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第381話 ナイトとムーンと召喚者?
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「ふ、ふざけんな!!国堕としの最強のモンスターじゃねぇのかよ!!」
『ムーン・いやまあ強いよ?倒すのにすごい時間かかったもん。ねぇ?』
「ああ…あれは楽しかった……」
マサキが喚く前でナイトとムーンは過去の記憶を思い出して懐かしんでいた。触れただけで手足が骨ごと溶けるほどの強酸毒。動きを封じる粘糸。そして無限に増える子蜘蛛の兵隊。間違いなくナイトのこれまでの戦いの中で屈指の強敵だ。
だがあれほどのモンスターはそうそう生まれない。今後の人生であれほどの強敵と再び合間見える機会はないかもしれない。そんなことを考えているとマサキはさらなるモンスターを呼び出そうと本のリストから選んでいる。
しかしナイトは嫌な予感がしてマサキに近づく。ナイトとしては軽く走って近づいたつもりだが、マサキからしてみればまるで瞬間移動だ。周囲の護衛も何一つできない。いきなり目の前に現れたナイトにマサキは驚き腰をぬかす。
「な、ななな…なにを……」
「その本を見せてみろ。」
「は、はい…」
ナイトの威圧感に負けてすんなりと本を手渡すマサキ。ナイトは本を受け取るとムーンとともにその本に記載されているモンスターのリストを確認した。
『ムーン・うっわぁ…ほとんど倒したやつばっかりじゃん。』
「モンスターの名前なんて気にしたことはなかったが…例えばこれはなんだ?」
『ムーン・どれどれ?…ああ、深淵のカタラスね?ずいぶん前に戦ったでかいミミズだよ。S級モンスターとして冒険者ギルドに記載されてた。カタラスっていうのはその土地の名前ね。しっかし…見事なまでに倒しているね。この辺も冒険者が倒したって報告あったよ。この辺は冒険家が倒したって聞いた。どれも討伐済みじゃん。』
「そ、そんな…俺にだけ扱える最強のモンスターたちだって…」
『ムーン・まあ確か破格の強さだよ。だけど危険度の高いモンスターだから冒険者たちだって討伐対象にするし、こっちも倒しているからね。それにどんなに最強のモンスターでも魔神なんて別格の人間がいるこの世界においてモンスターよりも人類の方が上だよ?というか疑問なんだけど…本当にアラクネ召喚できたの?』
「あ、当たり前だ!俺のチート能力を持ってすれば…」
『ムーン・どんな能力でも本人の魔力量で能力の強弱は決まるよ?……なんだか怪しいな。ちょっと連れの人に聞いてみよっか。』
マサキの言葉を怪しんだムーンはマサキの周囲で先ほどからピクリとも動かない、というより動けない法国の兵士達の方へ向く。ピクリとも動けない法国の兵士達は皮肉なことにナイトの生み出したアラクネの扱う蜘蛛の糸で動きを封じられていた。
『ムーン・はい質問です。マサキは本当にアラクネを召喚できたの?それとも…何か隠しているよね?』
ムーンがそう言っても誰も反応を示さない。しかしムーンはわずかな目の動き、口の動きを見逃さない。若干の反応から動揺した兵士を判断した。何も知らない、もしくは知っていても動揺もなんの反応も見せないものが4人。反応を示したのは2人。そのうち、一人に目標を絞った。
『ムーン・こっちの人は他にも色々な情報を持っていそうだから後回し。残念だけど君に喋ってもらうことになったよ。』
「はっ!なんのことか知らないが…もし仮に俺が知っていたとして……俺が喋るとでも?」
『ムーン・さすがにこんな敵地に潜入するだけあって拷問対策とかはバッチリなんだろうね。痛めつけたり、薬を使って喋らせたりすることができればよかったんだけど…残念だよ。』
ムーンは本当に悲しそうな表情をする。そんなムーンの背後に使い魔が出現した。ワープによって送られてきたその使い魔はその手に背丈の半分ほどの杖を持っている。
『ムーン・こいつにマサキが本当にアラクネを召喚できたのか喋らせて。あとはそうだな…別部隊がいるのならその情報も話させて。そのくらいなら持つでしょ。』
『サイコ・キャハハハハ!!』
