、肉塊を消滅させた。バーサーカーの目の前にあった肉塊が見事に消失するとそこにはいくつかの魔道具と思われる残骸が散らばっている。
しかし全てが破棄されたわけではない。幾つかは周囲の肉塊に逃げ込んでいるのか無傷の状態で存在していた。だがそれらもすぐにバーサーカーによって破壊された。
すると突如暗闇が消え去り、空には星空が見えた。遠くには洗脳された人々がエヴォルヴや何かの影によって動きを封じられているのか必死にもがいている。
その光景にガリウスやゲーテランドは驚いている。だがそんなゲーテランドがさらに驚いたのは目の前に現れた恐怖の存在。死そのものだ。
「ようやく洗脳電波が消えた。こんな面倒な戦いにいつまでも時間を使うのは…肩も凝る上に有意義ではない。」
「な、なんだ貴様は…一体……」
「お前ごときに答える必要はない。おい、こいつは殺して良いのか?」
「…捕らえれば情報が聞き出せる。そうすれば戦いも早く終わる。」
「そうか。では寝ていろ。」
ヴァルドールはゲーテランドの目の前に立った。しかしそんなヴァルドールに対し何もしないゲーテランドたちではない。周囲の取り巻きの魔王クラスがヴァルドールに切り掛かり、ゲーテランドも魔法を放った。
いくつもの強力な攻撃によりヴァルドールは切り刻まれる。してやったりと笑みを見せるゲーテランドだが、ヴァルドールはなんの感情もない表情でただそこに立っていた。
「お前たち程度の攻撃では我の再生力を上まれんよ。」
「ば、ばけもの…」
恐怖に震えるゲーテランドの意識をいともたやすく断ち切る。周囲の魔王クラスに関してもすでに意識を断ち切った。他の兵士たちに関してもヴァルドールを見ただけで恐怖におののいたのか戦意を喪失している。
今動いている敵はあのエラー物質の化け物だけだ。しかしヴァルドールが動き出した今、そちらもすぐに方がつく。ヴァルドールが動き出したのを見たミチナガはホッと安堵のため息をついた。
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