サイコは飛び上がりムーンが選んだ一人の頭の上に飛び乗る。そしてその手に持つ杖を男の頭に突き立てた。腕力のないサイコの一撃ではかすり傷もコブもできない。一体何をするのか男は疑問に思っているとその杖はサイコを巻き込みながら男の頭に根を張り出した。
これは100年戦争時代にヴァルドールが生み出した呪具だ。以前ヴァルドールの城から回収し、スマホの中で厳重に保管されていた超危険な呪具である。その効果は対象者の脳に根を張り、対象者のもつありとあらゆる情報を引き出せるものである。
「こ…この転生者は生贄だ!!こいつの能力でアラクネを召喚することはできるが魔力量が圧倒的に足りない!だから他の4人と合わせて、生命力すら魔力に変換しこの地にアラクネを呼び出す!そしてアレルモレドと共に英雄の国を襲わせるのだ!我々以外にも仲間はいるがマサキをこの地まで連れてくることが重要だ!他の仲間は囮にすぎない!」
「そ、そんな…嘘だ……俺は最強の能力者で…」
『ムーン・なるほどね。でも疑問がある。アレルモレドとアラクネは互いに殺しあわないの?』
「アレルモレドは複数のモンスターを組み合わせたキメラだ!そのアレルモレドをアラクネに食わせることで我々の目的ははたハ…タタタタタハタハタハタハタタタ…」
『ムーン・そういうことね。情報ありがとう。解放してあげなサイコ。これは命令だ。』
『サイコ・キャハ!』
サイコは根を杖に戻した。その後には崩れ落ちた男の死体がある。この杖は確かにどんな情報も吐かせることが可能な呪具ではあるのだが、使用しているとどんどん成長していき、対象者の脳を成長した根が押しつぶしてしまうのだ。故に聞き出したいことを端的に話させることが重要になる。
『ムーン・つまり君達はこの地にアラクネを召喚しアラクネにアレルモレドを食わせる…いや寄生させる気でいたんだね。アレルモレドは核さえ無事なら死ぬことはない。あれは寄生モンスターの一種だった。アレルモレドが決まった形を持たず、寄生した全てのモンスターの形を取っていた。アレルモレドとアラクネが融合したら…さすがに勇者神でも勝つのは厳しい…本当に滅んでいただろうね。この国。』
アレルモレドは再生能力の高さから神話級のモンスターとしての強さがあった。そしてアラクネは群としても個として神話級の強さがあった。この二つが合わされば再生能力の高い子グモの群れを召喚し、自身も不死にも近い再生能力を得られた。
そんな怪物が現れれば本当にこの英雄の国は滅んでいただろう。ムーンも現実にならなくてホッとしている。そんなムーンは再びマサキに向き合う。
『ムーン・さてと、これが真実らしいよ。君も災難だったね。さて…君にも色々情報を聞き出したいんだけど…君は素直に喋ってくれるかな?』
「しゃ、喋ります!なんでも聞いてください!知っていることはすべて話します!だから殺さないで!!」
『ムーン・そんなに興奮しなくても大丈夫。嘘さえつかなければこれを使う必要なんてないから。』
マサキはムーンの背後に控えるサイコを見てガタガタと震え出す。この調子ならば嘘をつくことはないだろう。ムーンはマサキの知っている情報を聞き出していった。
『ムーン・異世界人は他にも数十名いると…そして彼らの知識をもとに何か開発をしている…そこまでは知らないんだね?』
「お、俺はバカなんでそういった研究には関わりませんでした。俺が知っているのはモンスターの遺伝子操作とか配合くらいです。」
『ムーン・強力なモンスターを生み出す…か。モンスターを隷属させる技術もあるみたいだし、結構危険かも。どうする?』
「この場に全て召喚しろ。全て片付ける。」
「で、でもこの魔法使ったら俺の命が…」
『ムーン・普通に魔力足りていれば問題なく使えるから。だけどそうだな…魔力貸してあげて。』
ナイトはマサキの肩に手を乗せる。そしてマサキに知っている限り全ての法国が生み出していたモンスターを召喚させる。マサキも最初は恐れていたが、ナイトから受け取る魔力による全能感に少し酔いしれていた。そしてマサキが召喚を完了させると目の前には数百のモンスターが出現した。
『ムーン・やっぱり見た感じエラー物質をごく少量取り込んでいるみたいだね。エラー物質による強制的なモンスター強化か。こいつらの素材は使い物にならなさそうだから好きにやっちゃって良いよ。』
「ああ…いってくる。」
ナイトは笑みを浮かべて突撃する。この分なら十数分ほどで方がつくだろう。ただマサキの話によるとこの倍以上はまだいたはずだということだ。数としては2000を超えるS級越えモンスターの群だ。法国の軍に合わせてアラクネ、アレルモレドの神話級モンスターにこのモンスターの群れ。全てが実現していたら手の打ちようがなかった。
『ムーン・おそらくだけどマサキ。君の召喚能力はエラー物質を取り込んだモンスターに限るものだ。普通のモンスターの召喚はできない。そして…エラー物質を持つモンスターを召喚できるなんて知られたら君…一生命狙われるよ。』
「そ、そうなんですか?」
『ムーン・それは本当に危険なものだからね。ここで法国を裏切っちゃったし、もう君の後ろ盾はない。英雄の国としてもエラー物質持ちのモンスターを召喚できるなんて知ったら…良くて一生監獄送りだろうね。』
「そ、そんな…お、俺そんなの嫌だ!」
『ムーン・まあまあ落ち着きなって。そこで提案なんだけど君…その能力を破棄しない?僕たちの長年の研究でその能力を破棄する方法を編み出したんだ。ちなみにその能力を破棄するとこの世界の一般の人と同じように普通の魔力が使えるようになるよ。それに君は優秀そうだ。うちの商会で雇っても良いと思っている。うちの商会は世界一の商会だからお金もあるよ。一軒家を持ってこの世界の子と結婚して幸せに暮らせるよ。能力を破棄した後は色々大変だろうから謝礼金として金貨300枚を送ろう。その後はゆっくりとうちの商会で働いていけば良いさ。』
「む、ムーンさん…俺なんかのことをそこまで…」
『ムーン・同郷のよしみさ。気にすることはない。まあそのためにも最後にその能力で法国の悪しき企みを終わらせてやろう。』
「は、はいムーンさん!!」
マサキは先ほどまでよりも張り切ってモンスターを召喚し始めた。その様子をムーンはただ眺めている。
「あんなに優遇してよかったのか?」
『ムーン・マサキのこと?まあ彼の能力は優秀だからね。回収できれば僕たちの戦力増強につながるような使い魔が生まれるよ。それに…他にも異世界人がいるのなら彼を優遇して他の者たちがこちらに来やすいようにするのも一つの手さ。下手に冷遇したら他の異世界人がこちらの味方にならない。ちゃんとそこまで考えているよ。』
『ムーン・いやまあ強いよ?倒すのにすごい時間かかったもん。ねぇ?』
「ああ…あれは楽しかった……」
マサキが喚く前でナイトとムーンは過去の記憶を思い出して懐かしんでいた。触れただけで手足が骨ごと溶けるほどの強酸毒。動きを封じる粘糸。そして無限に増える子蜘蛛の兵隊。間違いなくナイトのこれまでの戦いの中で屈指の強敵だ。
だがあれほどのモンスターはそうそう生まれない。今後の人生であれほどの強敵と再び合間見える機会はないかもしれない。そんなことを考えているとマサキはさらなるモンスターを呼び出そうと本のリストから選んでいる。
しかしナイトは嫌な予感がしてマサキに近づく。ナイトとしては軽く走って近づいたつもりだが、マサキからしてみればまるで瞬間移動だ。周囲の護衛も何一つできない。いきなり目の前に現れたナイトにマサキは驚き腰をぬかす。
「な、ななな…なにを……」
「その本を見せてみろ。」
「は、はい…」
ナイトの威圧感に負けてすんなりと本を手渡すマサキ。ナイトは本を受け取るとムーンとともにその本に記載されているモンスターのリストを確認した。
『ムーン・うっわぁ…ほとんど倒したやつばっかりじゃん。』
「モンスターの名前なんて気にしたことはなかったが…例えばこれはなんだ?」
『ムーン・どれどれ?…ああ、深淵のカタラスね?ずいぶん前に戦ったでかいミミズだよ。S級モンスターとして冒険者ギルドに記載されてた。カタラスっていうのはその土地の名前ね。しっかし…見事なまでに倒しているね。この辺も冒険者が倒したって報告あったよ。この辺は冒険家が倒したって聞いた。どれも討伐済みじゃん。』
「そ、そんな…俺にだけ扱える最強のモンスターたちだって…」
『ムーン・まあ確か破格の強さだよ。だけど危険度の高いモンスターだから冒険者たちだって討伐対象にするし、こっちも倒しているからね。それにどんなに最強のモンスターでも魔神なんて別格の人間がいるこの世界においてモンスターよりも人類の方が上だよ?というか疑問なんだけど…本当にアラクネ召喚できたの?』
「あ、当たり前だ!俺のチート能力を持ってすれば…」
『ムーン・どんな能力でも本人の魔力量で能力の強弱は決まるよ?……なんだか怪しいな。ちょっと連れの人に聞いてみよっか。』
マサキの言葉を怪しんだムーンはマサキの周囲で先ほどからピクリとも動かない、というより動けない法国の兵士達の方へ向く。ピクリとも動けない法国の兵士達は皮肉なことにナイトの生み出したアラクネの扱う蜘蛛の糸で動きを封じられていた。
『ムーン・はい質問です。マサキは本当にアラクネを召喚できたの?それとも…何か隠しているよね?』
ムーンがそう言っても誰も反応を示さない。しかしムーンはわずかな目の動き、口の動きを見逃さない。若干の反応から動揺した兵士を判断した。何も知らない、もしくは知っていても動揺もなんの反応も見せないものが4人。反応を示したのは2人。そのうち、一人に目標を絞った。
『ムーン・こっちの人は他にも色々な情報を持っていそうだから後回し。残念だけど君に喋ってもらうことになったよ。』
「はっ!なんのことか知らないが…もし仮に俺が知っていたとして……俺が喋るとでも?」
『ムーン・さすがにこんな敵地に潜入するだけあって拷問対策とかはバッチリなんだろうね。痛めつけたり、薬を使って喋らせたりすることができればよかったんだけど…残念だよ。』
ムーンは本当に悲しそうな表情をする。そんなムーンの背後に使い魔が出現した。ワープによって送られてきたその使い魔はその手に背丈の半分ほどの杖を持っている。
『ムーン・こいつにマサキが本当にアラクネを召喚できたのか喋らせて。あとはそうだな…別部隊がいるのならその情報も話させて。そのくらいなら持つでしょ。』
『サイコ・キャハハハハ!!』
サイコは飛び上がりムーンが選んだ一人の頭の上に飛び乗る。そしてその手に持つ杖を男の頭に突き立てた。腕力のないサイコの一撃ではかすり傷もコブもできない。一体何をするのか男は疑問に思っているとその杖はサイコを巻き込みながら男の頭に根を張り出した。
これは100年戦争時代にヴァルドールが生み出した呪具だ。以前ヴァルドールの城から回収し、スマホの中で厳重に保管されていた超危険な呪具である。その効果は対象者の脳に根を張り、対象者のもつありとあらゆる情報を引き出せるものである。
「こ…この転生者は生贄だ!!こいつの能力でアラクネを召喚することはできるが魔力量が圧倒的に足りない!だから他の4人と合わせて、生命力すら魔力に変換しこの地にアラクネを呼び出す!そしてアレルモレドと共に英雄の国を襲わせるのだ!我々以外にも仲間はいるがマサキをこの地まで連れてくることが重要だ!他の仲間は囮にすぎない!」
「そ、そんな…嘘だ……俺は最強の能力者で…」
『ムーン・なるほどね。でも疑問がある。アレルモレドとアラクネは互いに殺しあわないの?』
「アレルモレドは複数のモンスターを組み合わせたキメラだ!そのアレルモレドをアラクネに食わせることで我々の目的ははたハ…タタタタタハタハタハタハタタタ…」
『ムーン・そういうことね。情報ありがとう。解放してあげなサイコ。これは命令だ。』
『サイコ・キャハ!』
サイコは根を杖に戻した。その後には崩れ落ちた男の死体がある。この杖は確かにどんな情報も吐かせることが可能な呪具ではあるのだが、使用しているとどんどん成長していき、対象者の脳を成長した根が押しつぶしてしまうのだ。故に聞き出したいことを端的に話させることが重要になる。
『ムーン・つまり君達はこの地にアラクネを召喚しアラクネにアレルモレドを食わせる…いや寄生させる気でいたんだね。アレルモレドは核さえ無事なら死ぬことはない。あれは寄生モンスターの一種だった。アレルモレドが決まった形を持たず、寄生した全てのモンスターの形を取っていた。アレルモレドとアラクネが融合したら…さすがに勇者神でも勝つのは厳しい…本当に滅んでいただろうね。この国。』
アレルモレドは再生能力の高さから神話級のモンスターとしての強さがあった。そしてアラクネは群としても個として神話級の強さがあった。この二つが合わされば再生能力の高い子グモの群れを召喚し、自身も不死にも近い再生能力を得られた。
そんな怪物が現れれば本当にこの英雄の国は滅んでいただろう。ムーンも現実にならなくてホッとしている。そんなムーンは再びマサキに向き合う。
『ムーン・さてと、これが真実らしいよ。君も災難だったね。さて…君にも色々情報を聞き出したいんだけど…君は素直に喋ってくれるかな?』
「しゃ、喋ります!なんでも聞いてください!知っていることはすべて話します!だから殺さないで!!」
『ムーン・そんなに興奮しなくても大丈夫。嘘さえつかなければこれを使う必要なんてないから。』
マサキはムーンの背後に控えるサイコを見てガタガタと震え出す。この調子ならば嘘をつくことはないだろう。ムーンはマサキの知っている情報を聞き出していった。
『ムーン・異世界人は他にも数十名いると…そして彼らの知識をもとに何か開発をしている…そこまでは知らないんだね?』
「お、俺はバカなんでそういった研究には関わりませんでした。俺が知っているのはモンスターの遺伝子操作とか配合くらいです。」
『ムーン・強力なモンスターを生み出す…か。モンスターを隷属させる技術もあるみたいだし、結構危険かも。どうする?』
「この場に全て召喚しろ。全て片付ける。」
「で、でもこの魔法使ったら俺の命が…」
『ムーン・普通に魔力足りていれば問題なく使えるから。だけどそうだな…魔力貸してあげて。』
ナイトはマサキの肩に手を乗せる。そしてマサキに知っている限り全ての法国が生み出していたモンスターを召喚させる。マサキも最初は恐れていたが、ナイトから受け取る魔力による全能感に少し酔いしれていた。そしてマサキが召喚を完了させると目の前には数百のモンスターが出現した。
『ムーン・やっぱり見た感じエラー物質をごく少量取り込んでいるみたいだね。エラー物質による強制的なモンスター強化か。こいつらの素材は使い物にならなさそうだから好きにやっちゃって良いよ。』
「ああ…いってくる。」
ナイトは笑みを浮かべて突撃する。この分なら十数分ほどで方がつくだろう。ただマサキの話によるとこの倍以上はまだいたはずだということだ。数としては2000を超えるS級越えモンスターの群だ。法国の軍に合わせてアラクネ、アレルモレドの神話級モンスターにこのモンスターの群れ。全てが実現していたら手の打ちようがなかった。
『ムーン・おそらくだけどマサキ。君の召喚能力はエラー物質を取り込んだモンスターに限るものだ。普通のモンスターの召喚はできない。そして…エラー物質を持つモンスターを召喚できるなんて知られたら君…一生命狙われるよ。』
「そ、そうなんですか?」
『ムーン・それは本当に危険なものだからね。ここで法国を裏切っちゃったし、もう君の後ろ盾はない。英雄の国としてもエラー物質持ちのモンスターを召喚できるなんて知ったら…良くて一生監獄送りだろうね。』
「そ、そんな…お、俺そんなの嫌だ!」
『ムーン・まあまあ落ち着きなって。そこで提案なんだけど君…その能力を破棄しない?僕たちの長年の研究でその能力を破棄する方法を編み出したんだ。ちなみにその能力を破棄するとこの世界の一般の人と同じように普通の魔力が使えるようになるよ。それに君は優秀そうだ。うちの商会で雇っても良いと思っている。うちの商会は世界一の商会だからお金もあるよ。一軒家を持ってこの世界の子と結婚して幸せに暮らせるよ。能力を破棄した後は色々大変だろうから謝礼金として金貨300枚を送ろう。その後はゆっくりとうちの商会で働いていけば良いさ。』
「む、ムーンさん…俺なんかのことをそこまで…」
『ムーン・同郷のよしみさ。気にすることはない。まあそのためにも最後にその能力で法国の悪しき企みを終わらせてやろう。』
「は、はいムーンさん!!」
マサキは先ほどまでよりも張り切ってモンスターを召喚し始めた。その様子をムーンはただ眺めている。
「あんなに優遇してよかったのか?」
『ムーン・マサキのこと?まあ彼の能力は優秀だからね。回収できれば僕たちの戦力増強につながるような使い魔が生まれるよ。それに…他にも異世界人がいるのなら彼を優遇して他の者たちがこちらに来やすいようにするのも一つの手さ。下手に冷遇したら他の異世界人がこちらの味方にならない。ちゃんとそこまで考えているよ。』
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